三浦半島の山には、数は少ないようだが「水木」の花が咲いていた。
灌木のなかでも、水木の花の付き具合は極めて特徴的だから、遠くから見ても識別しやすい。枝々が階段状に重なって、それぞれの枝の上に群花を平らに咲かせるので、季節外れの残雪かと見紛う風情だ。
水木の花はごく小さな花が群れて咲くが、10~20メートル程もある灌木の枝に咲くので、近くで見たり香りを嗅ぐことが出来ないのは残念だ。
近寄れないのでやせ我慢を言うのではないが、水木の花は小花自体を鑑賞するのではなく、遠くから花をつけた樹の姿を見て愉しませて貰うのが、本来の鑑賞法なのであろう。水木の花の付き具合にこそ特徴があるのだから、それを愉しもうということだ。などと屁理屈を並べながら、水木との出会いを愉しんだ。
バカチョン・カメラで写した写真を拡大してみると、白い小花が瑞々しく見える。推測ではあるが、香しい薫りはさぞやと思われるのだが・・・。
「水木」の名前も替わった名前だ。植物図鑑のお世話になったら、面白い記述に出遭った。曰く、この木は枝を切ると、切り口から水が滴り落ちることから「水木」と呼ばれている、との解説であった。機会があれば、水が滴る様を見たいものだ。
しろたえの群花頂く枝葉かな
尊き花を捧げる姿ぞ
どの枝も群花大事に捧げるに
水木が託す思ひを偲びぬ
秋くればやがて結ばむ木の実かな
捧げる竟の宝なるべし
枝切れば滴る水は誰がため
花への実への水木の思ひか
この秋は水木の木の実に逢いに来む
捧げる竟の宝を見まほし