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魔女っ子くろちゃんの映画鑑賞記録

映画大好き!わがまま管理人の私的な映画鑑賞記録です。名作・凡作関係なく、好き好き度★★★★★が最高。

プラダを着た悪魔

2008年02月16日 | 
★★★☆
監督:デヴィッド・フランケル
主演:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、スタンリー・トゥリッチ
2006年 アメリカ

 ジャーナリスト志望のアンディは大学を卒業した後、NYで超一流ファッション雑誌「ランナウェイ」のカリスマ編集長ミランダのアシスタントに採用される。この道を目指す女性にはあこがれの職業であったが、ファッションに無頓着だったアンディにとっては、それは自分の夢をかなえるための土台に過ぎなかったのだが・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 夢見る女の子の典型的な成長物語なので、予想通りの展開・オチのなさ。しかし飽きさせずに映画としてまとまっていることと、女性のツボを押さえた、豪華でため息もののファッション・オンパレードがヒットした理由でしょうか。
なんにしてもアン・ハサウェイがかわいい。始めからかわいいので、「どこが野暮ったい、デブ女なんだ!」と誰もが突っ込みをいれたくなる。

 ファッション雑誌の編集現場という女性社会。数少ない(であろう)男性社員のナイジェルさえ心は女性。(トゥリッチがいい人♪)女性が社会で一人前になるのは犠牲にするものが多いというのは、結婚前の恋愛期でさえもそうなのか(?)な疑問はあるが、うだつの上がらない冴えない彼氏といい、イケメン作家の終盤での落とし方といい、男性陣の扱いもう少しなんとかならなかったのかと思いつつ、ここまで女性本位で描くのも確信犯的。でもあの彼氏に戻ることなく、「男なんて(しばらく)いらねー」と、ただミランダのもとを去るだけの方が良かった。アンディ、あの彼氏に責められるほど舞い上がってましたっけ?宗方コーチも言ってた通り、「女の成長を妨げるような愛し方をしてはいけません」

 なぜアンディがミランダのアシスタントになり、なぜ去ったのかに説得力が欠けているのが残念。ちょっと都合良くはしょっている感がありあり。でも退屈させない「おしゃれな映画」として、アンディのファッションに☆一つ追加。

 

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうな私の12ヶ月

2007年05月21日 | 
★★
監督:ビーバン・キドロン
主演:レネ・ゼニーウィルガー、コリン・ファース、ヒュー・グランド
2004年 英・仏・アイルランド・米

ブリジット・ジョーンズは、恋人マーク・ダーシーとの仲も順調、まさにこの世の春。しかしかつての恋人ダニエルや、マークの美人の友人、レベッカなど気がかりな事も。
 レベッカへのコンプレックスから、マークの仕事関係者の前で失態を演じ、順調だったマークとも気まずくなってしまう。その後よりによってダニエルと旅行番組のナビゲーターをするはめに。
 旅行先のタイで、ダニエルの誘惑をなんとか退けたブリジットだったが、そこで知り合ったある男によって、とんでもないことに巻き込まれてしまうのだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ハッピーエンドで終わった作品の続編は作るものではない!と実感させられた本作。
「シンデレラ」のその後・・・なんて”一生幸せに過ごしましたとさ”
で終わらせて、余計な詮索をしないのがよろしい。

前作ではまあ許せる範囲でチャーミングだったブリジットも
本作ではなんだか、ただのいじけブス。
そのくせまわりの空気を読めないはちゃめちゃぶりは
「恋する乙女のかわいらしい愚かさ」の限界を超えている。
私がダーシーだったら、つきあいきれない。即お別れ。

しかし映画はこのとんでもないブリジットを擁護して進むものだから
話は麻薬がらみの刑務所生活にまで飛躍し
ここまで奇想天外になると、前作の持っていた身近な恋物語のよさはどこへやら。
挙げ句の果てに、ライバルだと思ってたレベッカの思い人が
実はブリジットで、めでたしめでたしだなんて
なんで稚拙であほらしい脚本なんだ=と見終わった後脱力してしまいました・・・。

