センター試験地理B2009年 

センター試験2006~2009年地理Bの解答解説。上のタイトルをクリックすると目次ページになります。

第2問 解答解説(世界の工業)

2007-01-29 | 07地理B
問1【 7 】③
(ア)パルプ。
木材チップを製紙用に溶かしたものである。アメリカ合衆国・カナダの針葉樹分布国で生産が多い。日本は木材チップを輸入してパルプに加工。スウェーデン、フィンランドに注目すると、製紙関連の産業と分かる。
(イ)塩。
海岸乾燥地域で工業用塩が生産される。アメリカ合衆国とメキシコ国境周辺は、天然乾燥塩の大産地である。オーストラリアでは内陸砂漠の地下水を蒸発させて塩を生産する。
(ウ)プラスチック。
石油化学工業の一部である。先進国では技術の進歩により、金属に代わる工業素材として、自動車・建築・家庭用品に利用される。輸入原油に依存する先進工業国の生産割合が高く、中東産油国の生産量は少ない。
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【教科書】88~89p:世界のパルプ、塩、プラスチックの工業生産の直接の説明も、図もない。教科書にない盲点をついた問題である。工業立地の説明から推測することが重要になる。日本のおもな工業の分布のパルプ・紙工場から、ある程度は推測できる。
【ワーク】38p:林業の盛んな国・地域が製紙用チップ・パルプの生産国である。
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問2 【 8 】①
地図A:説明文(カ)
イギリスのミッドランド地方。19世紀にバーミンガムで、従来の木炭製鉄から、石炭製鉄への技術革新が進んだ。ミッドランド炭田とミッドランド鉄山が近い。石炭鉄鉱石共存型の鉄鋼業はバーミンガム型といわれた。現在、バーミンガムは石炭・鉄鉱石とも枯渇し、機械工業が中心になっている。
地図B:説明文(キ)
ドイツのルール地方。ライン川の水運と運河、それにルール炭田が重工業発展の基礎となった。内陸だが、19世紀には鉄鋼業と重工業が発展した。現在はハイテク産業が中心である。
地図C:説明文(ク)
フランスのトゥールーズである。パリ大学に次ぐ大きさのとぃールーズ大学は7万人の学生・教官などがいる。また、ヨーロッパ最大のエアバス社があり、航空機の最終組立地になっている。
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【教科書】203p:ヨーロッパの工業地域が、技術革新とともに変化している。バーミンガムの重工業が衰退し、トゥールーズの先端産業が発達したことを読み取ることができる。



【ワーク】57p:1998年の追試問題を、一部手直しした。このページ全体が、再出題されたも同然である。2007年の地図は1988年の追試問題の地図そっくりである。


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問3【 9 】③
①○ カリフォルニア州サンノゼは世界最大のハイテク産業集積地域。
②○ コロンビア川の水力発電によりアルミニウムが発展し、シアトルの航空機産業と結びついた。
③× ピッツバーグが誤り。ボストンが正しい。ピッツバーグは一時石炭産地立地型の内陸鉄鋼業都市として発展した。
④○ メキシコ湾岸油田と内陸油田から原油がパイプラインで運ばれ、石油化学工業が成立した。

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【教科書】158~159p:新旧の工業地域の詳しい説明がある。
93p:アメリカの先端産業の分布図がある。


【ワーク】108p:2.アングロアメリカの工業地域一覧まとめがある。
65p:作業1。アメリカの先端技術産業地域の白地図作業がある。地図帳などを参照しながらの作業により、先端時術産業地域を理解することができる。
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問4【 10 】④
①○ 文化大革命は毛沢東と反毛沢東との権力闘争。農村からは紅衛兵として多くの青少年が大都市に狩り出された。大都市の大学生は農村に追いやられた(下放)。
②○ ホンコンに隣接する漁村シェンチェンは経済特区に指定された。
③○ 郷鎮企業は農村の失業者を低賃金で雇い、農村の経済的遅れをある程度は解消した。2、3人の零細企業から1000人を越える大企業までがある。ラーメンをつくる工場もあるし、ロケットをつくる工場もある。
④× 西部は砂漠が広がり、一時石油資源の開発が試みられたが失敗、経済的な後進地域になっている。
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【教科書】245p:中国の経済発展の説明文が、問題文と一致する。
【ワーク】74p:3.中国の工業のまとめ。
72p:3.東アジアの経済発展の対照表で、経済特区の説明。
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問5【 11 】④
(サ)精密機械。
東京周辺と内陸県に多いから精密機械。精密機械とは計量機、分析器、医療用機器、レンズ、集積回路などである。高度な組立技術が必要である。
(シ)鉄鋼。
高炉で製造される鉄鋼以外に、銑鉄・くず鉄を原料とする電炉鋼とがある。高炉存在地の地図とは異なる。千葉(君津)・茨城(鹿島)・北海道(苫小牧)などの高炉メーカー所在地から鉄鋼と判断できる。
(ス)食料品。
原料産地立地型(乳製品、肉、酒)として北海道、新潟、鹿児島などがある。
消費地立地型(ビール、生乳、菓子)として東京大阪周辺の生産量が多い。
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【教科書】89p:コラム「分布図から工業の立地条件を考える」の分布図としては、集積回路(IC)、パルプ・紙、自動車、セメント工場の4図がある。
(サ)と集積回路の図がほぼ一致。それからの類推で、(シ)の鉄鋼が分かってしまう。
【ワーク】59p:1.鉄鋼業の立地変化の地図(1997年センター本試)。釜石(岩手)が消え、室蘭(北海道)が残った。
59p:2.日本の工場分布図(1999年センター本験)。
①IC、②セメント、③化学繊維、④コンピューター工場の分布図。
(サ)精密機械は①(IC)と④(コンピューター)の重ねた図になる。
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問6【 12 】③
(タ)1990年代にASEANの政治・経済が安定し、日本企業は低賃金労働力を求めてASEANに投資した。
(チ)日本からは、1970年代から現在まで、韓国・ホンコン・台湾・シンガポールにほぼ一定額の投資があった。NIEsの工業化政策の影響が強い。
(ツ)日本の中国への投資が1990年代から増加している。はじめは繊維・電器の労働集約的な製品であったが、現在は日本が機械・衣類などを大量に輸入している。
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【教科書】216p:ASEAN各国は工業化を進めるため、輸入代替型から輸出指向型工業
に転換。輸出自由区設定には日本企業が進出した。


【ワーク】78p:ASEAN加盟各国の一覧表。
142p:2.日本と中国の貿易についての整理。
143p:1.韓国、日本、中国の3国間の貿易。
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