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魔女っ子くろちゃんの映画鑑賞記録

映画大好き!わがまま管理人の私的な映画鑑賞記録です。名作・凡作関係なく、好き好き度★★★★★が最高。

善き人のためのソナタ

2008年02月26日 | や行
★★★★☆
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
主演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ
2006年 ドイツ

 ベルリンの壁崩壊数年前の東ドイツ。国は市民の自由な行動や思想を厳しく規制し、互いに監視し合うことを奨励していた。 国家保安局シュタージのヴィスラー大尉は、危険分子を尋問するその手を決して緩める事のない完全な国粋主義者。
 そんな彼が人気劇作家ドライマンの監視にあたる事になる。ドライマンは思想的に優秀とされながらも、うさんくささを感じ取った大臣によって要注意人物にあげられてしまったのだ。ヴィスラーはドライマンの家に盗聴器を仕掛け、昼夜問わず彼と恋人である女優クリスタの生活をただひたすら監視し続ける。
 彼らの生活は、家族もなくただ国に忠誠を誓う孤独な中年男、ヴィスラーとはかけ離れたものだった。盗聴し、彼らの会話・行為の全てを記録し続けるヴィスラーの心にやがて変化が起こる・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 こんなにぐっときたラストは久しぶりでした。この映画はラストの、最後の台詞のためにあったと言っても過言ではない。
途中途中で泣かせる映画は沢山あるが、最後の一瞬で、見る人の感情を爆発させる映画はそう多くない。ドライマンの本の1ページに書かれた感謝の言葉に、孤独な中年男ヴィスラーが求めていたものがあった。(=人と関わって得る事の出来る人生の潤い)それを得た実感、この上ない至福の思いが集約されていた。今まで暗闇の中で生きて来た男の前で、光射す天国のドアが開かれた瞬間だった。
 ドライマンは敢えて直接言葉をかけずにその著書に感謝の気持ちを託した。ヴィスラーが人知れず自分たちを守ってくれたように、自分もまた自分らしく思いを伝えたのか。
 二人は互いに孤独を恐れる似た者同士であったのかも。(劇中、ドライマンはそう評されている)ヴィスラーの真意は分からずとも、彼に同類の匂いを感じたのでしょう。そしてそれを「これは私の本だ」と理解するヴィスラー。まれに見る秀逸なラストです・・・。

 ドライマンらを初めて見た時から、特別視していたヴィスラー。当初はクリスタの美しさに心動いたのかとも思っていたが。
劇中、明確に語られる事はなかったが、おそらくはかつてヴィスラーも物書きまたは芸術関係への志があったのかもしれない。
自分の筋書き通りに、クリスタが政府高官の元へは行かず、ドライマンに戻った行為のいきさつをリポートされ、「いい文章だ」と悦に入る。
 いつしか体制側に身も心も売り、忘れかけていたもう一人の自分を、ドライマンたちに重ね合わせていたのだろうか。

 隣人同士が監視し合い、密告し合い、言論・表現の自由もなかった東ドイツにおける壁の崩壊の重みを、この映画によって再認識。上級高官らのモラルの低下に象徴されていたように、崩壊も必然だったのか。