まあ、コリン・ダーシーに会いたかっただけなんだけど。
彼にしても前作ほどの魅力無しでとほほ。



ブラザー・ハート

2007年03月08日 | 
★★☆
監督:マイク・ホッジス
主演:クライブ・オーウェン、シャーロット・ランプリング、ジョナサン・リース=マイヤーズ
2004年 

ミクサーは、弟のように可愛がっているデイビーの死体を浴槽で発見する。
自殺だった。
デイビーの兄ウィルは、かつてはこのあたりをシマとするギャングのリーダーだったが、
今は足を洗い、仲間との連絡を絶ちひっそりと生きていた。
しかしデイビーの死を偶然を知ったウィルは
その死の真相を突き止めようと再び暗黒街に舞い戻り独自の調査を始める。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

クライブ・オーウェン主演の未公開作品。
結果的に未公開だあったのが頷ける作品というのが第一印象でした。
さしてヒカル魅力もなく、何が描きたかったのか不明。

対峙する相手が現在のシマのボスと
デイビーをレイプしたマルコム・マクダウェルとに
分散してしまい、のもよく分からない。
マクダウェルのレイプ理由もなんだか・・・。

う~ん、雰囲気に酔ってる
この監督の「リービング・ラスベガス」を思い出す。

クライブってこういうシリアスで暗い役はあまり似合わないような。
へんなおじさんキャラで彼の魅力は開花するのでは?


ブロークバック・マウンテン

2007年01月16日 | 
★★★☆
監督:アン・リー
主演:ジェイク・ギレンホール、ヒース・レジャー、アン・ハサウェイ
2005年 アメリカ

 1963年ワイオミングでイニスとジャックは、ブロークバック・マウンテンの牧場で、羊の管理をするという仕事でアギーレに雇われる。寒さと孤独との闘いの中、次第に言葉を交わしていくジャックとイニス。やがてその友情は、踏み越えてはならぬ関係に発展してしまう。
 農場主アギーレは彼らの関係に気づいていた。季節労働者としての任期も終え、離ればなれになった二人はやがてそれぞれ伴侶を持ち、別々の人生を歩んでいくのだが、ジャックがイニスへ送った一枚の葉書により、狂おしいほどの再会を果たす。
 偽りの人生を捨て、二人で一緒に暮らそうとイニスを誘うジャックだったが、同性愛が理解されていない時代、イニスはその申し出を受けることができないでいた・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 全体的に静かな印象を受ける映画なのだが、なんといっても序盤のブロークバック・マウンテンの風景が美しく、これはやはり映画館で観るべきであったと後悔した。映画館でその雄大な自然に丸ごと圧倒されたなら、そこで体験した夢のようなひとときに、生涯こだわり続けた二人の男の心情がより理解できたかもしれない。

 この映画は、成就することのない恋人たちの(男同士ではあるけれど)純愛と捉えるべきなのかもしれないが、なんだかしっくりいかない。それはイニスとジャックが、運命の恋人同士が持つドラマティックさに乏しいいわゆる「普通の男」で、もしかしてブロークバック・マウンテンで出会ったりしなければ、それこそ普通の人生を全うしたであろうと思えるからだ。
 ブロークバック・マウンテンに住む魔物に彼らは魅入られてしまったのかもしれない。圧倒的な自然と厳しさの中で、まるでネバーランドのように、「子供のように、ありのままでいられる自分」を共有してしまった二人だったのではないか。
 
 女は成長するに連れ現実的になっていくけれど、男っていうのはやはりどうも、日常から逃避して自由でいられた子供の頃に帰りたいロマンチストなんだろうと思う。
 激しく相手を求め合ったイニスとジャックだったけれど、愛よりもそんな二人の無邪気さやロマンを感じていた。

 それにしても、アギーレ役のおじさんが、あの「さらば冬のカモメ」のランディ・クエイドとは・・・・・・。
イニスの恋人役にERのサムも登場。そういえば「イン・ハー・シューズ」には「デスパレードな妻たち」の元夫も登場し、最近は「ああ、あの人!」な楽しみ方も。

