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魔女っ子くろちゃんの映画鑑賞記録

映画大好き!わがまま管理人の私的な映画鑑賞記録です。名作・凡作関係なく、好き好き度★★★★★が最高。

クィーン

2008年04月03日 | か~き
★★★
監督:スティーヴン・フリアーズ
主演」ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル
2006年 英・仏・伊
 
時は1997年イギリス。若き労働党の党首、トニー・ブレアが圧倒的多数でイギリスの首相に就任した。彼は筋金入りの改革派。
エリザベス女王は、親子ほども年の違うブレアを、複雑な思いで首相に任命する。
 その年の8月、英王室のやっかいの種、ダイアナ元皇太子妃がフランスで恋人と自動車事故に遭い死亡した。チャールズと離婚した後も、メディアの話題の中心はダイアナだった。その人気は死後ますます絶大になり、彼女を苦々しく思っていた皇室の、静観の姿勢にマスコミやイギリス国民の非難が集中する。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 未だその死の真相がいろいろ取りざたされる、ダイアナ元妃。そこにスポットが当てられるでもない。(当然といえば当然だが)悲しんで狼狽えてみせるチャールス皇太子が、とっても白々しく見える時点で、これはなんの映画なのだろうかと大いに疑問が残る。ダイアナ以外は現存しているのだから、(立場上)取材に応じるなんてことあり得ないわけで、となると憶測で作られている映画なわけだ。
 にしても、この辛辣な皇室の描き方は驚き。日本では到底考えられない。フィリップ殿下なんて、人間として最低ではないか。こんな風に描いて大丈夫なのかと心配になる。(英国に比べれば、日本はまだまだ皇室批判はタブー視されている)

 フィリップ殿下は貶めながら、結局は女王は擁護しているような印象も受けるが、それも見る人によって取り方も様々に異なるだろう。
「ダイアナは生きていても死んでもやっかいだ」という言葉の恐ろしいほどの冷たさ。ダイアナが嫌ったという鹿狩りは、英王室では崇高な伝統なのだろうか。夫の浮気ぐらい大目に見るのが、皇太子妃の務めなのだろうか。人の心を持たぬ嫁が望みなら、これほど愚かしく、人を馬鹿にした結婚はない。
 ダイアナにも我慢ならぬ落ち度や、配慮に欠けた部分が多々あったとしても、死者にむち打つ姿勢に共感することは到底できない。

 劇中、唯一秀逸だった大鹿との対面シーン。その孤高な姿に自分と同じ境遇を見たとも解釈できるが、今までその命をうばって来た事に無関心であった女王が、初めてその崇高なる「命」と対面した瞬間だった。女王が今まで見てこなかったもの、見ようとしなかったもの、その美しくも気高い姿に言葉を失う女王。今まで絶対だと信じてきた何かが、女王の中で揺らいだ瞬間。
 「お逃げなさい」と鹿を庇った女王は生身の人間としての素直な感情を見せた。しかし大鹿は皇室の伝統により殺され、無惨な姿を女王の前にさらす。複雑な思いを胸に秘め、客人に祝辞をと言わざる得ない女王は、確かに不幸な女性なのかもしれない。

 一見誰の事も擁護していない描き方に、女王の悲哀と理解するブレアのシンパシーでちゃんちゃん、のような終わり方だったが、こんな家庭(と言っていいのか)ではろくな子供は育たんと普通に納得。


キス★キス★バン★バン

2007年02月20日 | か~き
★★★★
監督:スチュワート・サッグ
主演:ステラン・スカルスガルド、クリス・ペン、ポール・ベタニー
2000年 イギリス

組織最高の殺し屋フィリックス。限界を感じた彼は、弟分に後を託し引退宣言するが、待っていたのは経済難やら恋人の妊娠やら…。しかも組織は引退を許さず刺客を送る。 金に困った彼は子守りまで引き受けるが、その相手は過保護のあまり33年間も子供部屋だけで生きてきた大きな子供、ババだった。 硬派に生きてきた男にとって、世間知らずのババは手に負えない難物。そんな中、とうとう2人きりの逃避行が始まる。 戦うフィリックスと純粋無垢なババ。次第に彼の心にも、忘れていた「愛」が蘇る。しかし、組織の魔の手が届き、ババが銃弾にたおれてしまう・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

