生きものとしての桜

2015-04-03 | 読書
【本の紹介】
●桜/勝木俊雄著/岩波新書/2015年2月20日発行/860円
 著者は、高尾にある多摩森林科学園の主任研究員。その森林科学園には、サクラ保存林があって桜の季節も含めて何度か行っている。それで、なんだか身近なものを感じて、本を手にした。はじめに、「生き物としての桜」をテーマとするとのことわりがあった。
 日本に分布するサクラの種と変種が整理して語られ、多種多様な桜が、どのように分類されるのかを学ぶことができた。
 また、桜に関して持っていた知識に訂正しなくてはいけないところがあることを学ぶことが出来た。桜の花には香りがないと思いこんでいたが、オオシマザクラにはあること。桜の木も状況に応じて剪定が必要なこと。栽培品種である染井吉野の誕生には諸説があったこと。読んでよかったと思った。
 ただ、後段になって、「遺伝子汚染」という表現に出会って、しっくりこないものを感じた。雑種が生まれ、増えることをもって、「汚染」というのだろうか。この本が岩波書店から発行されていることと関わりがあるだろうかと思ってしまった。
 また、総じて、雑種への警戒に満ちた言い方に違和感をもった。雑種や外来種がもともとあった生態系を壊すということはあろう。だけど、生き物のいとなみとはそんなものとも言える。
 特に、植物は、古来、遺伝子の混ざり合いが多かったのでなかろうか。もう少し、別の角度からのアプローチがあっていいのでないかと。

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1 コメント

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Unknown (ヒガ 篤)
2015-04-06 22:11:23
桜の季節は、他の花がかわいそうだと思った。誰にも見てもらえないから。でも、それは、人間という愚かしいものの思いだろう。ソメイヨシノは、人工的に人間の美意識によって作り出されたものだから、人をひきつけるのは、当然の結果なのだろう。 ソメイヨシノの寿命は短く、自然に種を、落として繁殖する事もないときく。


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