玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

泣いた老教授

2010年05月17日 | ネタとか
これは創作でしょう。要するにネタ、釣りのたぐい。
真面目に反応するだけバカらしい。

大学で起きた衝撃的な一コマ
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ざっと文章を読んで「これはネタだな」と直感したからブックマークで「ネタ」タグを付けて「うそくせー」とコメントした。その後で他の人のコメントを見ると素直に感心したり反論しているので驚いてしまった。最近ネットでよく見かける広告ではないが「うそ… 私の性格、悪すぎ?」と思ってしまった。うーむ。

どうしてネタだと直感したのか説明してみる。
まず、タイトルで煽ってるわりに前置きが長すぎ、文章が落ち着きすぎているのである。
本当に「衝撃的な一コマ」を目撃したのであれば、なによりもまず「老教授が涙を流して謝罪した」その瞬間の自分の感情とか周囲の光景に力を入れて伝えようとするはずだ。だが、元の文章は淡々としていて現場感覚がまったく伝わってこない。まるでテレビを見て書いているようだ。これが「友達から聞いた話」という体裁ならわかるけれど、実体験、しかも「衝撃的」という触れ込みで語るにしては生身の手触りがなさ過ぎる。

「老教授」のキャラクターも変だ。
麻生総理を「いいところが全くない首相」と言い切るくらい高慢な老教授が、生意気な学生に批判されたくらいでいきなり涙を流して謝罪するなんて創作としてもご都合主義に過ぎる。私が学生だったら「教授は自分の過ちを認めたんだ」と思うよりも「先生は欝じゃないのか、大丈夫か」と心配するだろう。

きわめつけは老教授を問い詰めた「群馬県前橋市の畜産農家の跡取り息子」のゼミ生。
まあ、「政治に大変興味があり、両親が農学部受験を勧めるのを裏切って政治経済学部に来」る学生がいないとは言わないが、いかにも都合が良すぎる。口蹄疫問題を利用して民主党・鳩山政権・支持者を貶めようとする臭いがしてかなわない。


タイトルも中身も安手でまるで出来の悪いライトノベルのようである。文章もひどい。
「まだ二十歳を少し超えたばかりで政治的経験の浅い私の愚考」とか「彼はゼミ内でいっとう真面目で通っている青年です」とか「まっすぐに手を上げ、良く通る声で老教授にたずねたのです」とか「寡聞にして知らなかった」とか、読んでいて背筋がぞわぞわする。私が編集者だったら「変に気取りやがってこのスカポンタンが」とつぶやいて朱を入れるだろう。
まったく、こんなくだらない文章を真に受ける人の気が知れない。


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2 コメント

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Unknown (空心)
2010-05-17 20:08:21
文章を推敲して、身元ばれしないようにしたら、こんな文章を私も書きます。

修飾過剰な文章を、お嫌いみたいですね(涙)
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Unknown (近田)
2010-05-18 16:53:54
これが創作(あるいは実話でもかなり脚色されているもの)であることは、あなただけでなく、相当数の人が感じていると思いますよ
フィクションがドキュメンタリーよりも劣っているわけではないのと同じことで、
そんな発言が本当にあったのかどうかなんてどうでもよく、そうした考えがあり得るということがより重要なことだと思う
たとえ作り話でも、文章が稚拙でも、考える余地のある内容だから多くの反応が上がっているんじゃないかな
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