手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

めずらしく腹が立ったこと

2009-04-04 20:00:00 | 治療についてのひとりごと
先日、腰痛の相談で女子高校生とその母親の方がご来院されました。


腰痛そのものは、両側の股関節前面の筋が短縮して骨盤が前傾し、さらに腹圧のコントロールが上手くいかなくなっているために起こったもので、さいわい特別大きな問題はありませんでした。


ところがお話しをうかがうと、他の治療院でマッサージ師か整体師から「骨盤が歪んでいるから、将来、子どもが産めないかもしれない」といわれてショックを受け、とても心配しているとのことでした






私はふだんは温厚なほう(だと勝手に自分で思っているの)ですが、この手の話を聞くと、ハラワタが煮えくり返りそうになります


いったい何を根拠にそんなことをいっているのでしょうか


おそらく骨盤の歪みによって、その中に入っている内臓、この場合は子宮にもストレスがかかり、結果として妊娠できないという単純な組み立てだと思います。


しかしこのような考え方は、骨盤の歪みがあるにもかかわらず出産して元気にしている方がたくさんいれば正しいとはいえなくなります。


確かに、体性機能障害はさまざまな問題を引き起こす可能性があります。


ですから、妊娠しずらいケースがある可能性も全否定はできませんが、はっきりしていない以上は慎重であるべきですし、簡単に患者さんに口にするなどもってのほかだと思います







実際に、私がこれまで出会ってきた患者さんの中には、重度の先天性股関節脱臼のため、あきらかに骨盤に左右差があるにもかかわらず、お子さんを2人出産されてしっかり育て上げて立派に独立させた方もいらっしゃいます。


足は引きずらないと歩けないのですが、ご自身はダンスを趣味とされていて、少しでもスムーズに踊りたいという相談でみえていました


幼少期のポリオ後遺症によって、片脚が萎縮してしまった患者さんも、出産して子育てもきちんとされ、お仕事もしながらたいへん朗らかに過ごしていらっしゃいます。


つまり多少骨盤に歪み、左右差があっても無事に出産され元気に過ごしている方はたくさんいらっしゃるということです







しかも、半分脅し文句のようなことを言うだけで、どうしていけばよいかという対策も立てないところなど、とてもプロフェッショナルとはいえません。


その歪みが機能障害によるのであれば、手技療法などによって改善する余地は十分にあるわけですから、せめて「将来にそなえて、骨盤のまわりのバランスを整えておきましょう」とかそういうことばでも出て来ないものでしょうか。


まったく無責任きわまりなく、腹立たしいかぎりです


このような話はつい数ヶ月まえにも聞いたのですが、意外と耳にします。


のうのうとこのようなことをいう治療家がいては、いつまで経っても手技療法が医療界の中で斜めに見られていても仕方ありません。




たいへん嘆かわしいことです

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