ブロークン・フラワーズ

2007年01月10日 | 
★★★
監督:ジム・ジャームッシュ
主演:ビル・マーレー、シャロン・ストーン、ジェシカ・ラング
2005年 仏・米

 もう老年にさしかかったドン・ジョンストンは、かつてはドン・ファン並に女と浮き名を流した男。今も尚、若い恋人と暮らしていたが、一向にゴールの見えない恋に見切りを付けた彼女は去ってしまった。
 そんなドンの元に、ピンクの封筒と便箋、赤い字で書かれた謎の手紙が舞い込んだ。差出人不明の手紙はかつての恋人からのものであり、そこには19年前ドンの息子を宿し育ててきたが、その息子が父親探しの度に出たらしい・・といったことが書かれていた。
 ドンに心当たりはなかった。無視するつもりだったが、隣人のウィンストンが興味本位で、手紙の主を捜す旅をお膳立てした。気のすすまないまま、ドンは心当たりのある過去の恋人たちに会う旅に出る。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 結局答えが出ないまま、突き放された終わり方はジャームッシュらしいし、この映画の作り方では、あの結末しかないんだろうなと思う。その意識を認識してしまえば、道行く若い男がみんな自分を訪ねてきた息子のように見えてくる。ドンはしばらく途方に暮れた日々を過ごすのだろうか。

 うーん、でも個人的にはあまりのれなかった。かつてのプレイボーイが昔の恋人たちに会いに行くという、シチュエーションは面白そうな素材ではあるが、なんかビル・マーレイにそういう匂いを感じないのが最大の原因。最近わりと名優と評価されているけれど、昔コメディアンだった人が、深みある渋い俳優に転身・・という図式とどうも相性が悪いみたい。日本でいったらいかりや長助さんがそう。なんだかしっくりこなくて、世間的評価が高いほど、「そうかな」な思いが強い。
 ビル・マーレイもこの役はミス・マッチだったんじゃないのかな。こんなに寡黙で生気のないプレイボーイなんてあり得ない。にじみ出す悲哀がちょっとわざとらしい。

 とてもかしこい猫ちゃんは○。ジェシカ・ラングはフェイ・ダナウィ化しててびっくりしてしまった。

ブルーベルベット

2006年12月01日 | 
★★★
監督:デビッド・リンチ
主演:カイル・マクラクラン、ローラ・ダーン、イゼベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー
1986年、アメリカ

  大学生のジェフリーは父が倒れたために、ノース・キャロライナ州ランバートンに帰郷した。父を見舞った帰り、彼は野原で切り落とされた人の耳を発見した。ウィリアムズ刑事に渡すが、このことを口外しないように口止めされる。
 夜、刑事の娘サンディから、「この事件には近所に住むドロシーという歌手がかかわっているらしい」と聞かされた。ジェフリーはドロシーの家に害虫消毒を装い進入しカギを盗み、その後再びドロシーの部屋に忍びこんだ。ドロシーに見つかってしまったジェフリーだが、尋ねてきたフランクという男が、暴力と卑猥な言葉でドロシーを犯す現場を目撃してしまう。
 独自の捜査をサンディと進めるうちに、恋心が芽生えていく二人だが、ジェフリーは同時にフランクに家族を人質にされ、いいなりになって苦しむドロシーとも関係をもってしまう。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 昔懐かしい「ツイン・ピークス」の香りを漂わせながら、もう有無を言わせぬリンチの世界が強引に突き進む。リンチには中間色や調和の取れた配色がなく、原色を使った人を不安にさせるようなおどろおどろしさ。この映画はまあ分かり易いと分類されるようだが、リンチの映画に関しては(ストーリーが)理解できるとかできないとかは、どうでもいいような気がする。どうでもよくない人は、合わないのだから見ない方がいいかもしれない。

 私はというと微妙な線だ。嫌いじゃないけど、少し敷居が高いような。でも要所要所にあるリンチらしさににんまりもしてしまう。この映画に関して言えば、冒頭のジェフリーの父が倒れるシーンとほとんどグロテスクなまでに崩れたロッセリーニの肢体。そして清楚な女子大生のはずの、サンディのぐにょ~んとのびた口。さすがローラ・ダーン。リンチ好み(?)の女優だけあってただものではない。

 総じてカイルもホッパーも女優二人に完全に喰われてしまった。それも計算済?