障害者が出てくる映画は苦手分野の一つだったが、
クリス・ペン演じるババはその限りではなかった。
案の定、障害者ババは純粋無垢な存在として存在するが、
そこに倫理観の強要といった押し付けがましさを感じなかった。
クリス・ペンという個性的な魅力を持った俳優の力量か。
子どもよりも子どもらしい、愛すべきキャラのババ。

つくづく惜しい俳優さんを亡くしたな。
私はお兄ちゃんより好き。

何がスバラシイって、ババを演じるクリス・ペンの目が良いの。
くりくりっとして
ババの目は生まれたての赤ちゃんのまんま、真っ白。
フェニックスによって外界の刺激をどんどん吸収していくのだけれど
ババはいつまでも白いまま。
何色に染まっても汚れていくことがない。
これは凄いことではないか。
それ故にババの父親もフェニックスも、
みんなみんな彼を愛さずにはいられない。
そして私もババを愛さずにはいられない。

ありがとう、そしてさよなら、
ババ。
クリス・ペン。


華麗なる賭け

2006年09月29日 | か~き
★★★☆
監督:ノーマン・ジュイソン
主演:スティーブ・マックイーン、フェイ・ダナウェイ、ジャック・ウェストン
1968年 アメリカ

 トーマス・クラウンは、巨万の富を持つ実業家。離婚はしているものの、何不自由ない生活を送っている彼が、密かに情熱を燃やしているのが銀行強盗である。年密な計画を練り、実行する。そのスリルを楽しんでいた。
 計画は見事に成功し、奪った金を匿名でスイスの銀行に預けるクラウン。しかし損害賠償金を支払うはめになった保険会社は凄腕の調査員ビッキーを送り、ボストン警察のマローン刑事と共に犯人捜しを試みる。
 ビッキーは独特の感で、クラウンがあやしいとにらんだ。美術品のオークション会場でクラウンに近付き、自分の素姓を明かすがクラウンに動揺した気配はない。
 さぐりを入れながら交際を始める二人。ビッキーは同僚に非難されるが、誘惑も手のうちと交わす。しかしクラウンの証拠はなかなかつかめなかった。やがてビッキーはクラウンを愛し始めてしまう。交換条件を持ちかけるが、それはマーロン刑事に一蹴されてしまう。
 そして、再度銀行強盗をしかけるとクラウンはビッキーに打ち明けた。その金を受け取って、二人で南米に旅立とうと誘う。計画は実行され、金の受け取り場所でクラウンを待ちかまえるビッキーと警察。来ないでほしいと願うビッキーだったが、クラウンの車がやって来る・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 むか~しリバイバルで映画館で観て、大好きだったフェイ・ダナウェイがあまりきれいに撮れてなくてがっかりしたものの、哀愁を帯びた主題歌「風のささやき」に魅了されて、それがすごく印象に残っていた。
 その後リメイクされた「トーマス・クラウン・アフェアー」を観たが、なにか違う。スティングの歌う「風のささやき」もオリジナルを越えてはいなかったように思われた。

 今回再度オリジナル版を観て、この映画が醸し出すどこかうら悲しい雰囲気は、スティーブ・マックィーンとあの主題歌によるものだと確信した。トーマス・クラウンは事業に成功した大金持ちではあるが、心は空虚でどこか退廃的。スリルを味わうための銀行強盗にしても、意気揚々とした高揚感はあまり感じない。失敗して捕まることを心のどこかで期待しているような、屈折した風雑な心理を、マックィーンの表情は語っている。
 そんな時現れた美人の調査員ビッキー。彼女はのっけから素姓と目的をトーマスに明かす。自分を追いつめようとする女との情事こそ、トーマスの望んでいたaffairだったのかもしれない。
 
 やさしいが心の内を見せることのないトーマスに惹かれてしまったのはビッキーの方だった。追いつめるはずの女は苦しみ、そんな彼女に男は究極の選択を強いる。
 最後まで、マックィーンの表情は変わらない。やはりどこか哀しそうな瞳のままだった。映画全編を包み込むもの哀しさ。・・・・ピアーズ・ブロスナンではだめだったということか。