 どんな状況下にあっても、人と人との心の交流は存在する。当たり前の事が難しい時代にあって、霧が晴れたように二人の抱擁が実現したラスト。本当に見事です。
 

ユナイテッド93

2006年08月30日 | や行
★★★★
監督:ポール・グリーングラス
主演:
2006年 アメリカ

 2001年9月11日。ニューヨーク発サンフランシスコ行き「UA93便」は”いつものように”運行し、無事に目的地に到着するはずだった。
 管制塔に最初の異変が報告されたのは、就航中の飛行機で音信不通の便がでたことだ。管制官が何度か交信を試みると、異常な会話を確認。ハイジャックされた可能性があることが判明。しかもその可能性は一機だけに留まらない。事態の把握もままならず混乱する管制塔。その連絡は軍にも伝わり、アメリカ全土に緊張が走る。
 そして誰もが我が目を疑うその「事件」は起きた。ニューヨークのツインタワーの一棟に飛行機が突っ込んだのだ。CNNニュースのモニターを見て呆然とする管制官たち。しかしそれはまだ始まりにすぎなかった。ハイジャックの疑いがある機がその後、もう一機ツインタワーに激突した。
 その頃何も知らずに運行していたUA93便にも異変は起こっていた。アラブ系の乗客3人が爆弾とナイフにより機をハイジャック。機長・副機長は刺殺され、その操縦桿を握っているのはアラブの男だった。
 彼らの目的は、他の機に続いてこの93便をホワイトハウスに激突させること。携帯電話で家族と連絡を取り、何が起こっているのかを知り始めた乗客たちは、すでに犯人の目的が自爆であることを察知する。このままみすみす死んでなるものかと、万に一つの可能性に賭けて、彼らはハイジャック犯らに挑み93便を奪還しようとするのだが・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 先に見た友人が「面白くない」と言っていたが、9.11に起こった事実、それを娯楽性を一切排し、取材に取材を重ね、可能な限りありのままを(想像して)再現してみようと試みたこの作品は、「面白いか否か」で判断することはふさわしくない。無論映画であるから観賞に耐える作品としての水準は必要であるが、それは十分にクリアしていたと思う。
 UA93便は、テロリストの目的を阻止した唯一の機であったことで注目を浴びているが、他の3機に関しても同様の修羅場があったことを忘れてはならない。ただ93便は時間的に後発であったことで、乗客が(全容はつかめないにしても)今アメリカで起こっている尋常ではない事態を知る時間があった。しかしそれでも犯人の目標がホワイトハウスであったことなど知る由もなく、彼らはただただ「このままおめおめとテロリストの道連れになってなるものか!」という一念で行動を起こしたのである。
 娯楽映画なら、ここでみんなをひっぱるヒーローがいて、機を奪還し、乗り合わせていた元パイロットと元管制官によって無事に帰還しただろう。

 映画はUA93便と同時に管制塔での混乱を描いている。むしろそちらの時間の方が多いようだ。この一連の様子を見て、つくづくアメリカと我が国日本との危機管理の違いを思い知らせれた。常に危機にさらされている状況にあるのだからといってしまえばそれまでだが、同様なことが日本で起こったとして(片足突っ込んでいるのだから、あり得ない話ではない)その時の対応ぶりはいかようなものになるのかと想像しただけで暗くなった。世界情勢は、日本人が思っているほどノー天気ではない。

 テロリストであるアラブ人らも不安にふるえる一個の人間。当然だろう。自分の命を捧げるのだから。そして失敗は許されないのだから。
 いつも戦争は、若い魂を洗脳してその血を流させる。神と国家の名の下に命を捧げさせる。そんな宗教はいらない。

ヤング・ブラッド

2005年11月02日 | や行
★★
監督:ピーター・ハイアムズ
主演:ジャスティン・チェンバース、ティム・ロス、ミーナ・スヴァーリ
2001年 独・英・ルクセンブルグ
 
 少年のダルタニアンは目の前で、フェベルという騎士に両親を殺された。復讐を誓いプランシェに育てられ立派な騎士に成長する。ダルタニアンの父はフランス国王に忠誠を誓う銃士だった。現国王は頼りなく、実枢機卿リシュリューが王の失脚を狙っていたが、フェベルはその枢機卿の危険すぎる右腕だった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 ある方のご好意で観賞できました。(Thanks)
三銃士の映画は「仮面の男」しか見ていないので、あれは随分と年取った後のお話で、いわゆるディマの「三銃士」映画は初めてと言っていいだろう。

 目的が黒装束のティム・ロス目当てだったから多くは語るまい・・・・・。

 ダルタニアンに抜擢されたジャスティン・チェンバースは短髪にTシャツのモデル仕様では抜群に格好いい。しかしその魅力はこの映画では生きなかったようだ。きっとコスプレは似合わないんだろうに、もったいない。
 
