草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 / おでん  (九分九厘)

2007-10-30 | Weblog
おでんてふあれが好きならこれも好き
飲みすぎのおでん野郎に黄のからし
おでん酒ひばりの悲しさ空事に
つゆの間の安堵なりしや煮込みおでん

日曜日の昼前からNHKで、列島縦断俳句大会なるものが放映された。松坂大輔登板のワールドシリーズの行方を見定め、その後この番組の後半を見た。投句はFAXで、朝11時の兼題発表に始まり午後12時45分で締切。99句の優秀作を午後2時20分に発表して、特選10句を午後3時20分に発表する。投句総数がなんと約6,400ということだった。江戸時代の万句合の平成版であると思えばいいようだ。兼題が「おでん」「露」「紅葉」。評者が金子兜太、稲畑汀子、鷹羽狩行、西村和子、千の風の新井満、女優の大桃美代子の六人。放映中に評者は選考理由等々を喋っていたので、句を見る時間も少ない。カメラの陰で一次選考するスタッフがいるのかもしれないし、見られない句は没にしたのかも知れない。詮索はともかくとして、遅ればせながら馴染みの「おでん」で句を作ってみた。

「おでん」は田楽の「でん」に女房詞の「お」を付けたものだそうで、江戸時代の終わりごろから、従来の味噌をつけることから煮込みに変わったそうである。

因みに、<おでん煮て句会に行きし昔あり> なる「おでん」の句が一つだけ特選10句の中に選ばれていた。西村和子の選である。

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9 コメント

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おでんの句。 (フェニックス)
2007-10-30 22:07:22

九分九厘さまも色々な面をお持ちなのですね。ひばりのことが出てくるなんて......。

”おでん酒ひばりの悲しさ空事に” 

おでんと演歌はよく合うようです。やっぱり、ひばりは演歌の天才でしたね。 誰が真似してもどこか違います。

ところで、私も列島縦断俳句大会は少し疲れますが、大体毎年観ています。九厘さまが挙げられた西村和子氏は慶大俳句の出身で、確か今は「知音」という俳誌をもう一人の俳人と出されていると思います。

今回の彼女の選になる、

”おでん煮て句会に行きし昔あり”は、

氏のコメントにもあったように、女性と俳句の関係の歴史のようなものも感じさせるいい句だと思いました。

女性のおでんは家庭的で、男性のおでんはやはりお酒と結びつくのでしょうか?

余談ですが、私は、西村和子氏に地方の俳句大会で何度かお目にかかったことがあります。 また、その大会で、彼女の選を得たこともあります。その時の句
は、動物園での句で、

”ミモザ揺れ麒麟の首のぬっと出る”

という写実そのものの句でした。 たわわなミモザと麒麟の取り合わせがいいと取られたようです。

ところで、九厘さまはおでんの何が一番お好きですか?



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煮込みおでん (ゆらぎ)
2007-10-31 10:53:09
つゆの間の安堵なりしや煮込みおでん
  おでんと酒。これは、もちろん日本酒ですね。三宮の「竹葉亭」には、おでんのカウンターがあって、白い割烹着のお姉さんが、樽から忠勇を注いでくれました。周りの客は、紳士ばかり。サラリーマン駆け出しの若造は、控え目にしていました。そうやって、おでんでちびちやっている間だけは、リラックスできましたね。この句に、共感を覚える次第です。
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おでん野郎 (百基)
2007-10-31 13:02:12
 飲みすぎのおでん野郎に黄のからし
「おでん野郎」は少し考えました。「このおでんめ」という意味にとって、それに「この野郎、からしをたっぷり付けて喰ってやるぞよ」という・・・大分、きこしめしている様子で、我が身を見るようです。この句、面白いです。
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御礼 (九分九厘)
2007-10-31 20:15:24
フェニックス様
 落語でおでんとは「やき、がん、やつ」(焼き豆腐、がんもどき、八つ頭)といいますが、私の好きなのは先ずは、飴いろの大根、次に蒟蒻、その後にがんもどきです。この食べる順番は記憶のある限り変わっておりません。ミモザの句はいいですね。ミモザそのものが洋風な木でそこの上からキリンがのぞく。おとぎ話の世界です。
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御礼 (九分九厘)
2007-10-31 20:20:44
ゆらぎ様
 竹葉亭思い出しました。たしかガード下の店で時々阪急の電車の音がする。階段で3階まで上がって、鰻もうまかった。ポートピアホテルにもおでんの専門の店があったのですが今はあるのでしょうか。
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御礼 (九分九厘)
2007-10-31 20:24:38
百鬼様
 仰る通りの状況です。それに加えてそろそろお酒も控えめにという「黄信号」も入れたつもりでした。これからおでんのシーズンになります。熱燗でやるのはいいものですね。日本に生まれてよかったと思うのがこういう時です。
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好きな句ほか、コメント (かつらたろう)
2007-10-31 20:35:22
☆おでん酒ひばりの悲しさ空事に
おでんでお酒と言えば、洒落たお店ではなく屋台か、少し路地に入った安酒場の喧騒の中の一杯が似合いますね!そして演歌などがぴったりのようです。御句に、「ここには日本の演歌がある!サラリーマンの悲哀がある」と思い、好い雰囲気があって好きな句です。東京ではおでんと言いますが、こちら関西に来て関東煮とか関東炊きとの看板を見て、関西ではマイナーな食べ物なんだなと納得したことがあります。上京する迄、実家の田舎では農家という事もあり、大根を嫌というほど食べさせられたせいか、おでんは若い時はあまり好きではありませんでした。50才代になって量は飲めませんが、お酒の味が漸く分かるようになり、おでんも好きになって来ました。それも嫌いと思っていた大根が美味しいのです。以前、時折自分で楽しんで作っていた頃の句にこんなのがあります。

”大根のかくも旨くて五十路かな”
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御礼 (九分九厘)
2007-10-31 22:09:07
かつらたろう様
 そうですよね!関西では昔は関東炊きと言うほうが多かったですね。今ではどちらが主力かわかりません。ひょっとすると上方の伝統ある食べ物からしておでんなどは下司な食べ物として軽蔑していたのかも知れませんね。ここらあたり食文化の歴史を調べてみると面白いのかも知れません。

”大根の煮込み味知る日暮れかな”
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遅ればせながら (鶴岡言成)
2008-04-24 21:38:54
草若葉 を拝見しました。冬の季題の「おでん」の俳論ですが、佳句の紹介もあり、広い視野からの記述で参考になりました。我が侭をいわせて貰えば、美しい青空色に白抜きの文字は(特に後期高齢者には)ちょっと読みにくく、ご一考をお願いしたく存じます。
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