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台北新生南路三段の大通りの一角に、佇む紫藤盧。芭蕉に竹、自然の営みの息を吹き付ける古民家の庭。庭先にある鯉のほとりで、一緒に訪れた娘が、しばらくしゃがみこみ、自由自在に泳ぐ鯉達を眺めていました。
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暖かい台湾では、この時期に、紫藤の咲き始めを見られるのは、やはり嬉しいのです。
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日本式の家居を繰り返し改造したこちらの茶館では、どの部屋も伝統とモダンを兼ね備えた部屋です。
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今日は、庭を見渡せるテーブル席にしました。
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坪林文山の冬茶にしました。茶請けに、緑豆糕と南棗胡桃糕をチョイスしました。
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緑豆糕は、上海近辺の伝統茶点心です。残念なことに、今の上海でも、台北ほど美味しい緑豆糕が頂ける店は余りありません。
紫藤盧以外、台北故宮博物館最上階にある三希堂の緑豆糕も、絶品でした。滑らかで、口に入れると溶けてしまいそうな豆の風味です。けれどまったくしつこくなく、最高な茶請けです。
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美味しいお茶と茶請けを堪能しながら、もう一度茶室を見回しました。どこに目を落としても、絵になるような落ち着いたしつらえばかりです。
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娘は、今日いっぱいこぼしながらも、お茶をたくさん振舞ってくれました(笑)。こんな落ち着いた雰囲気の中、お茶を淹れたくなるのは、子供も大人も一緒ですね^_^
ここを訪れるのは、私達のような観光客だけではありません。九十年の歴史もある建物、ただの古き茶館だけではありません。
ここは、台湾民主主義や文化の発祥地でもあります。
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館内のあちらこちらに、この館の歴史を物語る資料が見つけられます。
60年代から若き知識人達の溜まり場でもありました。その若者の多くは、のちに台湾民主運動家、作家、詩人になる大物ばかりです。
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ちょうど連日、台北の学生達が立法局に座り込んだ事件が発生中。隣のテーブルにいる年配の学者二人が、真剣にどうやって学生さんを説得するか、熱論していました。
台北民主文化の発祥地として位置づけられるこの茶館は、今でもその役割を果たしているなあと感じました。
茶館から出る時、勘定場に座っている若いスタッフのことが、絵に見えました。同意を得て、また一枚を収めました。
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