千の天使がバスケットボールする

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『俺たちフィギュアスケーター』

2008-07-23 22:46:04 | Movie
「トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団」という男性だけのバレエ団がある。1974年、米国ニューヨークで創立された同バレエ団は、私も一度は観に行きたいと願っているのだが、コメディ・バレエとしても有名だが、その技術力の高さには定評がある。体脂肪率はGacktさん並と想像されるが、やはり♂のごつくて広い肩幅に細いチュチュの肩紐がくいこみ、つけまつげの下の真紅の唇が悲劇の愛に苦悩するカタチを眺めているだけで、笑える。実際この姿で、優雅にはかなく踊られたら爆笑ものだろう。

さて、舞台をフィギュア・スケートリンクに移したのが、この『俺たちフィギュアスケーター』である。
アメリカ、フィギュア・スケート男子シングル部門の因縁のライバル、チャズ・マイケル・マイケルズ とジミー・マッケルロイは氷上での乱闘騒ぎで金メダル剥奪、しかもスケート会から永久に追放されてしまったのである。失意の日々を送るふたりだったのだが、ジミーのストーカーの助言から、協会規定の盲点をついてペア部門に男性同士のカップルとして出場することになったのだが・・・。

スケートは、米国では人気の高いスポーツということらしいが、なるほどDVDの特典インタビューでは出演者たちが好きなスケート選手の名前を、次々とあげている。舞台を誰もが親しみ、尚且つ芸術性が高いフィギュア・スケートにしてところが、成功のポイントだろうか。トロカデロ・バレエ団の主役も「バレエはとてもシリアスなもの。だからコメディーにしやすい」と語っているように、フィギュア・スケートも美しい音楽に、芸術性を競う本来シリアスなスポーツでもある。しかし、そこはアメリカ!ちょいメタボ系のチャズは、夏場もフリンジの皮ジャンを着ていそうなロック調の服装でセクシーさが売り、大真面目にエンターティメント性を発揮してもてもて男を演じているのが笑える。なにしろ「ミッシェル・クワンが俺のこどもを生みたがった」らしいのだ。この自己愛が強い勘違い男チャズ役を演じたウィル・フェレルは、絶大な人気がある本物コメディアンらしい。多分、、、この人が登場しただけで、大真面目になにかひと言のたまっただけで瞬間爆笑ものなのだろう。また金髪巻き毛の王子キャラのジミーは、なよっとしているが素直でいかにもスポーツしか知らない世間知らずの頼りない男がぴったりあっている。このふたりの容姿、性格のかけ離れた違いがあってこそのペアのおもしろさが成り立つのである。また、ストーカーのヘクター(←この名前も笑えるのだが)の言動が、ブラック・ユーモア満載。登場回数こそ少ないが、私としてはもっともウケタ部分である。

実際は、男性同士のペアは体重が重くて難しいと思う。ロシアのバレエリーナが体重60キロをこえて解雇されたが、無理なく相手をリフトするには、男性の体重では厳しいのではないだろうか。でも、ダンス部門だったら大技がないので可能であろう。いつか、男性ペアのスケートを”芸術的”にも鑑賞できる日がくるかもしれない。それはそれで、楽しみなのだが。
そして、単純お馬鹿なハナシだけでなく、実はふたりとも孤児であり、ジミーは幼い頃に金メダルをとるための養子として富豪にひきとられたのだが、目的を果たせなくなりあっさりと養父から捨てられるという今日的な文脈もそえられている。アメリカの著名人は、何人も養子を迎えているのだが、その実態が謎である。
実在の新旧のスケーターたちも登場して、業界全体でこの映画製作を楽しんでいる様子が伝わる。

日本の歌舞伎も男性が女性を演じているのだが、こちらはあの化粧の厚さと着物姿でオトコの雰囲気が消えていて違和感がないためになじみやすいのだろう。私としては、実在の名門男子校で実際に行われている男子学生のシンクロナイズド・スイミングを描いた矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』の方が、はるかに傑作だと思うのだが、水上ではなく氷上のオトコたちを描いた本作も、酷暑にあえぐ夏場の一服の清涼剤としてもお薦め。ちなみに、実在の新旧のスケーターたちも登場して、業界全体でこの映画製作を楽しんでいる様子も伝わる。凝った衣装にも注目!


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