ブラック・ダリア

2006年11月06日 | 
★★★☆
監督:ブライアン・デ・パルマ
主演:ジョシュ・ハートネット、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク
2006年 米・独

 1946年、ロサンゼルス。バッキーとリーはかつてボクサーだったロス市警の刑事。二人は特捜課に配属され、コンビを組みMr.ファイアー&Mr.アイスの愛称で一躍有名になった。
 リーにはケイという同棲している恋人がいた。バッキーは二人の家に頻繁に出入りし、友情と愛情の間で奇妙な三角関係を築く。
 リーとケイの間にはなにか事情がありそうだった。恋人でありながら、二人の間に男女関係はない。二人はかつてリーが逮捕した銀行強盗のボビーの出所に怯えている。
 47年、1月。猟奇殺人による女の死体が発見された。全裸で耳までその口は裂かれ、胴体は半分に切断されていた。死体はエリザベス・シュートという女優志望の若い女性だった。女優として目が出ず、娼婦まがいの生活を送っていた。いつも黒いドレスをきていたところから、人びとは彼女を「ブラック・ダリア」と呼んだ。
 別の事件を扱っていた二人だったが、リーは担当外の「ブラック・ダリア」事件にのめりこみ、常軌を逸しはじめる。バッキーはそんなリーを諫めながらも、事件を捜査しあるレズビアン・バーで、黒いドレスを着た謎の女マデリンと出会う。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 実際の未解決猟奇殺人事件をヒントに「L.A.コンフィデンシャル」の原作者、ジェイムズ・エルロイが書き上げたノン・フィクション。
 デ・パルマらしい、40年代アメリカの香りが漂うその映像には酔いしれるが、話は非常に込み入っていて、この時間内では無理だったか。ことの顛末を後半セリフで説明してしまうばたばたな展開に、見終わった後なんとも言えない物足りなさを感じる。前半リーとバッキーとケイの関係に時間を割きすぎたかも。それはそれでいいムードの味わい深いエピであるのだが、人間関係と事件の絡み合いが複雑・多様で、真相解明という点では、結局何がなんだか。ストーリーに注目していると肩すかしを食ってしまうだろう。

 ブラック・ダリア事件に関してはリーの暴走が色濃いが、バッキーも次第にエリザベス・シュートという死体に魅せられ、それ故そっくりとされるマデリンにも惹かれていくのだが、そこのところがあまりよく伝わってこない。それが理解できないと、マデリンの最後の台詞もピンとこないだろう。

 だからこの映画は40年代のムード、衣装、インテリアなどの装飾に酔えるか否かで好き嫌いが別れると思うが、私は好き。話の?は差し引いてもその魅力はあまりある。キム・ベイシンガーのように、スカーレット・ヨハンソンは色香むんむん。賛否別れるヒラリー・スワンクは微妙なところ。エリザベス・シュートには似ていない。

 ただ映画では描き切れてない話の部分がどうも気になるので、原作を読んでみようと思う。

プライドと偏見

2006年08月18日 | 
★★★
監督:ジョー・ライト
主演:キーラ・ナイトレイ、ドナルド・サザーランド、マシュー・マクファディン
2005年 イギリス

 18世紀末、イギリスにおいて女性には相続権がなく、幸せになるにはただ家柄の良い男に嫁ぐことだけだった時代・・。ベネット家の5人姉妹も類にもれず、隣に越してきた大富豪ビングリーと長女ジェーンを恋愛させ、なんとか玉の輿に乗れはしないかとやっきになっていた。
 聡明で快活な次女エリザベスは舞踏会でビングリーの友人ダーシーと出会うが、友人に語った自分への悪口を耳にしてしまい、彼のプライドの高さに反発を覚える。
 ビングリーはジェーンに惹かれている様子。プロポーズも秒読みかと思われた矢先にロンドンへ去ってしまった。それがダーシーによる差し金であることをエリザベスは知ってしまう。また心惹かれた男から聞かされたダーシーの過去。エリザベスのダーシーへの嫌悪感は増していくばかりだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 「ブリジット・ジョーンズの日記」の元になった話であり、「いつか晴れた日に」のオースチン原作であることで興味を持っていたが、映画としては「ブリジット~」の方が面白かった。二人の気持ちのすれちがいや意地の張り合い、そしてなお惹かれ合う恋のジレンマも「ブリジット~」の方が分かり易い。

