千の天使がバスケットボールする

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中国太子党の活躍

2007-02-25 15:34:18 | Nonsense
戸田誠二氏の「化けの皮」に「春香伝」という物語がある。
舞台は、朝鮮半島。主人公の夢龍は、都に渡り科挙の試験を受ける。昼間は働き、夜は科挙のための猛勉強。然し過酷な科挙の試験に何年も通らずに、あせりをつのらせている時に、ひとりの男性が声をかけてくる。
「おまえがいくら成績が良くても科挙には通らん。下級貴族でコネもないからだ。
そういうときは役人に金を握らせるんだ。」

中国共産党では、金を握らされた役人による官職売買の横行に警戒感を強めて実体を公表している。
黒竜省の元党書記長、馬徳は市幹部から600万元(約8700万円)を握らされて、死刑判決を受けた。ところが同省政治協商会議元主席の韓桂芝も馬徳から金を握らされて書記昇任に便宜を図り死刑。馬徳は、更に国土資源相まで務めた田鳳山にも賄賂を贈っていた。カネでポストを買い、その地位を今度は売るという鉱脈が地方から中央まで繋がっているところに、この国が未来の大国と風聞されながらも近代国家と言われない由縁がある。

毛沢東の時代、共産党内には権力の世襲に対する戒めがあった。そしてまた小平は天安門事件をきっかけに、太子党という共産党幹部の子弟の中央政権入りを禁じた。ところが、小平が現在の最高指導者に選んだ胡錦濤主席は、自分を牽制する江沢民から劣勢をカバーするためにすりよったのが、共産党の長老たちだった。彼は次々と小平時代からの長老をてなずけるために、その子や孫を大きな利権をうむ要職や官職につかせてきた。

かって権力を握った老革命家のために、「革命家のこどもは革命的」と太子党は文化大革命以前から生活、教育、就職とあらゆる機会に優遇されてきた。彼らは文化大革命の時には、地主や資本化を迫害もした。そして今、多くは特権をいかしてビジネスの分野で成功している。生まれた時から生活レベルが一般中国人と異なり、高い教育を受けた太子党は身のこなし、表情、服装にいたるまで”並み”ではないというハイソな「貴族」。革命を実行した目標は受けることなく、ただ功労受益だけを最大限に引き継いだ彼らに、貧しい農民を理解することは無理だという。そもそも理解する気持ちすらない。そんな太子党の中心的世代は50代。彼らは派手な生活で民衆に嫌われながらも、次々と中央政権入りしている。

文化大革命の時代は、党内の反対派を封じ込めるには「走資派」などという凄まじい階級闘争とイデオロギーが横行した。当時の最大の武器は、敵対勢力の腐敗の摘発だった。いまや経済資源を党が確保し、高給官僚になって蓄財するのが権力闘争である。しかも権力に繋がる地位は、カネで買えるのである。

どんなに努力しても拡大する貧富の差や太子党のような特権階級の存在。理不屈な世の中をあきらさせるのを、グローバル化した情報社会は待たないだろう。北京オリンピックを控え、なんと危うく脆い大国なのだろう。

下級貴族でコネもなかった夢龍は、声をかけられた男性の養子になる。彼をすくった汚いカネにまみれた親父のために、夢龍は貴族の権力をふるうようになる。たとえ民衆に憎まれても。

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