 昔はハッピーエンドだと思っていたが、どうなんだろう。
ビッキーはこの恋のかけひきに負けてしまった。トーマスの元へは行かないのではないかと思う。それを承知の上でのトーマスの行動・・・。なんとも哀しい。

きみに読む物語

2006年08月01日 | か~き
★★☆
監督:ニック・カッサテヴェス
主演:ライアン・ゴスリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ、ジェームズ・ガーナー
2004年 アメリカ

 老人介護施設の窓辺に佇む女性がいた。彼女の名はアリー。認知症だった。そのアリーに毎日物語を読み聞かせる、同じく入居者の男性。彼は医者がそんなことをしても無駄だと忠告しても、ある目的のために「アリーとノアの恋物語」を読み聞かせることをやめなかった。
 1940年代。地元で木材の仕事をしているノアは、ある日遊びに来ていた富豪の娘アリーにひとめぼれした。ノアの猛烈なアタックもあり、二人はたちまち恋に落ちた。しかしその恋は一夏の経験と呼ぶには真剣すぎた。
 境遇の違いにより、アリーの両親からは反対され、あげくケンカ別れの形で夏の終わりをまたずに離ればなれになってしまった二人。やがて戦争が始まり、7年の歳月が流れ、アリーは新しい恋人と巡り会い婚約する。しかしある新聞記事が、再び二人を引き合わせた・・・・・。
 物語を聞くうちに、二人の恋の結論を知りたがるアリー。しかしその話は今までにも何度も聞いた話だった。自分の子供が会いに来ても分からないアリーは実はその男性の妻だった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 認知症の女性がアリーという名前からして、すでにネタはばればれであった。まあ、それは確信犯ではあっただろうが、老いたノアがジェームズ・ガーナーというのは、あまりにも無理があるんではなかろうか?そっくりさんにしてくれとは言わないが、こりゃああんまりだな~と。(ラストに出てくる写真は演じた二人でなく、若きガーナーとローランズだ。)おまけにジェームズ・ガーナー、こんなんになっちゃたのね・・・なガックリ感も。
 
 憧れの妻が認知症になり、彼女を恋してやまなかった夫が献身的な介護をするパターンは「アイリス」と同じだが、「アイリス」の回想シーンの方が秀逸で、こちらは少し長々欲張り過ぎた。せっかく、戻った記憶も5分ともたない・・という胸にせまるシリアスなエピソードがあるのに、ラストの持って行き方にしてもセンチメンタルな大甘テイスト。そして、若き二人の回想シーンが、私には感傷的な涙を狙った中途半端な印象だった。なにかが、なにかが沢山足りない。
 
 ちょい役だったサム・シェパードはとてもステキで、この使い方はもったいない。現在のノアが彼でも良かったのに。
ガーナーさんのふけ具合にはがっかりだったが、ジーナ・ローランズは太ってしまったとはいえ、さすがの美貌と貫禄。

ガーフィールド

2006年03月01日 | か~き
★★★
監督:ピーター・フューイット
主演:ブレッキン・メイヤー、ビル・マーレイ/アラン・カミング(声)
2004年 アメリカ

 ガーフィールドはジョンの飼い猫。やりたい放題、自由気ままな生活を満喫していた。ところがジョンが憧れの同窓生で獣医のリズの頼みで、子犬のオーディを引き取ってから生活は一変してしまった。
 ジョンの関心はオーディにいき、存在感を失ってしまったガーフィールドは面白くない。わざとではなかったものの、オーディを家から追い出してしまい、そのまま車を追って行方不明になってしまう。
 芸の出来るオーディは人気悪徳タレントの手に渡ってしまい、オーディ救出にガーフィールドは奔走する。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
 ちょうど猫を飼おうと物色中だったので、タイムリーな映画だった。CGアニメと実写の合体作。ガーフィールドのみアニメ、違和感はまずまずといったところ。

 この手の作品にいつも思うことなのだが、あまりにもキャラ立ちしている場合、そのキャラをメインとした映画作りは難しいのか、あまりお目にかかれないのがちょっと不満。本作品も主人公はガーフィールドではあるものの、印象に残るのはオーディだったりして、主役影薄くない?シリーズ第2作目~なら分かるけど。

 ブレッキンはどうもカーター先生と被ってしまう。人間の存在感が薄いのも仕方ないのかな?
 