 やはりどうもキーラ・ナイトレイが苦手。あのきつい眼差しで挑まれると、聡明な女性というよりは勝ち気な自信過剰に感じる。他の女性とはどこか違うエリザベスであるのだろうが、所詮当時の女性の生き方に反発するでもなく、玉の輿婚を望む一人に過ぎない。キーラを見ていると、どこにそんな強気に出れるほどの自信があるのだろうかとつい穿ってしまう。
 対するダーシー演じるマクファディンもちょっと人が良すぎて、ださくないだろうか?こちらは逆にもう少し反発を感じるほどの傲慢さがほしいところ。何を考えているか分からない、つかみどころのない男なのだが、唐突にエリザベスに思いを打ち明けるシーンには、こちらも驚いてしまった。もう少しそれに至るリアクションが欲しかったなあ・・・。

 というわけで、主役のお二人にはなんらそそられるものがなく、私はひたすらパパ・サザーランドを見つめておりました。あんなあさましい妻や子供達に囲まれた忍耐の人だ。ダーシーを選んだエリザベスを抱きしめて流すマジ涙には、思わずもらい泣き。

プロデューサーズ

2006年04月27日 | 
★★★
監督:スーザン・ストローマン
主演:ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、ウマ・サーマン
2005年 アメリカ

 1959年ニューヨーク。落ち目のマックスがプロデュースしたミュージカルは今回も散々の結果だった。そんな折り、マックスの事務所に会計士のレオが尋ねてきた。レオはもともと演劇家志望だった。
 帳簿を見るうちレオは、ミュージカルが早々にこけた方が、大金が儲かるろという事実に気がついた。それを聞いてよからぬやる気がわいたマックスはレオを抱き込み、初日で必ずこける最低のミュージカルを作ることを決意する。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 メル・ブルックスが1968年に映画にしたものがブロードウェイのミュージカルになり、2001年度のトニー賞を総なめし、そのミュージカルをほぼ再現した構成で再び映画化された・・・・そうだ。

 ネイサン・レインは「バード・ゲージ」でもオカマ(今回は正確には違うが)役で、もともとの「Mr.レディMr.マダム」そのまたもとのミュージカル「ラ・カージ・オ・フォール」にしてもおかま全開の傑作であった。オカマものは舞台映えするし、楽しいのである。
 この映画、アイデアは面白いし、個性的なオカマはわんさか出てくる。笑いどころは沢山あった。歌もミュージカルシーンも良かった。・・・でもなにかが足りない。なにかがモノ足らない。

 最大のポイントは、生のミュージカルをそのまま映画に・・・というアイデアの失敗ではなかっただろうか。確かに生で観たらさぞかし感激するだろう。実際、生で観た「ラ・カージ・オ・フォール」は、言葉のせいで話がよく分からなくても涙がでるほど感激した。生にはかないっこないのだから、プラスα、映画ならではの何かがなかったらやはりモノ足らないのではないだろうか。
 舞台を再現したと言われる「オペラ座の怪人」はそれでも映画ならではの見所が多々あったように思う。映画は映画で良かった、と思わせるものが。

 オリジナル・キャスト4人を起用したわりには(それだから?)主演級が映画としてはイマイチ地味だったかも。オカマ・パワーとユマ&マシューの部分が分離して、後者のエピソードがつまらく感じてしまう。そして「春の日のヒットラー」からエンディングまでがもた~と長くしまりに欠ける。

 沢山笑ったのだが、それは結局ほとんどオカマたちのシーンで、じゃあオカマの映画なのかと言うとそうでもなく、「好き」と言うには非常に微妙な作品だった。

フライトプラン

2006年02月22日 | 
★★★
監督:
主演:ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン、
2005年 アメリカ

