切れたメビウスの輪(6)

2016-12-01 21:25:02 | 怪奇小説
第四章 語らい

「ところで、ここは寒いので外へ出ませんか?」
「そうですね、わたしも寒いと思っていました。」
「着る物はどうしますか?」
「どこかの部屋に有るでしょ。」
「そうですね、部屋がいっぱい有りますからね、どこかに有るでしょ。」

そして、二人して洋服を探して自分に似合うのを着て外に出た。

「外へ出ると体が痛いのを忘れますね。」
「そういえば、わたしも痛くないですね。」
「さて、何処へ行きますか?」
「そうですね、とりあえずそこの赤提灯でイッパイやりますか?」
「いいですね。だけれど、お金はどうするのですか?」
「ちょうど、この洋服に財布が有りますから。」
「おう、それは、それは。では行きましょうか。」
「何にしますか?」
「とりあえずビールで乾杯しますか?」
「いいですね。」

そして、ビールとスルメを注文して乾杯をしょうとしたが、少し考えた。

「何に乾杯しますか?」
「そうですね、あなたと出会えた事と、このビールに乾杯でどうですか?」
「いいですね、ではビールに乾杯。」
「乾杯。」
「私はビールを飲むのは初めてですが、美味しいですね。」
「わたしは毎日飲んでいますが、美味しいですよ。」
「私も毎日飲みたいですね。」
「あなたは死んでいる世界に住んでいるので、死なないけれど、生き返る事があると言いましたよね。それなら、生き返えればいいんですよ。」
「そうですね、そうしましょうか。」
「あまり飲み過ごさないように、ぼちぼち行きましょうか?」
「では、行きましょうか。」
「ところで、何処へ行くのですか?」
「私の家に行きましょうか?」
「いいですよ。」