キング・コング(1933年度版オリジナル)

2006年01月15日 | か~き
★★★★
監督:マリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック
主演:フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、ブルース・キャポット
1933年 アメリカ

 大した知識が無くても、エンパイヤー・ステート・ビルから落っこちる猿、といえばピンポーン!「キング・コング」と誰もが答えるほど有名なお話。
 ジュクソン監督の新作を見たなら、やはりオリジナルはおさえておかないと。

 ジャクソン監督はアレンジすることなく忠実にリメイクしたとあるが、決定的なことが違う。それは「オペラ座の怪人」でも同様に言えることで、野獣=怪人はヒロインに決して愛されることなく死んでいくことだ。リメイク作品のように、その死を誰にも悲しんではもらえない。ある意味究極の悲劇といえるだろう。
 それではあまりにも野獣コングがかわいそうと、最新作では夕日を一緒に見せてあげたり、氷上で戯れさせてあげたり、良かったね~コングとしみじみ。きっとこのオリジナルを先に見ていたら、2005年度版は倍泣いてしまったかも。

 そのコングへの扱い同様、オリジナル版はすこぶるテンポが良い。早すぎて感慨に浸っている暇がないほどだ。映画としてはこちらの方が出来は良いといえる。

 普通に考えたらこの状況では、あの怪獣に心を通わせる余裕なんかないだろう。アンにとってコングは分けの分からない怪物なのだ。・・ただもしかして後から「ひょっとして、彼は私を守ってくれた?」と思うかもしれないが・・・。
 2005年度版では違和感のあったデナムの「野獣は美女に殺された」というセリフは、本編においてはなるほどと納得。人間の女に恋してしまった時から、コングの破滅は始まってしまった。
 知らなきゃいいことは沢山ある。

 野獣は野獣のままで・・・・・。

キング・コング

2006年01月13日 | か~き
★★★★★
監督:ピーター・ジャクソン
主演:ナオミ・ワッツ、アンディ・サーキス、エイドリアン・ブロディ
2005年 ニュージーランド、米

 1933年NY。大恐慌まっただ中、ボードビリアンのアンは失業し、食べるものにも事欠き街を彷徨っていた。つい手を伸ばしてしまったリンゴの代金を払ってくれたのは、野心家の映画監督カール・デナム。彼は幻の島スカル・アイランドでの撮影に執念を燃やしていたが、投資家には見限られていたので強行手段に出ようとしていた。
 アンに白羽の矢をたてたデナムは早々に出向してしまう。しかしその行き先は船長はおろかデナムの関係者しか知らない。明らかになった時、すでに船は引き寄せられるようにスキル・アイランドへと引き寄せられていった。
 誰もいないと思われた島で原住民に襲われ、命からがら船に戻った一行だが、その夜アンが彼らに拉致されてしまう。アンはこの島に生息し恐れられているトング・コングへの生け贄に選ばれてしまったのだ・・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 1933年に制作され、一世を風靡した「キングコング」のリメイク。前作のように時代を現代に移すことなく、30年代のままにしたところにもジャクソン監督のオリジナル版へのリスペクトを感じる。
 全編に監督の「キングコング」に対する「愛」を感じて、もうそれだけでうるうるになってしまった。これはいわゆる流行のリメイク映画ではない。もう作りたくて作りたくてしょうがない!「LOTR」で成功したし、これだけはお願いやらせてちょうーだい!ちょっと思い入れが強すぎて、力入り過ぎちゃって(よけいな部分も多いかもしれないけれど)長くなっちゃったけど勘弁してね!
 ・・・・・いーよ、いーよ、そんなこと。その熱き思いが人の心を動かすんだから。うまいなあとか、ステキとか、いろいろ感動させてくれる映画は多々あるけれど、こんな風に情熱の直球をど真ん中に放り込まれて言葉を失う映画はそうそうない。完成度はともかくとして、「LOTR」より「コング」が好きだ!