 数日前に夫を謎の転落死で亡くしたカイル。夫の棺と共にベルリンを離れ、娘ジュリアとアメリカへ向かう。事件はその飛行機の中で起きた。
 空いた後部座席で仮眠をとるために移動。ほんの数時間仮眠をとり、目覚めたときいるはずのジュリアの姿は忽然と消えていた。機内を探し回るカイルだが、誰もそんな娘は見ていないという。
 夫の死に直面したばかりのカイルは、なにかいやな予感を感じ必死で娘を捜すが、そんな彼女に知らされた事実は、「娘はすでに死んでいる。この機には始めから搭乗していない」というものだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 私は飛行機が嫌い。仕方なく乗るには乗るけど、大概これでこの世とはおさらばかも・・と覚悟して乗る。
そして私には子供がいる。もうジュリアのように小さくはないけれど、幼い我が子が目の前から消えてしまったら・・・と思うといてもたってもいられない。
 ・・・従って、このカイルのとった行動が許せるか否かで気持ちは揺れ動いた。親ならあそこで妥協してしまうことはあり得ないが、だからって何をやってもいいってものでもないしで随分と困った映画だな・・・。
 
 何でも自分の主張は通すことがある意味美徳とされる欧米と日本人では考え方が違うから、多くの日本人はカイルの行動をNO!というのではないだろうか。飛行機嫌いの私も子の親ということを差し引いても半分はNO!でも誰も助けてくれず信じてくれなかったら、子供は一体誰が見つけ出すのだろう・・・・と思うとまた揺れる。

 後は演ずるジョディが鼻につくかつかないか(好きか嫌いか)によるところが大きいと思うので、鼻についてしまう私はやっぱり観ていた時はいや~な気持ちになった。
 しかしそれよりも、怪しそうな奴がやっぱり犯人で、企てた理由が「え~そんな程度?」なことがもっと腹立たしい。警戒が厳しいためハイジャックに棺が必要というのはなんとなく納得するとしても、やはりわざわざこの親子に目をつけたもう少し明確な理由がほしいところ。
 カイルの暴走も終わりよければ総て良しにするならば、これだけとっちらかした理由もそれなりに納得できものでなければね。

 機長のショーン・ビーンはラスト、非を認めカイルに謝っていたが、機長の言動・行動はなんら恥じるモノではなかったと思う。まあ、「スゲェ・・・」とは思うでしょうが。


ファーゴ

2006年02月21日 | 
★★★☆
監督;ジョエル・コーエン
主演;フランシス・マクドーマンド、スティーブ・ブシェーミ、ピーター・ストーメア
1996年 米・英

 うだつの上がらない自動車ディーラーのランガードは、借金返済のため金持ちの義父からお金をせしめようと妻の誘拐を計画する。実行犯の男二人を社員に紹介してもらい会う。
 変な顔のカールと無口な大男グリムスラッドは計画通り妻を誘拐するが、その途中尋問してきた警官を射殺。おまけにそれを目撃してしまった二人連れまで殺してしまった。
 単なる身代金誘拐が殺人事件に発展。担当にあたったのは身重の女性警察官マージだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 首謀者なのに、どんどん外野に押しやられて邪魔者扱いされるウィリアム・H・メイシーのくりくりした青い瞳が猫のようで、それが一番印象に残っている。あんなに事態が最悪な方向に転んでしまったのに、子供にはやさしく対応してあげているところとか。普通だったら、「うるさい!」と言ってしまいそうな精神状態だろうに。

 他に「変な顔」とみんなに言われてしまうビシェーミ。でも彼よりも寡黙で殺人をなんとも思わず、最後には相棒をミンチにしてしまうストーメアーの方が強烈。こういう男の頭の中はどうなっているのだろう。さもありなんと、本能のままに人を殺してしまう、こういうのが一番恐ろしい。
 この男の不気味さも、だだっぴろく雪で覆われたファーゴの地のなせるわざなのか。土地がさせる犯罪・・・・「インソムリア」に通じるものがある。

 キャラ立ちが特徴のコーエン映画。マージ役のマクドーマンドはとってもいい顔していて好きなのだが、彼女を妊婦にしたところとか、かつての学友(日系?)との再会シーンとかの、コーエン色は個人的に肌にあわないようだ。

ブリジッド・ジョーンズの日記

2006年01月12日 | 
★★★☆
監督:シャロン・マグアイア
主演:レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース、ヒュー・グランド
2001年 米・英