 アクションシーンがセールス・ポイントだったんだろうなというのは痛いほど分かるが、凝りに凝ったシーンの連続もぞくぞくするには至らず、クライマックスのはしごのシーンは、まるでお猿さんのケンカのように見えてしまう。
 それにしてもフェベルはなんで死んだんだろう?あまりにもあっけない終わり方が全てを語ってたかな。

夜の大捜査線 

2005年10月20日 | や行
★★★☆
監督:ノーマン・ジュイソン
主演:シドニー・ポワチエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ
1960年 アメリカ

 アメリカ南部ミシシッピー州。一人の男が殺されているのを巡回中の警官サムが発見する。男は町の有力者で強盗に襲われたようだった。
 すぐに容疑者を発見すべく見回った駅で、サムは列車を待つ黒人の男を署に連行する。ところが男はフィラデルフィアのれっきとした殺人家の刑事だった。
 署長のギレスピーは殺人事件は専門外。黒人刑事バージルをいまいましく思いながらも、しぶしぶ捜査協力を願い出る羽目になる。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 北部と違って根強く人種差別がはびこる南部。白人が地位も能力もあるバージルを見る目は憎しみに近い。この地では黒人は奴隷以外の何者でもなく、黒人が意見したり、自分たちと対等に振る舞うなどあり得ない。・・・・自由と平等を謳うアメリカのもう一つの顔がある。

 ギレスビーもこんな面倒な殺人事件などさっさと処理して、小生意気でカンにさわるバージルとは一刻も早くおさらばしたいのに、思いとは裏腹にバージルはこの町に居座ることになる。
 しかし一緒に事件にあたるうちに一目置くようになる心が芽生え、問答無用に追い出そうとする白人からつい彼を守ってしまうジレンマ。
 ガムを噛むことで、その感情を表現したというロッド・スタイガーは圧巻。最後のにやり、これに尽きる。
 黒人と言うだけでの差別は頑として受け付けないプライドの塊バージル。こわばった表情を崩さぬポワチエの存在感もまた見事だ。

 結局これは人種差別を背景に、男と男が互いを認め合う物語なので、犯人さがしのミステリーは多少陳腐であっても仕方ない。(それにしても無駄に登場する人物が多くて混乱するが)

 スタイガーVSポワチエの名演技も素晴らしいが、私はなんと言っても気の良い警官サムを演じたウォーレン・オーツが大好きなので、それでけで満足だった。差別意識はあるにはあるが、あまり深くはこだわらない、そんなニュートラルなサムが好き。

ユー・ガット・メール 

2005年10月17日 | や行
★★★
監督;ノーラ・エフロン
主演:メグ・ライアン、トム・ハンクス、スティーヴ・ザーン
1998年 アメリカ

 キャスリーンはNYで老舗の絵本店を母から引き継いで運営していた。しかし最近大手書店フォックスが近所に大店舗を構えたことにより、店は経営の危機に。
 彼女にはフランクという同棲相手がいたが、心はネットでEメールを交わすハンドルネームNY152に傾いていた。しかしそのNY152こそ、実は商売敵で鼻持ちならない男、フォックス一族の御曹司ジョーその人。そうとは知らないキャスリーンは NY152にジョーの悪口をぶちまける。
 一方、キャスリーンがメール相手shopgirlと知らなかったジョーも、shopgirlとのeメール交換が最大の楽しみであった。。彼女から受ける相談にいろいろアドバイスをしていたが、ある日ついにキャスリーンがメール相手だと知ってしまう。
 美人だがかわいくない女だと敵対していたキャスリーンに次第に惹かれていくジョー。それはキャスリーンにも芽生えていた思いだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 トムとメグの再共演、顔も知らない相手に恋する設定は「めぐり逢えたら」と似すぎ?
 話はもうどうでもいい、NYの街とキュートなメグを見てください!という映画。
 確かにこの映画のメグ・ライアンはかわいい。キャラクターや設定がワンパターンでも、彼女はこういう映画でこそ輝ける人。(「イン・ザ・カット」は痛々しさが先に見えてしまった)

