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2020年には「パーソナルクラウド」へ、変化するクライアント環境

2014-04-28 18:02:53 | 日記
2020年には「パーソナルクラウド」へ、変化するクライアント環境 という記事を見つけました

 本稿では、2014年4月23日に開催された「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット 2014」から、ガートナー リサーチ 主席アナリスト 針生恵理氏の講演「ビジネス、テクノロジ、人の基盤を揺るがすクラウド・コンピューティングの将来シナリオ」をリポートする。企業の今後のクライアント環境を考えるために、デスクトップ仮想化の現状、2020年に到来する新しいクライアント環境へのステップを提示する。

2020年、パーソナルクラウドへ向かう

 針生氏によれば、「2020年までに、企業のクライアント環境は大きな変化を遂げる」という。企業のクライアント環境は2020年にかけて、PC中心の管理体制でITの生産性を重視する環境から、デバイスを使うユーザー個人の生産性を重視する方へ向かう。アプリケーションやコンテンツの利用方法も変わり、限られたデバイスからローカル環境にインストールしたものしか使えないという制約は取り払われる。2020年には、ユーザーは多様なデバイスを通じてデータセンターにアクセスし、個々人にひも付き最適化されたアプリケーションやコンテンツを自由に使えるようになるだろう。針生氏は、この概念を「パーソナルクラウド」と呼ぶ。


 そのためのテクノロジーが、2020年に向けてデバイス側とクラウド側にそれぞれ用意されると針生氏は訴える。デバイス側は、マルチデバイスであることに加え、デバイス同士であったり、メガネや時計といった“スマートオブジェクト”と対話可能になる、コネクテッドデバイス環境が実現されるという。一方のクラウド側は、さまざまなサービスやアプリケーションがクラウド上で提供され、デバイスとも連係を密にすることになる。

 企業はこの先、2020年に到来するパーソナルクラウドの世界を意識してクライアント環境を考えていく必要がある。このパーソナルクラウドの入口となるテクノロジーがデスクトップ仮想化だ。針生氏は、「2020年のパーソナルクラウドに向けて、デスクトップ仮想化やクラウドサービスなど、自社のステージに見合ったテクノロジーやサービスを今から調査・検討していくことが大事」と話す。

デスクトップ仮想化市場の現在と未来

 それでは、デスクトップ仮想化の現状(2013時点)と近い将来(2016年)の変化予測を見てみよう。

 「デスクトップ仮想化の問い合わせ件数は、2013年から急増した」という。ガートナーITデマンド・リサーチの調査によると、2013年の日本におけるデスクトップ仮想化の導入率は17%。そのうち大企業が45%を占める。特に、大企業における導入は、2012年と比較しても加速しているそうだ(全社導入ではない部分導入も含まれる)。導入企業の業種に関しても変化が見られる。これまで多かった金融や自治体から、医療、製造業へと拡大している。とはいえ、ライセンスや投資コストの側面で、断念する企業もまだ多いという。では、2016年にはどうなるか。針生氏によると「2013年の導入率の2倍とまではいかないが、市場は順調に成長する」とのことだ。

 その背景には、Windows XP移行などPC環境見直しもあるが、それだけではないようだ。「旧来は、セキュリティや管理の効率化(統制)を目的に導入する企業が多かったが、最近はワークスタイル変革、事業継続性計画(BCP)、モバイル対応、業務改善など、“変化への対応基盤”として導入するケースが増えている」

コスト重視ならSBC、ユーザー個別の柔軟性ならVDI

 今後、企業がデスクトップ仮想化を導入する上で検討すべきこととは何か。製品選定より先に考える必要があるのが仮想化方式だ。

 デスクトップ仮想化には大きく分けて2種類の方式がある。「SBC(Server Based Computing)」方式と「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」方式だ。どちらもデータセンターでアプリケーションなどを実行しネットワークに依存することに違いはないが、それぞれに一長一短がある。

