千の天使がバスケットボールする

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クロネコが届けた正しい反骨精神

2005-07-01 23:32:56 | Nonsense
日々愛に生き?忙しい女にとって、会社のおじいちゃん経営者なんぞあまり興味がない。
けれども何年か前「日経新聞」の「私の履歴書」でクロネコヤマトの産みの親、ヤマト運輸元会長小倉昌男氏の自伝で語られた正論、そして正論を実行するためにいかに闘ったきたかという独白を読み、殆ど尊敬の念を抱いてしまった。

小倉氏は東京大学経済学部を卒業後、1948年創業者である父の会社、大和運輸(現ヤマト運輸)に入社。76年に石油ショックから会社が経営難に陥った時、小口配送は儲からないという常識と周囲の反対を「座して死を待つよりは乾坤一擲の勝負をかけよう」とおしきり、郵便小包が独占していた家庭向け小包配送にきりかえ、倒産の危機をのりこえた。
そしてとうとう業界首位にまで業績を伸ばした。その成功の秘訣は、まず「サービスが先、利益は後」という官が行わない消費者サービスに徹底したことだろう。またゴルフ宅急便、クール宅急便など、次々に常に顧客に顔を向けたアイデアを実行したこと。
昨年四国の小さな島に電話一本でクロネコヤマトに宅急便をお願いしたら、翌日午前中には届いていたというスピード、共働き夫婦、独身サラリーマンなどへ配慮した時間指定。配達料も安い。

そんな快走するクロネコだが、一面行政との闘いでもあった。
83年に値下げを認可しない旧運輸省(現国土交通省)を批判する意見広告を掲載。
86年には監督官庁を相手に行政訴訟も起こす。
クレジットカード配送に眉を寄せる旧郵政省とも闘った。
そして賛否両論あったがローソンとも縁をきる。

小倉氏は常に自分の信念に基づき、正々堂々と正攻法で戦ってきた経営者なのだった。

そんな小倉氏が最後にキレタのが、障害者の一生懸命働いても月給1万円という報酬である。
あまりにも低い屈辱的な賃金、不採算性に怒り、平成6年私財24億円(ヤマト運輸の株を手離し)を投じて、ヤマト福祉財団を設立。全国に広がる精神・身体障害者のために無認可小規模事業所を立ち上げた。成功者にありがちな単にお金を提供したというのではない。障害者が将来自立できるように、本気でとりくんでいるのである。結局、消費者のために働き、そこでえたお金を今度は障害者の”自立共栄”への資金に還元した。

こんな小倉昌男さんだったが、昨日この世を去った。
届けたものは小さな宅配物だったけれど、後世に残したものは大きい。

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2 コメント

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この方は (ペトロニウス)
2005-07-10 11:23:01
ビジネススクール?ぽいのでのケーススタディで日通とヤマト運輸の比較をした事があります。



実は、効率に特化して、様々な物流サービスを機能的に配置する日通に比較して、クロネコは圧倒的な正社員主義の高い固定比率を維持するアメリカからの投資会社的に見ると、批判手にさらされるダメ企業。



しかし、「にもかかわらず」そのことを逆手に、徹底的にサービスの質を高め、ハンデを圧倒的なメリットに変えてしまった。こういうのを本物のイノベーター、ほんとうの経営者というのでしょう。最後の最後の財団も、小倉氏らしい哲学と信念を持った意識でしたね。



ご冥福を祈ります。





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クロネコびいき (樹衣子)
2005-07-10 21:59:40
そうなんです。哲学と信念は、経営者だったら誰でもおもちでしょうが、小倉氏はその独特の生き方を最後まで貫きとおしたと思います。自分だったら20円で年賀葉書を配達するといってお上に怒られたり、権力にすりよる飛脚とはちょっと違います。

実はその飛脚なのですが、世界最大級の郵便・物流グループのドイツ・ポストが買収を検討しているらしいです。ドイツ・ポストはベルギーの国際宅配大手のDHLを完全子会社化するなど買収して大きくなった会社です。(どこかのIT企業みたいですが・・)やがては郵政公社との競争で疲弊するヤマト運輸も傘下にいれたいそうです。(「選択」にちょっと載っていました。)

いつも荷物を届けてくれるヤマト運輸の方は、おじさんですが元気でとても感じがよいです。私としては、小倉氏の理念に共感するので宅配便はクロネコヤマトと決めています。負けるなクロネコ、と律儀に応援したいです。
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