 ビジネスにも心は必要というキャスリーン。そんなものは不要!とドライに主張するジョーはトム・ハンクスではいい人過ぎる。もっと見るからにクールな男(例えば思いつくところでクリストファー・ウォーケンあたり)だったら、メールと本人とのギャップがあって面白かったかも。

 キャスリーンのお店はずっと入り浸りたいぐらいかわいい。NYの街角で「お話会」があるなんてステキ。
 

世にも怪奇な物語 

2005年05月16日 | や行
★★★☆
監督 ロジェ・バディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ 
出演 ジェーン&ピーター・フォンダ、アラン・ドロン、テレンス・スタンプ
1967年 フランス

 エドガー・アラン・ポーの原作を三人の巨匠がそれぞれ演出したオムニバス。幼き日何度もTVで見たので話はすっかり覚えている。それでも改めて観賞すると、最後の「悪魔の首飾り」の中盤が曖昧だったのは、きっといつも眠くなって寝てしまったせいだろうか。

 世間的評価が高いのはその「悪魔の髪飾り」。テレンス・スタンプはこういった精神を病んでしまった役が本当にうまい。(他にはクリストファー・ウォーケンあたり?)狭い路地裏をフェラーリで疾走するシーンはTVゲームさながら、どきどきはらはらの緊張感。スピード恐怖症としては実に心臓に良くないシーンだった。
 悪魔の少女が今見たら意外に普通の顔で怖くないのに驚いた。昔はあの真っ白い顔がとてつもなく不気味で恐ろしかったのに・・・。

 アラン・ドロンが自分の分身(良心)に怯える「影を殺した男」は、話としては一番わかりやすいせいか記憶が鮮明。あの人体解剖のメスを死体に入れるシーンがリアルで凄く怖いのは今も同じ。
 少年時のウィリアム・ウィルソンが、ドロンによく似ていて、いかにもいやな感じでうまかった。改めてドロンを見ると、なるほど目元がロン・エルダードと似ている。(逆か)・・でもドロンは昔からなぜかスキじゃないんだな。ロンはスキなのに・・・。

 つまらない、訳がわからないとこの中では一番評価の低いバディムの「黒馬の哭く館」。でも実はこれが見たいがためにレンタルしたようなもの。話もジェーンも関係なし、ただひとつ美しいピーター・フォンダが見たいだけ!
 出番はほんの少し、あっという間に死んでしまうウィルヘルム男爵のそりゃあ美しいのなんのって、バディム夫人だったジェーンが無惨に霞んでしまうほど。美女を美しく撮ると定説なバディムだが、なかなかどうして男性も美しく撮るではないの。・・・あ、素材が良すぎたせいでしょうか。
 昔は似てないと思っていたヘンリー・フォンダにそっくり。顔はお姉さんの方が似ているけれど、醸し出す雰囲気はうり二つ。

ヤング・フランケンシュタイン 

2004年12月01日 | や行
★★★★
監督 メル・ブルックス
出演 ジーン・ワイルダー、ピーター・ボイル、テリー・ガー

 メル・ブルックスとジーン・ワイルダーによるフランケンシュタイン映画のパロディ。本家を知っているともっともっと楽しめるのだろうが、本作品だけでも十分面白い!ブルックスがこだわったという白黒映像も美しいし、ジーン・ハックマンが盲目役で出演しているというびっくりうれしいサプライズもある。
 999円で購入したDVD なのに怒濤の特典映像満載で、申し訳ないくらい。強烈な印象のアイゴール役マーティ・フェルドマンの素顔はあんなに目が飛び出していないことがへ~。ジーン・ワイルダーは年取ってからのほうがステキ。絶倫フランケンシュタインも笑える♪
 笑って笑ってもう、どうしようもなかったという撮影現場が見られるNGシーン、未公開シーンも面白いし好きだな~こういうの。