 思えばこの映画には悪人がいそうでいない。方向性や対象が違うだけで、みんな愛するなにかのために命をかけて戦うことを惜しまない。コングはもちろんアンに。アンもコングに。(え、両思い?)ジャックもアンに。ヘイズはジミーに。一人悪役のようなデナムでさえ、映画を撮る!という行為に命をかけている。
 そしてそれぞれがなんとなく一方通行ではなくて両思いなのは監督の愛ではないだろうか。

 オリジナルよりもぐっとアンに惚れられているコング。(この関係は「オペラ座の怪人」と似ている)恋敵のジャックを船員から、線の細い作家ブロディに変えたのもコングに敬意を払った?というのは深読みしすぎか。
 コングったら粗野で不器用な心優しい男そのもの。命がけで愛するモノを守ろうと戦うのに、弱っている自分を見られるのは大の苦手。傷ついた時に見せるコングの素っ気なさがいじらしい。でも女っていうのはそういう姿にそそられちゃうんだよね。
 コングに血を通わせたジャクソン監督。センチに走ってしまった切り口だったかもしれないけれど、いい、いい。コングを愛するアンはジャクソン監督そのものだ。

 NYの夕日を一緒にながめていたアンとコング。最初に夕日の美しさをアンに教えたのはコングの方だった。だからコングはエンパイアーに登ったんだね。ぐすん。でも一番泣けたのは生け捕りにされるシーン。

 余談だが、昆虫大っきらいでも、クリーチャーなシーンはオタク監督ぽくっていやじゃない。切り傷も骨折もないアンには驚きだが、あんなにぐるんぐるんに振り回されたら、脳の血が片寄っちゃってさぞかし気持ち悪かろう・・・と心配していた。(というか、それだけで死んでる?)
 そしてどんなに愛があっても高所恐怖症の私は、ぜ~ったいあのビルの梯子なんか登れない。夕日見る前に自分から落ちて死んでます。
 
 この手の映画って四六時中叫びまくるヒロインの悲鳴がすご~く神経にさわっていたものだが、この映画のアンはそんなことがなくて助かった。ナオミ・ワッツは多分ニコール・キッドマンでも良かったのかもしれないほど雰囲気が似ている。ニコールの方が絶世の美女って感じだが、かわいらしいのはワッツかも。とりあえず彼女は昔と違って「あのキングコング女優」なんて代名詞がつくことはなさそうだ。

キング・アーサー

2005年11月27日 | か~き
★★☆
監督:アントワン・フークワ
主演:クライブ・オーウェン、ヨアン・グリフィズ、キーラ・ナイトレイ
2004年 米・アイルランド

 時は5世紀。ローマ帝国の支配下にあったブリテン。そのローマ軍の司令官アーサーと彼の円卓の騎士たちは15年という兵役終了を目前に控えていた。
 ブリテンを巡っては、ローマからの独立を目指し反乱を起こしているウォードとローマ軍との闘いの他に、サクソンという残虐な軍が両者の闘いの隙をついて侵略を図っていた。ローマ軍のために戦っていたアーサーではあるが、母はブリテンの人間。
 兵役終了間際に、無理矢理命を受けたローマ人一家の救出も終え、晴れて自由の身になったアーサーと円卓の騎士たち。しかしサクソン軍がブリテンへの侵略を強めている。ローマ軍も撤退する中、アーサーだけがブリテン救出のために戦うことを決意。始めはアーサーと袂を別った円卓の騎士達もサクソンとの闘いのため、アーサーの元に戻ってきた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 お恥ずかしいことにアーサー王伝説というものをよく知らない。知らないがちょっと調べただけで、「アーサー」「円卓の騎士」「トリスタンとイゾルデ」「エクスガリバー」「ランスロッド」などなど聞き覚えのあるキーワードが沢山出てきた。もの凄く有名で、もの凄くわくわくする話らしい。
 それでこの映画の印象はというと・・・すごく地味で面白くもなんともなかった・・・ということになる。

