世の中には
色んな職業が存在するものですね。
ワイキキでそれを痛感いたしました。
ずらりと並ぶショップの数々。
小道を入るとこれまた凄い数の露天商。
とにかく
ストリートは観光客でごった返しております。
パフォーマー達も沢山おりました。
歌を歌ってる人。
楽器を弾いてる人。
踊ってる人。
更には
止まってる人。
ええ。
ただ止まってるだけです。
でも、よく考えてみるとですね。
この暑さの中、
ただ止まってるだけってのが
もしかしたら一番辛いのではないのでしょうか?
旅の記念にと
彼の姿をデジカメにおさめました。
「two dollars」
どこからか声がしました。
「ん?」
一瞬、その声がどこから聞こえてるのか分かりませんでした。
「two dollars」
もう一度声がしたその方向を見ると
そこには!
止まってる人。
口だけが動いてました。
「あんた、止まってるのが仕事じゃないのかよ!」
心の中でそんなツッコミを入れながらも
彼の大変さを思えばそれくらいいいかと思いましてね。
あっさりと缶缶の中に2ドル入れましたよ。
更に歩き、信号待ちをしている時の事でした。
オウムを二羽連れたおっさんが寄って来ました。
おもむろに
「ドサッ」
頭の上に置きました。
オウムをです。
一瞬、自分に何が起きてるのか分かりませんでした。
その1秒前には、
自分の頭にオウムが乗るなんて事を
これっぽっちも想像してなかったのでね。
戸惑いを隠せない僕に対し
追い立てるようにおっさんは続けます。
「手をグーに握れ」
と。
何だかわからないけどまあいいや。
そんな、諦めにも似た境地にいた僕は
言われるがまま手をグーにしました。
「ポン」
もう1羽のオウムが手に乗っかってました。
段取り的に実にスムーズです。
ただ・・・
手が痛い。
オウムの爪が食い込んで手が痛い。
おっさんは更に追い打ちをかけます。
「デジカメを出せ」
と。
何だか分からないけど早くこの時間が終わってほしかった僕は、
おっさんにすんなりデジカメを渡しました。
「カシャッ」
写真を撮り終えたおっさんは
僕にデジカメを返しました。
そして
笑顔でこう言いました。
「twenty dollars」
・・・?
一瞬、
この人は何を言ってんだろうと思いました。
何だかよく分からないけどとりあえず
「20ドル払え」
と言ってるみたいなのです。
その時僕に芽生えた感情は
実に不思議なものでした。
あまりの理不尽さ。
そしてそれに対する
あまりの手際の良さ。
不思議な事に
怒りよりもむしろ
感心に近い感情が芽生えておりました。
「フッ。やられたよ。」
そんな感じのニュアンスで、
苦笑いを浮かべながら
僕はおっさんに20ドルを渡しました。
「サンキュー!」
おっさんは僕にウインクをし
去って行きました。
おそらく・・・
次のターゲットを探しに行ったのでしょう。
世の中には色んな職業がありますね。
ただ、この人・・・
職業欄に何て書くのだろう?
オウム使い?
オウマー?
・・・ま、そんな事はいいか。
高い買い物(?)になりましたが、
今となってはこれもいい旅の思い出です。
写真の僕の微妙な表情も
今となっては
いい思い出です。
<続く>
さて、次はいよいよ
<旅行記ハワイ編>最終章です。
もうちょっとだけお付き合いください。