千の天使がバスケットボールする

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(500日)のサマー

2010-09-07 22:55:51 | Movie
運命の恋を夢見るトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、運命の恋、まして真実の愛なんて信じないサマーに恋をした。秘書課に入社してきたサマー(ズーイー・デシャル)に出会って人目惚れ。
トムは日本人で言うと典型的な草食系の男子。そんな恋愛初心者に近い彼が、とびきりキュートで独特で個性的なセンスもチャーミング、それでいてちょっと小悪魔なところもある頑張れば手が届きそうな会社女子のサマーを運命の人と思い込むのも無理はない。サマーは特別な女子。野獣にも狼にもなれないトムだが、トムのその”優しさ”にこれまでつきあってきた男たちの中では最もベターな異性に思えて、とうとうふたりは恋人同士になるのだが。。。

・・・と物語のすべりだしはよくある淡い恋物語のようだが、佳作とはいえこの映画を観た人は誰もがお気に入りになってしまうようだ。それもなんたって主役演じるふたりの俳優の魅力によるところが大きい。ジョセフ・ゴードン=レヴィットは、マッチョな米国人の中でもスリムでなで肩、あっさり顔の容姿(日本人で言えば、作家の石田衣良さんに似ていると思ったのだが)は完璧草食系。そんなトムには細めのネクタイ、ニットのベストやらくだ色のカーデガンが情けないくらいよく似合う。

対するサマーは、ハリウッド風のとびきりの美人ではないところが逆に素敵で、すいこまれそうな大きな瞳が運命の恋を信じない彼女こそ、実は深層心理では無意識のうちにベターを超えるベストな唯一の男との運命的な出会いを待っていたという設定にふさわしい。「LA times」に「ズーイー・デシャルに恋をしないなんて無理!」という批評が掲載されたようだが、女性の私から見ても彼女のガーリッシュなお洒落、独創的なインテリアのセンス、チャーミングなふるまいにはすっかり惚れてしまった!胸がわくわくするようなシーンが満載。

トムは結局サマーにふりまわされ、最終的に自分の求める男性ではなかったから捨てられたのか。
ここで記憶をたどりよせるとサマーがデートで観たかった映画が『卒業』だった。ハッピーエンドのバスの中のベンとエレンのふたりの不安そう表情のラスト・シーンゆえに、この映画は不朽の名作となっていると私は考えている。何故、ここで観た映画が『卒業』なのか。このへんは、もっと奥がありそうな気がしている。ところで、さしてこの映画に関心がなかったトムと、真剣な表情で涙ぐみながら観ていたサマー。趣味の違いではない。心が共鳴しない小さな積み重ねが、サマーのトムへの違和感にかりたてたのではないだろうか。勿論、サマーの運命の人もバスの中のふたりのように、将来の不安が全くないとは言い切れないのだが。しかし、トムは捨てられたのではない。サマーと出会ったのだ。思いっきり、心ゆくまで、ひとりのサマーという女性に出会って恋をしたのだった。だから、映画での冒頭の断りにもあったように「確かにこれは恋愛映画ではない」。

監督:マーク・ウェブ
2009年アメリカ映画


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