 SBCは、アプリケーションをサーバOS上で動かし複数のユーザーで共有する。アプリケーションがマルチユーザーアクセスに対応している必要がある他、サーバOS上で動かないアプリケーションには使えないなどの制約はある。複数ユーザーで統一された環境を使うことによって、集約性を高めTCOを低くできる。比較的短期間での導入も可能だ。一方のVDIは、ユーザー個別のデスクトップ環境を丸ごと仮想化して仮想サーバ上で動かす。パーソナライズが可能な他、アプリケーションはPCと同様に稼働するため自由度が高い。だが、SBCよりもハードウェアリソースが必要であるなど、コストが掛かる。

デスクトップ仮想化ベンダーの違いを理解

 デスクトップ仮想化の主要ベンダーは3社。Citrix Systems、VMware、Microsoftだ。「全体的な製品導入状況ではCitrixのシェアが一番高いが、大企業というセグメントで切ると、CitrixとVMwareにはそれほど差がない」。

 Citrixは、古くから仮想デスクトップや仮想アプリケーションの配信事業を行っているデスクトップ仮想化の老舗企業だ。SBC、VDI、リモートPC、ネットブートなど方式選択の自由度が高いのが特徴で、従業員のワークスタイルによってさまざまな方式を組み合わせたい企業には有力な候補となる。また、今後はモバイル化へ注力するとしている。

 VMwareは、サーバ仮想化インフラに強みがあるため、VMware vSphereの導入企業がデスクトップ仮想化でVMwareを選べば、管理性向上のメリットが得られるだろう。同社のデスクトップ仮想化ソリューションは、これまではVDIのみだったが、「Horizon View 6」の提供によってSBCにも対応する。今後の方向性としては、ワークスペースの統合(複数のアプリケーションをカタログとして提供する機能)に注力していく。

 Microsoftの強みは、Microsoft管理製品の中でデスクトップ仮想化も一元管理できることだ。大規模ではない環境で「シンプルにスタートしたい、Microsoft製品と統合したいといった企業には最適だ」(針生氏)。

コスト効果の測り方

 コスト削減効果に関しては「TCO(総所有コスト)で効果が出るまでには3~5年はかかり、初年度では効果が出ない。すぐにコスト削減できると想定しない方がよい」と注意を促す。従来の物理環境と単純なコスト比較をするのではなく、デスクトップ仮想化によって新たにできるようになることをベースにROI(投資対効果)を評価することが大切だ。

 期待できるコスト削減効果としては、「ソフトウェアライセンスの無駄の排除、クライアント環境の運用管理コスト、端末の消費電力などに関するコスト、BCPに掛けるコスト、セキュリティ向上に掛けるコスト」が挙げられるという。

パーソナルクラウドに向けてIT部門が準備すべきこと

 IT部門が管理すべきクライアント環境の対象は変わりつつある。現在は、PC、モバイルなどデバイスごとに別の管理ツールで管理している企業が多いのではないか。また、デバイス同士で管理ポリシーが矛盾したり、リモートでの管理やサポートが限定的になっているケースも多い。

 2020年のパーソナルクラウドに向けて、企業のIT部門はどのようなクライアント環境を準備すべきか。針生氏が提唱することを以下にまとめた。
•デバイスではなくユーザー単位での管理
•PC、モバイルチームを1つのサポートグループに統合
•デスクトップ仮想化ツールをレガシーアプリケーションの管理に適用
•モバイル管理ツール(MDM:モバイルデバイス管理など)は短期的な利用とし、2年以内に再評価する
•現在利用しているモバイル向けアプリストアとWindowsアプリケーションを統合する
•同じアプリケーションであってもユーザーの利用レベルに合わせたサポートを行う

 以上を踏まえると、現在のデスクトップ仮想化やモバイル管理ツールは、パーソナルクラウドに向けた過渡期のソリューションといえる。

 現在、多く企業がWindows XPからの脱却、モバイル導入のステージにある。今後は、Windowsシステムへの依存度の低下、デバイスフリーへの対応、クラウドベースのアプリケーションとオンプレミスのアプリケーションの融合、必要なアプリケーションを自動でプロビジョニングするアグリゲータへの対応などが想定される。針生氏は、「全てを一気に行うのではなく、方向性を定めて1つずつ取り組んでいってほしい」とアドバイスした。

 個人もクラウド化が進むのだろうか 心配だ

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