 30過ぎた独身女性ブリジット。ちょいと太めな彼女の悩みは、売れ残り女性へのあからさまな「はやく相手みつけたら?」視線。・・・独り身の焦燥感は言われなくても自分が一番身に染みている。
 そんな彼女に気になる男性が二人現れた。一人は幼なじみのバツイチ弁護士マーク。でも再会の気まずさから苦手な相手。もう一人は会社の上司、プレイボーイのダニエル。
 ダニエルとつきあうようになったブリジットだが、彼にとっては彼女は遊び相手のつまみぐい。おまけにマークとは過去になにやらトラブルが合った様子。ダニエルと別れマークに告白されたブリジットは彼に心がなびくが、再び現れたダニエルによってマークとは気まずいまま別れてしまう。しかし運命の男がマークだと悟ったブリジットは、自分の思いを告白しようとするが・・・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
 これはまるで昔の少女マンがの典型的パターンの夢物語。ちんけで冴えない女の子がデブで婚期を逃した30女(いわゆる負け犬)になっただけ。 
 映画でのブルジットはかわいいけれど、怠惰でおデブでさしたる取り柄もなく、努力もしない女性に「ありのままの君が好き」なんて、地位もあって見てくれも良い男がマジ告白するなんて、(女性からしたら夢のような話だけど)やはり説得力ないな~。せめてマークがブリジットに惹かれてしまう決定的なシーンをいれといてくれないと。そこのところ省いちゃだめだろう。まあ、ダニエルは単につまみぐいなのは納得できるが、でも最後には婚約破棄してブリジットを選ぶなんて、そこのところも納得いかない。レニーが演じるからおデブでもかわいいだけで、ブリジットそのものの魅力が最後まで描けていない。理屈抜きで魅力的ならそもそも売れ残っていないだろうし。

 素のレニーはどちらかというと嫌いなのだけれど、映画での彼女はいやじゃない。不思議。ヒューもこんな軟派な男がよく似合う。そしてやはりラストの情熱的なキスと熱い眼差しのコリン・ファースにメロメロなのであった。実際結婚したらマークはつまんない男かもしれないけれど、あんなに切なく見つめられたらやばい・・・。そのマークの熱き思いが、幼き日の裸でのじゃれ合いの延長っていうのじゃ納得できないな~(他に理由が見あたらない)
 好きなシーンやエピソードが沢山あっただけに残念!

フランケンウィニー

2005年11月25日 | 
★★★★
監督:ティム・バートン
主演:バレット・オリバー、シェリー・ディバル、ダニエル・スターン
1984年 アメリカ

 ヴィクター・フランケンシュタインの愛犬スパーキーは、彼の目の前で車に轢かれて死んでしまった。悲しみにうちひしがれていたヴィクターだが、ある日学校の理科の授業で、死んだ蛙に電流を流す実験を見てひらめいた。電気でスパーキーを蘇生させようと墓地から死体を掘り起こし継ぎ合わせ、嵐の夜、落雷のエネルギーを浴びさせる。そしてみごとにスパーキーは生き返った。
 ヴィクターは内緒でスパーキーを飼い始めたが、その存在は近所の住人の知るところとなり、苦情によって両親もスパーキーの存在を知ることになった。両親はスパーキーを受け入れたが、そのグロテスクな容姿で近所からは怪物扱いされ、追われることになった。今は閉鎖されたミニゴルフ場の風車小屋に逃げ込んだスパーキーと追ってきたヴィクター。しかしうっかり大人が小屋に日をつけてしまい小屋は燃え尽き、ヴィクターを助けたスパーキーは死んでしまう。
 近所の人たちはその姿に心打たれ、再びスパーキーを蘇生させようとみんなで車のバッテリーを繋ぎ、三度スパーキーは生き返った。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 バートンがディズニーで撮った実写映画第2作目。60分ほどの短編で長い間幻の作品であったという。資金的には結構なお金があったようで、主演俳優陣も個性的ではあるが知った顔が多い。ノンクレジットながら、ソフィア・コッポラも登場している。(隣の女の子?)

 スパーキーには一時一世を風靡したプルテリア犬。こんなところにもバートンのセンスの良さを感じる。モノクロの映像は昔の怪奇映画やヒッチコック映画を髣髴させ、「ヴァン・ヘルシング」での記憶も新しい最後の風車小屋のシーンは、その後作られたバートン映画(例えば「スリーピー・ホロウ」などの)原点として見ることができる。(見れば誰でも あ~なるほど と思うでしょう)
 自身になんの落ち度もないのにその姿形から迫害を受けてしまう、(後の「シザーハンズ」に通じるテーマ)の代表であるフランケンシュタイン物語。それを犬にしたところが、(しかもプルテリア)とぼけたばかばかしさとユーモアで、ラストのお気楽なハッピーエンドもさわやかなほど馬鹿馬鹿しく、う~んやっぱり好きだな、こういうの。
特に墓石の猫や犬のレリーフに、とてつもなく愛着を持ってしまう。マニア心をくすぐられる!

