一旦、兄貴分の畑田洋二が用意してくれたマンションに潜伏し、
その後の対策を練った。
大阪に戻って1週間ほどしたある夜、俺はとうとう女を抱いた。
俺について来る以上、面倒を見るしかない。
そう胆を括ったわけだ。
女は名前を美子といった。 年齢はまだ19歳だったが大柄で全体的に大人びて見えた。
中学2年の、まだ身体が成長しきっていない頃からの性体験の履歴が、表れていた。
今、思い返しても不憫な娘だった。
やがて、俺達二人は北海道に飛んだ。
冬の札幌で潜伏する事にしたのだ。
札幌市豊平区中の島二条7丁目・・・・。
二十二条橋の袂で、韓国人オーナーのマンションに偽名で潜り込む事に成功した。
毎日、コレクトコールで大阪に電話を入れて捜査状況の情報を聞く。
一年を過ぎた頃、それもやがて、緊張感が薄れた単なる暇つぶしの電話に変わっていった。
そんな日々の中で、俺は写真に凝ってみたり、海にヨットで出てみたりと好きに暮らしていた。
「捕まったら最低で5年、下手をしたら7年の服役」と思っていたから、
「今のうちに遊ぼう」と考えていた。
札幌・丘珠空港に電話をかけてセスナを借り切って、
札幌上空を飛んで航空写真を撮ってみたり、手稲の山の上を旋回させて札幌冬期オリンピックの
会場を撮したり、時には積丹半島まで飛んで古平上空からろうそく岩を撮ったり・・・。
海遊びは、札幌で知り合ったタクシー運転手が「自作のヨットに乗せてやる」と言うので、
大した期待もせずに、付き合いのつもりで彼の小さな手作りヨットに乗ったのが病みつきとなり、
すぐに中古のヨットを買い入れ、毎日、札幌から南小樽のハーバーに通ってヨット遊びをしていた。
俺が持ったヨットは「ディンギーヨット」という種類で、
いわゆる「モータークルーザー」や「セーリング・クルーザー」とは違う。
1~4人乗りくらいの、まったく風だけで走るヨットだ。
俺のヨットはその中でも「ミニホッパー」という艇で、通常は一人乗り、
乗っても二人だが、これがまた面白いのだ。
完全に自分と自然、風を読み波と闘って走る醍醐味はやってみないと分からないものだ。
札幌で2度目の冬、畑田洋二が仙台をまわったついでに北海道に来た。
久しぶりに会う畑田は俺の顔を見るなり
「お前が毎日電話を掛けてくるから、コレステロールが高くて堪らん・・」
「? コレステロール? 病院は行ったのかな?」
「病院? 何故病院や?」 畑田が怪訝そうに問い返してきた。
「コレステロールが高いんやろう?」
「電話代やぞ?」
「なんや、それはコレステロールじゃなくて、コレクトコールや!
まぁ、どっちも高いより低いに越したことはないけどな・・・」と、俺。
その後の対策を練った。
大阪に戻って1週間ほどしたある夜、俺はとうとう女を抱いた。
俺について来る以上、面倒を見るしかない。
そう胆を括ったわけだ。
女は名前を美子といった。 年齢はまだ19歳だったが大柄で全体的に大人びて見えた。
中学2年の、まだ身体が成長しきっていない頃からの性体験の履歴が、表れていた。
今、思い返しても不憫な娘だった。
やがて、俺達二人は北海道に飛んだ。
冬の札幌で潜伏する事にしたのだ。
札幌市豊平区中の島二条7丁目・・・・。
二十二条橋の袂で、韓国人オーナーのマンションに偽名で潜り込む事に成功した。
毎日、コレクトコールで大阪に電話を入れて捜査状況の情報を聞く。
一年を過ぎた頃、それもやがて、緊張感が薄れた単なる暇つぶしの電話に変わっていった。
そんな日々の中で、俺は写真に凝ってみたり、海にヨットで出てみたりと好きに暮らしていた。
「捕まったら最低で5年、下手をしたら7年の服役」と思っていたから、
「今のうちに遊ぼう」と考えていた。
札幌・丘珠空港に電話をかけてセスナを借り切って、
札幌上空を飛んで航空写真を撮ってみたり、手稲の山の上を旋回させて札幌冬期オリンピックの
会場を撮したり、時には積丹半島まで飛んで古平上空からろうそく岩を撮ったり・・・。
海遊びは、札幌で知り合ったタクシー運転手が「自作のヨットに乗せてやる」と言うので、
大した期待もせずに、付き合いのつもりで彼の小さな手作りヨットに乗ったのが病みつきとなり、
すぐに中古のヨットを買い入れ、毎日、札幌から南小樽のハーバーに通ってヨット遊びをしていた。
俺が持ったヨットは「ディンギーヨット」という種類で、
いわゆる「モータークルーザー」や「セーリング・クルーザー」とは違う。
1~4人乗りくらいの、まったく風だけで走るヨットだ。
俺のヨットはその中でも「ミニホッパー」という艇で、通常は一人乗り、
乗っても二人だが、これがまた面白いのだ。
完全に自分と自然、風を読み波と闘って走る醍醐味はやってみないと分からないものだ。
札幌で2度目の冬、畑田洋二が仙台をまわったついでに北海道に来た。
久しぶりに会う畑田は俺の顔を見るなり
「お前が毎日電話を掛けてくるから、コレステロールが高くて堪らん・・」
「? コレステロール? 病院は行ったのかな?」
「病院? 何故病院や?」 畑田が怪訝そうに問い返してきた。
「コレステロールが高いんやろう?」
「電話代やぞ?」
「なんや、それはコレステロールじゃなくて、コレクトコールや!
まぁ、どっちも高いより低いに越したことはないけどな・・・」と、俺。