やはりこの花は野の花、花壇には似合わないし、
群れて咲いている図には、可憐な…の形容さえ当たらない。
ポツリポツリと、少し丈が伸びた草の間からやっと顔を出す程度に花を咲かせる。
可憐な…と言うより、健気な…花。
そんな光景だけが今でもこの花の持つイメージとして残る。
国鉄線路の南、溜池と田んぼに囲まれた社宅の外れは一面の緑。
高校時代の同窓と訪ねた夏も暑かった。
カワラナデシコが咲いていた、溜池の間に延びた畦道。
何十年経って、今は新幹線の高架が田んぼの中を走り、
移転した工場の跡地には新しい市街地が生まれ、
残っていた溜池も次々と埋め立てられて住宅地になってしまっている。
どこかにその名残は…と思いつつ、足を運ぶのも億劫になっている。
(2011.07.14 明石)
☆
幾つもの改良品種が花壇にも植えられている。
けれど、遠い夏にむせかえるような草いきれの畦道で見つけたカワラナデシコは、
やはりこの姿だった筈だ。
ふっと、ボタニカル・アート画家の小西のはにかんだ笑顔を思い出す。
(2011.08.08 貴崎町)
(2011.10.24 明石)
カワラナデシコ(河原撫子)ナデシコ科ナデシコ属 Dianthus superbus var. longicalycinus
(2011.12.20 須磨離宮公園・植物園)
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