ブラザーズ・グリム

2005年11月14日 | 
★★★
監督:テリー・ギリアム
主演:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ
2005年 米、チェコ

19世紀ドイツ。ウィルとジェイコブのグリム兄弟は魔物騒ぎをでっちあげ、その退治をすることで賞金を稼いでいた。
ところがとある村では少女たちが次々に姿を消すという事件が続発していた。フランスの将軍に強制的にその真相究明を仰せつかった二人は、アンジェリカという女の猟師に案内を頼み、深い森の中に入って行く・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 TV予告とギリアム監督の新作だということと、子供にせがまれて期待して見に行った。映像は美しく、ヒース・レジャーもなかなかわいくそこそこに楽しめたのだが。後から映画館で観たということでかなり甘いかもという気がむらむら湧いてきた。

 確かに視覚的にはあきさせないが、ただそれだけのような・・・。グリム兄弟ものということで、二人が各地でお話を集めながら冒険するストーリーだと勝手に思いこんでいたせいかもしれない。でもこの映画だとグリム兄弟である意味ってあるんだろうか。(そんな風に堅苦しく考えちゃいけない?)グリム童話のエッセンスが要所要所にちりばめられてはいるけれど、それも上っ面をなでているような安直さで、「シュレック」の様なパロディにもなっていないから段々グリムでなくてもいいじゃん・・な思いが強くなってくる。

 なんかギリアム、どうしちゃったんだろうか?

そしてそもそもギリアムの映画を面白いと思ったことがないことにはたと気が付いた。「フィッシャー・キング」もしかり。ギリアムが固執する方向性がきっと自分とあってないんだと思う。彼のラ・マン・チャを期待していたけれど、なんとなく完成しなくて正解かも・・・などと納得してしまった次第。

フレンチ・コネクション

2005年11月08日 | 
★★★☆
監督:ウィリアム・フリードキン
主演:ジーン・ハックマン、ロイ・シェーダー、フェルナンド・レイ
1971年 アメリカ

 NYブルックリンで麻薬売人逮捕に躍起になっている、ドイル(ポパイ)と相棒ラソー。二人はあるクラブでその道の大物たちを目撃。その中でも金遣いのあらいサルに目をつけ尾行する。
 フランスのマルセイユではある刑事が射殺され、その男ニコロは実業家シャルニエと密会していた。シャルニエはアメリカの麻薬ルートへのコネクションを図っていた。
 サルの延長線上に浮かんだシャルニエと、麻薬商人ワインストック。彼らを追いつめるべく執拗に尾行するドイルらだが、敵もさるもの、まんまとまかれてしまう・・。

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 もともとはノンフィクション小説を原作としているので、淡々とした印象を受けるが、逆にうそくささがないのも特徴。それはドキュメンタリー出身のフリードキンの手法によるもので、音楽によるドラマッチックな演出もなければ、全体をとらえて撮すカメラワークにその印象を強くする。

 荒っぽい捜査で、明らかに問題児のポパイ刑事。過去にその行き過ぎ捜査で同僚を死なせているらしいが、その事に関するポパイの心情描写などはない。ポパイが語る熱い思いは「売人逮捕」に対することだけで、敢えて人間ポパイを描かない。その突き放した視点が、過剰にドラマに仕立てる映画が多い中とても新鮮だった。
 どこかでポパイの弱さや心情を切々と見せられたら、この映画は一気にありきたりな刑事モノになってしまっただろう。仲間を誤射してしまっても、ひるまず犯人を追いかける・・・この行き過ぎとも非情ともとれるポパイの姿こそ、この映画そのものという気がする。

 女性や車に古さを感じるが、殺伐とした都会NYの一面を、見事に見せる街の景色に一人鳥肌が立つ。こんなに暖かみのない、冷たい描写は初めて。