やかまし村の子どもたち ★★★★★

2004年01月11日 | や行
監督 ラッセ・ハルストレム 
出演 リンダ・ベリーストレム、アンナ・サリーン

 3家族しかいない小さな村の6人の子どもたち。毎日が冒険、毎日が宝物。
こんな生活が子どもたちにあったなら、きっと人生は天国のようなものだろう。

 ラッセ、オッレ、リタなど、ベスコフの絵本によく登場する名前、絵本そのものの自然や建物や人々の暮らしぶり。 こういった子どもたちと自然を作為なく描かせたらやはり北欧ものはピカイチか。監督はあのラッセ・ハルストレム。最近はハリウッドなどのメジャーな作品が多く、それなりに良質の作品を多く作り続けているがこの作品が一番好き。
 
 この村で生まれ。幼なじみと結婚し、ず~とこの村で暮らしていく、なんてことを10才にも満たない女の子は思い描く。 それを幸せと言わずしてなんと言おう。
 まさに命の洗濯。
 

 原作は有名なリンドバーグの児童小説。その映画化といってあなどってはいけない。

ヤング・ゼネレーション ★★★★★

2004年01月08日 | や行
監督 ピーター・イエーツ 
出演 デニス・クリストファー、ジャッキー・アール・ヘイリー

 これも幻の名作。なにをやってもうだつの上がらないデイブとその友人たちのBreaking away(原題:けつまずき)な青春を描いた傑作。
 ハイスクールを卒業し、大学にも行かず働きもしない「カッター」と呼ばれる若者たち。(日本の今で言うプー?)親には小言を言われ、同年代の大学生からはバカにされる日々。

 主人公デイブはイタリアの自転車チームに憧れている。事実彼の自転車レースの成績はかなりなモノだ。
 女学生への思慕、大学生の花形とのいざこざ、あこがれのイタリア自転車チームとのレース、そこで受ける意地の悪い洗礼など、デイブは打ちのめされることばかりが続く。しかし傷心の彼はカッターの誇りと名誉にかけて大学主催の自転車レースに仲間とチームを組み参加し、優勝する。

  いわゆる落ちこぼれたちのがんばりドラマである。それが少しもいやらしくないのは、主演のデニス・クリストファーのひょうひょうとしたルックスと演技、個性的な仲間たち、敵役の花形大学生の悪ではない描き方(馬鹿にしながらも次第に彼の中に自分にないものに気づくあたり)、さすがのピーター・イエーツ監督、深みのあるさわやかさ。単純に落ちこぼれだってがんばるさ、の映画ではない。

 印象的だったのはロード練習をするデイブ、走るトラック(だと記憶している)の後ろに全力でくっついて行くのだが、運転手が指で時速を教えてくれるのだ。しかも30、40と少しづつ速度を上げて練習に一役買ってくれるというわけ。
 夢見る若者につきあってくれる、こんなさりげない大人の心意気が清々しい。

遊星からの物体X 

2004年01月07日 | や行
★★★★★
監督 ジョン・カーペンター 
出演 カート・ラッセル、ドナルド・モファット
1982年 アメリカ

 オカルトやスプラッター・ムービーは決して好きな方ではない。でもこの手のカルト・ムービーは別。ジョン・カーペンターは私の中では一目おいている監督さんだ。この映画には思い入れがある。どうしても見たかった私は(当時はビデオなんてまだ普及していなかったので)一人で池袋の名画座に3本立ての一本として見に行った。まわりはおたくっぽい野郎ばかり、しかも立ち見。ええい、見たい映画は一人で見に行くもの。私も充分おたく系?
 それを知った会社の同僚(将来の夫)は映画はデートで楽しく観る軟派系。
思いっきり私を変人扱いしましたさ。忘れもしない。(しかし後年これを見た夫も面白いと言っていた。が、女一人この映画を見に行く神経は理解不能。)

 南極という閉ざされた地で、謎の物体に次々襲われていく隊員たち。一件普通に見えながら突然クリーチャーに変貌する。その豹変した姿が凄い、今なら笑える、頭がカニになる。当時は衝撃的でとっても斬新だった。
 最後に残った二人のうちのどちらが人間?なんて余韻を残し映画は終わるがとにかく侵略された姿が最大の魅力。あと個性的な脇役の俳優さんはちょこちょこいろいろな映画に登場する人たちで、「あっこの映画にあの人が!」的な楽しみもある。