 アーサー王伝説自体解明されていないということで、解釈はいろいろあるらしい。だからこのアーサー王の話でもOK。それはそれでも構わないが、なんだかさっぱりわくわくすることがなかったのは、まれに見るおいしい素材を映画がうまく料理できなかったためだろう。人物描写も浅いし、キャスティングも地味。クライブ・オーウェンもヨアン・グリフィスも役者的には嫌いじゃないが、それがアーサー、ランスロッドとなるとやっぱり「?」。おまけにトリスタンはまるで印象が薄い。
 王妃となるグイネヴィア。アーサーとの絡みも中途半端。無知ながら彼女が王妃になることを知らなかったので、映画では男の話に割り込んだ邪魔な存在でしかなかった。男たちがみな戦闘服なのに、なぜあんなに肌もあらわな姿で参加する?・・・あら捜しではないがこういう細かいことが気になる。やはりいらない存在だなあ。

 自由自由とアーサーは声高々に叫び続けるが、この映画で描きたかったのはこの時代の戦闘シーンだったのだろう。しかしそれもこの手の作品があふれている時にあっては感動も薄い。

キルトに綴る愛 

2005年09月05日 | か~き
★★★
監督 ジョスリン・ムーアハウス 
出演 ウィノナ・ライダー、アン・バンクロフト、エレン・バースティン
1995年 アメリカ

 大学院生のフィンはその卒論を祖母とその姉の家で書き上げることにした。フィンには結婚を約束した恋人サムがいるが、両親が離婚している彼女は結婚に対して不安を抱いている。
 祖母たちの家では昔からキルト作りをする7人の仲間が集っている。そのそれぞの愛憎物語を聞いているうちに、段々とァリッジ・ブルーに陥っていくフィン。つい尋ねてきたサムと口論になり、その土地の青年と過ちを犯してしまう。
 しかしキルトを制作していくうちに、過去の自分と向き合い、互いのわだかまりを越えていく老女たち。そしてフィンもサムとの結婚生活に生きる決心をする。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 女性による女性映画という感じがする。でも女性のための映画か・・・というと微妙。私はどちらかといえばこのテイストは苦手かも。ただ、ふんわりするすると心地よい錯覚があって見やすいとは思う。

 もくもくと針を刺し、思い思いにピースを作りあげる女たち。でもひとつの作品に仕上げるためには調和が必要。
 仲間の夫と関係してしまい、嫌悪の目を向けられるコンスタンスは愛する亡き夫との思いでの黄色を刺すが、その色は調和を乱すとはねられてしまう。辛辣なシーンだ。
 7人全てが過去になんらかのわだかまりを残しながら、最後にはそれでも「愛されていたひととき」を思い出し、その険しい表情を柔らかくしていく。まあ、人それぞれいろいろあるわさ、てな物語である。
 老女たちの若き姿が過ぎ去った想い出での中にあるせいか、皆美しい。案内役のフィンは本当に必要だったのだろうか。ウィノナ自体はとても綺麗だったのだが・・・・・。

キングダム・オブ・ヘブン 

2005年08月05日 | か~き
★★★
監督 リドリー・スコット 
出演 オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、ジェレミー・アイアンズ
2005年 アメリカ

 12世紀のフランス。鍛冶屋のバリアンは妻に自殺され、その埋葬の仕方にキリスト教への不信感を募らせる。ある日十字軍の英雄ゴッドフリートから、自分が父であると衝撃の告白を受ける。ゴッドフリートから一緒にエルサレムへ行くよう説得されるが、彼は死に、複雑な思いを胸にバリアンは亡き父の志を継ぐ。
 エルサレムでは賢王とイスラム王サラディンの間で辛うじて和平が保たれていた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 機内での観賞のため、画面はとてつもなく小さく集中もできず、この作品をちゃんと評価はできない条件であった。
 歴史物は好きだが苦手。その理由は背景や人物、相関関係が込み入っていてとても一度では掌握できないから。(必ず何度か混乱する)スケール感はないがDVD観賞が適している。

 オーリー・ファンでない私は、今回の彼はあまり出しゃばらず、なかなか良かったと思う。主役ではあるが、嫌みなく淡々としていたのが逆に好印象。これがもっとバリアンを中心に描かれた演出だったらどうだっただろう。(ただそのあたりが全体的に散漫に感じてしまった要因でもありそうだが)
 
 とにかく映像はさすがのリドリー・スコット、重厚で美しかった。(ちょっと仰々しい音楽がうるさいが)
 
