シャブとハジキの相場 ５

前回にも書いたが、
シャブの仕入れ相場は自分がどのランクに位置しているかで決まる。
つまり、海外ルートを自分で持っていればグラム７０～１００円で入るが、
俺の場合はその下に位置していた。
密輸した大元から仕入れていたわけだ。
仕入れ値を抑えるのは商売の基本だが、
闇のビジネスも一度の仕入れ量が多いほど安くなる。
それでも、大体はグラム３０００円から４５００円くらいだった。
俺の場合、通常の取引量は５００グラムから１キロ単位が多かった。
客はほとんどが小卸の客と小売り屋（パケ屋）だ。

一度の最大仕入れ量の記録で６キロというのがあった。
さすがにそれだけの量はこれ一回きりだったが、
仕入れ値で１８００万円だった。
キロ３００万。　グラム３０００円の計算になる。
一キロといえば、スーパーに売ってる砂糖の一キロ袋と同じくらいで、
それが６袋だ。
車のトランクに入れて運んだが、それだけの量を持つと持ってるだけでキキメになる。
俺は覚醒剤は数十キロはさばいたが、自分で身体に入れたことは一度もない。
そんな俺でも、６キロを一度に持てばやはりおかしくなる。
具体的に言うと、信号待ちの交差点で平行して止まった車を見て
「ヤバイ！サツだ」と思いこみ、次の信号で指示器も出さずに急に曲がってみたり、
極端にスピードを緩めてみたり加速してみたり・・・。
それがキキメと同じ症状だ。

ともあれ、俺が６キロさばいても俺のしのぎはキロあたりせいぜい５０万だ。
グラム５００円しか上乗せしていないからだ。６キロで３００万。
６キロ所持の現行犯なら、無期懲役の可能性もある。
今思えばバカバカしい商売だが、当時は「右から左に渡すだけで５０万はぼろい」
と考えていた。
単純計算でも６キロが末端に行けば２億４千万になる。
いったい、何人の身体で消費されたのか・・・。
ただ、薬は時間の経過と共に消えてしまうが、
それに比べるとハジキは何年経っても現物が有るし、
しかも必ずいつか事件で発射されるからリスクが大きかった。

俺がいつも身に付けていた２２口径は、ギョク（玉・実弾）はそうだな、
ノック式のボールペンのノック部分くらいの経で、玉の全長は２センチくらいかな。
実際に人間を撃ってもまず死ぬことはない。
頭や眼をうてば勿論死ぬが、身体なら大丈夫なものだ。
それ以外に３８口径のリボルバーを持っていたが、これは抗争用で相手のタマ（命）
をあげるためのものだった。
リボルバーだと、タマ掛かりがないため、確実にオシゴトがができるからだ。

自動拳銃は普通の鉛の弾頭だと、銃の内部でなまり部分が柔らかい為に引っかかることがある。このため、自動拳銃は被鋼弾といってそれようの弾丸を使う。
このギョクがまた、手に入りにくいし有っても値段が高い！

当時、護身用の２２の自動は４０万くらいだったと記憶してる。
３８（サンパチと読む）が確か８０くらいだったか・・・。
道具（ハジキ）は、当然といえば当然だが抗争がない時は相場は下がる。
少し大きな抗争が勃発すると一気に高騰する。

まぁ、当時の相場で６０～１００がハジキの相場だった。
ついでに書けばパイナップル（手榴弾）は一個１５０万から１８０万だった。
シャブとハジキのルートは大体かぶっているから、俺はそう難しくなく手に入れていた訳だ。

シャブとハジキの相場編・・・おわり