とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

素粒子物理学:おススメ本 (図解雑学超ひも理論)

2008年10月09日 00時13分53秒 | 物理学、数学

3人同時受賞となったノーベル物理学賞だが、共通しているのは素粒子物理学の研究成果が認められたということだ。

ワイドショー番組でさえこのニュースを大々的に紹介していた。新聞やテレビでは「素粒子物理学」や「自発的対称性の破れ」を一般の人にもわかるように説明していたが、これだけ聞いてわかるというものでもない。その理論の背景や周辺の知識があればだいぶ理解しやすくなる。

そこで今日紹介するのは、手っ取り早く簡単にこの分野をちょっとだけかじってみたいという人におススメな本だ。ナツメ社の「図解雑学 超ひも理論」だ。

タイトルは「超ひも理論」であるが、相対性理論や量子力学から素粒子物理学、超ひも理論までコンパクトにまとめられている。特に素粒子物理学について詳しく解説されているのが僕が一押しする理由。そして中学生や高校生でも読める本だ。

見開き2ページで1つの内容を扱っている構成なので、知識を整理しやすいし、内容を忘れてしまっても後から楽に再確認できるのがいい。素粒子物理学にはたくさんの種類の素粒子が登場するから、それらの役割や関係を整理した形で理解する必要がある。そんな目的にうってつけの本なのだ。

来年から実験再開するLHC(Large Hadron Collider=大型ハドロン衝突型加速器)からもたらされるワクワクするような実験結果を理解するためにも、この分野の知識はおさえていたほうがよいだろう。左ページが文章、右ページが図版や表になっている。

目次:「図解雑学 超ひも理論

第1章:最終理論への歩み

物質と宇宙の起源への挑戦(人類が挑みつつける大きな謎)
物理学に押し寄せる革命の波(超ひも理論の登場)
量子力学の世界(物質の構造を探ろう)
量子力学は完成されていない(量子力学が解明したもの)
素粒子とそれに作用する力(「力」が素粒子を束ねる)
2つの巨峰、量子力学と相対性理論(対極にある2大理論)
2つの理論の背後にそびえ立つもの(単純で美しいものを目指して)
超ひも理論が2大理論を融合する?(超ひも理論の主張)
「ひも」とはどんなもの?(ひもと素粒子の関係)
超ひもの奏でる音楽(超ひもが物質、力、時空を説明する)
10次元にすむ超微小なひも(超ひも理論の常識破りの発想)
10次元の世界はどこにある?(巻き込まれた6次元)
超ひもの存在と宇宙の膨張(10次元が損z内する瞬間とは)
重力の量子力学が抱える問題(無限大の困難)
統一への歩み①(ニュートンやマクスウェルの功績)
統一への歩み②(超ひも理論が注目される理由)
コラム○2大理論と超ひも理論

第2章:量子力学と相対性理論

「見る」ことのしくみ(ミクロの世界を見る)
ラザフォードの発見(原子の中は隙間だらけ)
プランクとアインシュタインの考え(波の粒子性)
ド・ブロイの量子論(粒子の波動性)
ボーアの原子モデル(電子が回転しつづける理由)
ハイゼンベルクの不確定性原理(ミクロの世界の位置と速度の関係)
不確定性原理からわかること(マクロとミクロの測定誤差の違い)
シュレディンガーの波動方程式(電子の波の形を予測)
ディラックによる陽電子の予言(特殊相対性理論を取り込む)
新たな粒子・反粒子の発見(ハドロンの登場)
エネルギーと質量の関係(質量が決まればエネルギーも決まる)
もう1つの偉大な業績、相対性理論(アインシュタインの登場)
特殊相対性理論とは①(光速一定の原理)
特殊相対性理論とは②(相対性の原理)
一般相対性理論へ(等価原理)
重力が時空を曲げる(物質と時空は影響し合う)
アインシュタイン・フィーバー(一般相対性理論を実証した観測)
コラム○2大理論に携わった学者たち

第3章:物質粒子と4つの力

アインシュタインの夢、「力の統一」(統一はミクロの世界で行なわれる)
内部構造を持つ陽子・中性子(ハドロンの中身)
ハドロンはクォークで構成される(バリオンとメソン)
クォークとレプトン①(6種のクォーク、6種のレプトン)
クォークとレプトン②(クォークとレプトンは物質粒子)
閉じ込められたクォーク(クォークが取り出せない理由)
力とは何ぞや(4つの力)
4つの力の性質(力の強さと到達距離)
電磁力が発生するまで(荷電粒子間の光子の交換)
電磁力と強い力の荷量(電荷とカラー荷)
クォークの色から見たハドロンの構造(色の組み合わせ)
強い力が発生するまで(グルーオンの交換とカラー荷の流れ)
弱い力が引き起こすもの(中性子のベータ崩壊)
強い力が香りを変える(ウィークボソンの行方)
ミクロの重力を考える(荷量は質量、ゲージ粒子は重力子)
異なる力は統一できるのか(力の統一への大きな1歩)
コラム○クォークとレプトンの色と香り

