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小説 電通

2011年06月22日 21時31分17秒 | 小説

大下 英治氏の作品。

大下氏は1944年広島生まれ、広島大学文学部卒業。大宅マスコミ塾第7期生であり、1970年「週刊文春」の記者となり、記者時代「小説 電通」を発表し作家としてデビユウされた。1983年週刊誌を離れ、作家として政財官界から経済、芸能、犯罪まで幅広ジヤンルで創作活動を続けてをられる。

本書は1981年書き下ろし単行本として刊行され、1984年文庫化されたものに加筆・修正して再出版したぶんか社発刊のものである。

時代が30年前のものがベエスなので、「赤電話」が出てきて携帯が出てこないのが面白ひ。

それはさてをき

よく、発刊できたな~と思つた。 何故なら、ほとんど実名が出てくるし、若干名称を変えてあつてもどこの社のことを言つてゐるかわかるし、なにしろ題名そのものが「小説」と銘打つてあつても「電通」と出てくるのだから、よくまあ本書の内容のやうに「差し止め」にならなかつたものだ・・・と感心する。

それくらい、電通にとつては差し止めたいのではと思へる事が書いてある。

そして、電通がいかにして「第一位」を得るためにあらゆる小細工をしてゐるのがよくわかつた。随分昔に、電通と仕事をするはめになつた人の「愚痴」を聞いたことがある。この人は外国人であつたので、この本に書かれてゐるやうな「仕事を得るための電通の裏事情」を知らづに、電通の対応に非常~な不満を持つてゐた。そして同時に、非常~に不思議がつてゐた。「なぜ電通と仕事をするのか、電通がいひと言ふのか」と。

そのときは、何も知らなかつたので「そんなに酷い担当者がゐるのか」と思つてゐたが、本書を読んで理由がよくわかつた。

また、電通が政界の人事にまで口出しする理由(出来る理由)もよくわかつた。

電通は、そんなに「世界一」と言ひたいのなら一度、丸裸になつて正々堂々と仕事を獲得してみてはだうか・・? と思ふ ・・・・・・