 これでもかの豪華キャスト。すぐ死んでしまう父親が定着してきたリーアム・ニースンを初め、アイアンズをこんなもったいない使い方していいの~?と心の中で叫んでいた私。 そしてなにより驚いたのがエキゾチックなヒロイン、エヴァ・グリーン。なんと「雨の訪問者」などのコメディエンヌ、マルレーヌ・ジョベールの娘さんだとは・・・。感慨深い。

海底20000マイル 

2005年04月02日 | か~き
★★
監督 マイケル・アンダーソン 
出演 リチャード・クレンナ、ベン・クロス
1997年 アメリカ

 19世紀半ば、世界各地の海で謎の沈没事故が多発していた。米政府は調査団を送り出すが、その犯人は戦争を憎むネモ船長率いるノーチラス号という潜水艦だった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
 この児童文学の大傑作を実は読んでいない。去年読んだ息子が、映画をぜひ見てみたいと言っていたので早速一緒に観賞してみたところ・・・・息子は唖然としていた。原作と違う!のだそうだ。

 そもそもこの映画ではヒロインが登場する。(教授の娘という設定)男装し船に乗り込み、ネモ船長のノーチラス号に襲撃され、漂流していたところを船長に助けられる。するとネモ船長は君こぞ我が理想の妻!とご執心、銛うちネッド(旧作ではカーク・ダグラス)と争奪戦をすることに・・・・。
 ジュール・ヴェルヌ のお話てこんななの?となにか違和感感じる私に、息子は「女なんか出てこなかったし、ネモ船長もこんなエロじゃない」とあきれていた。従って、これは似て非なるものらしい。やっぱり!

 ということで、本はかなり面白いらしいので今さらながらに、原作読んでみようと思う。

かげろう 

2005年03月20日 | か~き
★★★★
監督 アンドレ・テシネ 
出演 エマニュエル・ベアール、 ギャスパール・ウリエル
2003年 フランス

 1940年、まだ戦争中のフランス。戦火を逃れてパリから南に逃げているオデールはしっかりものの長男と、まだ幼い娘を連れた人妻。しかし夫はすでに戦死していた。途中ドイツ空軍の攻撃に遭い、命からがらのところを偶然救ってくれた少年イヴァン。まだ幼さの残る不思議な少年の導きにより、4人は空き家を見つけ戦火を逃れるためにそこで暮らすようになる。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 独特の個性を持つベアールもいいが、男というには幼すぎる謎の少年イヴァン(自称)を演じるギャスパール・ウルエルがかわいすぎ!時にどきっとする男の顔を見せ、時にとてつもなく幼い顔を覗かせる。オデールと結ばれた翌日、再び彼女の前に現れたイヴァンは同じ人物とは思えないほど子どもの顔をしていた。あまりにもどうしようもないほど幼くて、それがすごく残酷だった。

 オベールに妻になってほしいと求愛する少年。「言葉の使い方を知らないんだ」と弁明するイヴァンは幼いだけでなく教養もない。子持ちの人妻と17歳の少年の恋は(恋といっていいのか)常識ではあり得なくても、戦時下という異常な状況では成立する。・・・するのかな?
 17歳の少年に走ったオベールよりも、未来のない自分をどこかで悟り、最初で最後の女性だと、オベールに体当たりでぶつかってきたイヴァンが哀れ。彼はオベールの長男とさそう歳も違わない幼い少年なのだ。

 愛というよりは、母と息子のような哀しいけれど心安らぐ結びつきだったのかもしれない。


華氏911 

2005年02月02日 | か~き
★★★
監督 マイケル・ムーア 
出演 マイケル・ムーア、J.W.ブッシュ、他
2004年 アメリカ

 大統領選もブッシュ勝利で終わり(対抗馬がしょぼすぎたのかも・・)時期的には明らかに旬をはずしてはいたが、どうしても見たかった映画である。

 ドキュメンタリーではあるが、映画的には前作「ボーリング・フォー・コロンバイン」の方が良くできていると思った。ちょっと本作品は散漫な印象を受ける。ただ個人的にブッシュは大嫌いなので、偏った視点と承知していても大いに賛同、その憤りには共感する。
 