第4章:力の統一と対称性

物理法則の不変性①(ガリレイ変換とガリレイ不変性)
物理法則の不変性②(ローレンツ変換とローレンツ不変性)
統一理論の基礎、ゲージ対称性(ゲージを変えても理論は不変)
2つの力のゲージ対称性(ゲージ対称性の要求)
ゲージ対称性の自発的破れ①(磁石と対称性)
ゲージ対称性の自発的破れ②(ヒッグス機構の提唱)
統一理論の構築へ(電磁力と弱い力の統一)
強い力の取り込みに向けて(3つの力のゲージ粒子の類似点)
荷量の大きさは変化する①(電荷の遮蔽効果)
荷量の大きさは変化する②(カラー荷の反遮蔽効果)
力はエネルギーとともに変わる(エネルギーを上げていくと)
大統一理論は検証不能?(超高エネルギーという難問)
高エネルギー粒子は加速器で作る(激突する素粒子)
大統一の世界を垣間見る(3つの力はズレる!)
3つの力の統一には超対称性が必要(超対称性の導入)
コラム○見ることのできない裸の電荷

第5章:物質と力を統合する超対称性

疑問こそ発見への第一歩(大統一理論までの歩み)
開びゃく時代の宇宙の姿(小さくて高温の世界)
対称性は相転移によって変化する(水の相転移と真空の相転移)
時間の流れと真空の相転移①(プランク世界から統一理論の世界)
時間の流れと真空の相転移②(1秒たたずに今日の宇宙へ)
統一理論の対称性(対称性はSU(2)、U(1)、とSU(3))
対称性SU(5)大統一理論の予言(クォークとレプトンの壁の崩壊)
陽子による物質の崩壊(クォークとレプトンの転換)
陽子の崩壊が起こる確率(陽子の平均寿命)
対称性SU(5)大統一理論は不完全?(スーパーカミオカンデの実験)
超対称性の登場(物質粒子とゲージ粒子を統合?)
荷電空間における荷電対称性(陽子と中性子の壁を取り去る)
荷電対称性から超対称性へ(本来は同じ粒子と考える)
2人のパートナー、超対称性粒子(フェルミ粒子とボーズ粒子の転換)
「超対称性」の導入がもたらすもの(力の大統一と陽子の寿命の説明)
超対称性から4つ目の力、重力へ(対称性と力の生成の関係)
重力の生成と宇宙の謎への挑戦(暗黒物質の謎に迫る)
暗黒物質の正体は?(超対称性粒子が候補の1つ)
ニュトラリーノを探せ(今後の加速器実験に期待)
コラム○疑問こそ発見への第一歩

第6章:標準理論から超ひも理論へ

ゲージ理論の用件、「くりこみ」とは(重力を取り込む最大の障害)
電磁力のくりこみ理論(無限大を打ち消す)
重力のくりこみを考える(くりこみが困難な理由)
重力に現れる無限大は解消不可能(蓄積する無限大)
超ひもの登場(点状粒子の限界)
プランク世界とはどんな世界?(超ひもだけが存在する)
一般相対性理論から超ひも理論へ(マクロの重力とミクロの重力)
ひもがすべての粒子、力に対応する(ひもの振動が質量を決める)
超ひも理論が予言する10次元の時空(あるけど見えない次元)
すべての鍵は見えない6次元にある(次元のコンパクト化)
もっとも有力な混成超ひも理論(2つの理論が混じっている)
M理論への発展(すべてのタイプを関連づけるもの)
超ひも理論は人類最大の科学革命(極大と極小の結びつき)
超ひも理論の先には何もない(プランク世界への到達)
超ひも理論の可能性(究極の答えを見つけられるか)
コラム○ひもがすべてを支配している?

関連リンク:

KEKやさしい物理教室
http://www.kek.jp/kids/class/index.html

わかるまで素粒子論【入門編】
http://www1.odn.ne.jp/~cew99250/soryusi.html

やさしい「LHCでの物理」入門
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/~asai/lhc2/Main_atlas.html

素粒子物理学 入門講座
http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/torii/physics/soryuushi.html

素粒子事典
http://belle.kek.jp/~uehara/pdic/pdic.html


ブログ執筆のはげみになりますので、1つずつ応援クリックをお願いします。
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ 人気ブログランキングへ 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 物理学の心 | トップ | とね書店: 便乗販売!(ノー... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

物理学、数学」カテゴリの最新記事