神融心酔 

中国茶・台湾茶を中心とした素敵な出会いの数々を綴っていきます

雨の日の心残り@台北の旅2008

2008-06-15 | 茶旅
大雨の中、バイクは台北市内に入り、辛亥路から建国南路に入った。
猫空や木柵の道路を走った時には体験しなかった落とし穴が台北の幹線道路にはあった。

車線が多いので、バイクは右端を走るが(台湾の車は右側通行)
トラックや大型バスが左側をすり抜けることになる。
雨が降った後は道路がまるで小さい川のようになる。
バスが追い越していくと、横から大バケツで水を浴びせられたようになるのだ。
バツゲームのように私たちは水溜りの水を頭からかぶっていた。
上半身はレインコートに守られているが、下半身はそうはいかない。
ジーンズ、靴、靴下は完全に水に浸かった状態のようにぬれてしまった。

「この状態でサロンの畳の部屋に上がることができるの?」
私は先ほどの蔡さんへの電話で今日の約束をキャンセルしなかったことを後悔した。
一刻も早く濡れたジーンズと靴下を脱いでお風呂につかりたい気分だった。

C小姐がバイクを飛ばしてくれたおかげで「[木龍]翠坊」には9時前に着いた。
池に落ちたような状態だった私たちを見て、蔡さんも驚いていた。
私はタオルをお借りして靴下を脱ぎ、足を拭いた。
C小姐はスタッフの小姐にスカートを借りて履き替えた。

恐縮なことに、こんなとんでもない私たちを蔡さんは笑顔で迎えてくれる。
「今日は何のお茶をいれましょうか?」
どんな時でもお茶と来れば興味が沸いてしまう。
凍頂烏龍茶、高山茶、日月潭紅茶をリクエストした。
どれもものすごく美味しかった。

最後に去年の岩茶半天腰をいれてくれた。
C小姐が感動する。「体中がポカポカしてきたわ」
この半天腰は以前スタッフの小姐がいれてくれたのを飲んだことがあるそうだが、
今回蔡さんがいれてくれたのとは印象が違ったそうだ。
蔡さんは「岩茶はいれるのが難しいんだ。男性的ないれ方が合うのかな」と。
スタッフの小姐は「私のいれ方はまだまだだわ」とはにかんだように笑う。

どのお茶もものすごく美味しくて、
蔡さんのお手前もとても素晴らしく、私には勉強になることばかりだったが、
実際のところ、私は体が限界に達していた。
中国語で話すのもおっくうになり、睡魔がだんだん襲ってくる。
無理を言ってこの時間に約束を取り付けたのに、本当に申し訳なかったが
私が疲れているのを見て取った蔡さんは「今日はこのへんでお開きにしましょう」
と言ってくれた。
私は何度も謝りながら、お別れを言って、
またバイクでC小姐にホテルまで送ってもらった。

C小姐は私を長時間待たせたこと、
バイクに乗せてずぶぬれにしてしまったことを
しきりに申し訳なさそうにしてくれたが、
一番大変だったのはC小姐に違いない。
この日はとにかくお互いに疲れていたので、ホテルの前で別れを告げた。
既に11時近くになっていた。

ホテルの部屋に戻り朦朧としていたが、
とにかくずぶ濡れの体をお風呂で温めようと思った。
ウォーキングシューズも一足しか持ってきていないので、
何とか明日までに乾かさなくてはいけない。
新聞紙を詰め、ドライヤーで乾かしたりエアコンの風の来る場所に置いたりしてみた。

しばらくして、蔡さんにお茶代も払っていなかったことを思い出した。
あれだけたくさん美味しいお茶をいれていただいたのに、
私はひとつもお茶を買っていなかった。
この旅行で一番の不覚である。
「明日、もう一度電話して行ってみよう」と思いながら、私は眠りについた。

[木龍」翠坊
台北市長安東路一段52巷14號2F
電話 (02)2562-9542(中国語のみ)
11:30~21:00(完全予約制)
昼食400元 夕食660元、1200元

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