 ブッシュ家とビンラディン家の密月の真偽はともかくとして、重要なのはあのおまぬけ面のノー天気男のために今現在も愚行が続き、沢山の血が流れていると言うことに尽きる。宗教の名の下に血で血を洗う行為も愚かではあるが、宗教を利用し、自らは一滴の血も流さず利権を追求する輩がのうのうとうまい汁をすっている事実は許せない。

他人が流す血は痛くない。そんな人間たちを支持するのが敬虔なクリスチャン団体というのがこのうえない皮肉だ。もはやキリストが流した血は無駄になった。キリストの思いや教えから最も遠い人間たちがそこにいる。と「パッション」を同時期に見たのでどっと空しくなった。

 あたりまえのことではあるが、自分の血を流さない、または人が流した血の痛みに無頓着な人間は指導者になっちゃいけないよね。彼らのために、どうしてイラク人やアメリカ兵が死ななければならないのだろう。こんなに理不尽で不毛な死はないと思う。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 

2004年09月16日 | か~き
★★★
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 トム・ハンクス、レオナルド・デュカプリオ、クリストファー・ウォーケン
2002年 アメリカ

 1963年、16歳のフランクは両親の離婚を機に家を飛び出し、生きるために小切手詐欺を思いつく。人々を欺くためパイロットになりすましたかと思えば、次は小児科医、弁護士と次々に詐欺を働くフランク。
 FBI捜査官のカールはフランクを追うがなかなか捕まえられない。しかしついに逮捕された彼はその抜群の能力(?)を買われ、FBIで働くことになった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 1960年代に実在した詐欺師の自伝映画(らしい)。おしゃれな作りでスピルバーグにしては仰々しくなく、オープニングタイトルから終始60年代の雰囲気が醸し出される。これでディカプリオ・ファンなら言うことないのだろうが、そうではないのが正直つらい。

 トムとレオ、この2人のキャラクターに依存した映画である。話としてはあまり面白くないかも。偽造の仕方もへ~と感心するほどのこともなく、騙されてる人たちがお馬鹿な印象。実際はもっと巧妙であったのではないだろうか。
 幸せな頃の家庭生活にすがりつく孤独な少年フランクではあるが、追われなければ逃げない鬼ごっこであるならば、もう少し捜査官カールとの濃いかけひきや心情を演出してくれれば、もっとぐっときたかもしれない。

 今はなきパンナムがふんだんに出てくるのが懐かしい。そういえば大相撲でいつもよろけながらトロフィーを渡していた名物おじさん、ご存命だろうかなどと思ったり・・・。

回転 

2004年08月26日 | か~き
★★★
監督 ジャック・クレイトン
出演 デボラ・カー、マイケル・レッドグレイブ、パメラ・フランクリン
1961年 アメリカ

 ミス・ギデンスはまだ幼いマイルスとフロラ兄妹の家庭教師になるためにブライハウスへとやって来た。
 誰か見知らぬ男の姿を感じ、また黒衣の女の姿も目撃し、その影に怯えるギデンス。事情を知っていそうなグロース夫人にを問いつめると、女はかつての兄妹の家庭教師、男は何者かに惨殺された執事であるという。
 この邪悪な二人の霊は、兄妹の体を通じて今も混じり合っていたのだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 ヘンリー・ジェームズの「ねじの回転」は読んだことがある。だから内容はかすかに記憶にあり、姉妹編の「妖精たちの森」の情報も断片的にあったので、見ながらああ、そうそう。そうだったと一人納得の鑑賞会。

 霊の話だが、主演がデボラ・カーとあっては品がなかろうはずがない。なんでもありのこのご時世にあってはショッキング場面も微笑ましい。邪悪な執事と前家庭教師とのみだらな関係もイマジネーションを刺激される。(「妖精たちの森」ではこの部分がメインだったはず。マーロン・ブランドはぴったりかも)

 ラストは「へ?」とキツネにつままれたような終わり方だったので、これはぜひとも執事と子供たちの関わりを描いた「妖精たちの森」が観てみたくなった。
  ホントに恐いのは幽霊ではなく純真なはずの子供たち、というのは今では驚きもしない展開だが・・・。