カピバラさんの2泊3日(5)

2017-08-03 21:12:56 | 童話
そして、またみんなで歩き始めました。
みんなで元気を出して森の入口の大きな杉の木を目指して歩きました。
『有った、大きな杉の木だ。』
お父さんが言ったので、みんなで立ち止まって大きな杉の木を見ました。
『あの木の所にある家ね。』
『きっとそうだよ。』
僕はみんなに会いたくて駆け出していきました。
お父さんが
『そんなに走ると危ないよ。』
と言いましたが僕は全力で走ったので、石につまずいて転んでしまいました。
『だから危ないって言われたでしょ。』

僕は背中から落ちたリュックをもう一度背負いました。
『みんなで一緒に行くよ。』
とお父さんが言って、またお父さんを先頭に一列になって歩いていきました。
そして、お父さんが玄関のチャイムを鳴らしました。
『あらっ、よく来たわね。』
とカピバラの飼い主さんのおばさんが迎えてくれました。
すでに日が沈みかけて、少し暗くなりかけていました。
『疲れただろうから中に入ってくつろいで。』
と言って藁を敷いた箱をすすめてくれました。その箱は僕達家族全員が入るのに丁度良い大きさでありました。
この家で大事に育てられているカピバラが、自分達の箱を持ってきて隣りに置きましたが、その箱も柔らかい藁が敷いてありました。
『これでみんなで遅くまでお話しができるね。』
とお姉ちゃんが言いましたが、お父さんが
『今日は疲れたから早く寝るよ。』
と言って、夕食の後、お風呂に入りました。お風呂はいつ入っても気持ち良く、ウトウトとしてしまう。
僕達家族全員で風呂上りの牛乳を飲んだ。
『美味しいねぇ、お姉ちゃん。』
『うん、美味しいね。』
お父さんも
『風呂上りの牛乳は、本当に美味しいね。』
、お母さんも
『そうね、幸せね。』
と言って目を細めていました。
この家のカピバラは両親と男の子の3匹で、子供は僕と同い年です。
僕はその子と遊びたかったのですが、お父さんの言う通り早く寝ました。

『おはよう。』
と男の子のカピバラが言った。
僕達のお父さんとお母さんとお姉ちゃんも起きていました。
『あれっ、僕が最後か。』
『朝ご飯だから、早く歯を磨いて顔を洗ってきなさい。』
『はぁ~い。』
僕は家の外に有る井戸の水で歯を磨いて、顔を洗いました。ぶる、ぶるっ、冷たくて気持ちいい。スッキリと目が覚めました。
『ご飯だ、ご飯だ、楽しいなぁ。』
お母さんに
『早く座りなさい。』
と注意されました。僕達4匹と、この家の3匹の全員で
『いただきま~す。』
僕は柔らかい草をモシャモシャモシャ。
『田舎の草は美味しいねぇ。』
『キュウリやトウモロコシも、とっても美味しいわ。』
お姉ちゃんはコリコリ、コリコリ。お父さんもお母さんも大満足。
『こんなに美味しい食事は久しぶりね。』
『そうだね。』