今回の「NHKスペシャル」は
「激流中国 チベット 聖地に富を求めて」
という特集だった。
いつかはこの聖地に
足を踏み入れたいという、
バックパッカーの「聖地」でもある
アジア最大の秘境。
昨年の2006年、
チベットまでの鉄道が完成し
開通した。
これでチベットまで
行きやすくなったなぁと
嬉しくなる一方で、
もう、もはや「秘境」では
なくなってしまうなという
懸念もあった。
まさに、
「秘境」なんかでは
なくなってしまった。
世界遺産でもあるポタラ宮殿。
その前に大勢の観光客。
いや、それはまだしも、
夜になってど派手にライトアップされ、
さらに噴水が隆盛に噴き上げる。
「え!?」
もはや、
ありきたりの観光地、という
体(てい)をなしていた。
高級ホテルが立ち並び、
大勢の日本人ならびに
欧米観光客が押し寄せているという。
「世界遺産」に登録された場所で
よく観られる現象だけれども、
チベットもまたその例に当てはまったか。
どうも事情は
一筋縄で行きそうに無いようだった。
一つには、中国政府の「国策」が
見え隠れするが、
奥深すぎるので
ここでは話さないことにして。
番組を見て
目に付いた問題点は
(若しくはわざと強調して提起されたか)、
観光客の流入よりも先に、
「カネ」経済の流入と、
「文化」資源化という考え方の流入。
それらが大波の形で
来てしまったというか、
狙って来させたというか。
いずれにしても
「観光」の中で発生する問題点が
分かりやすいくらいに濃縮されているのが
今のチベットなんだな、と思いました。
「環境問題」に並んで、
「観光問題」といくものを
今真剣に考えないと、
世界遺産と地域の「共生共栄」が
何時しか外部による「強制共営」に
なりかねない。
地域が、食い物にされますよ。
地域の経済システムが
いま「カネ」に代えられ、
伝統や風習が
見世物化され希薄化され
そして「資源」という
食い物にされ、
結局「滞在しやすい」「便利」な
画一的な観光地に
成り下がろうとしている。
そんな状況が今
「信仰」の地チベットで
「進行」している様に見えました。
はたまた地域「振興」とでも
いわせるつもりか。
と、怒りに任せて
感情的になって書いてきたけれども、
これもグローバル化ならびに
時間距離短縮化の
時代の流れの中だ、
仕方の無いことといえば
それまでだし、
だからチベットを封鎖しろと
(若しくはチベットよ独立しろ、と?)
言うわけにもいかない。
この問題をどう解決するかは、
やはり「観光」産業の消費者である
旅行者にかかっている、と
思われる。
観光客は、正しい知識でもってして
地域文化というものに眼を向け
(つまり掘っ立てイベントに
現をぬかさない、など)、
そして尊敬の念を抱くこと、
礼儀をわきまえるという事が
大事なのではないかと思う。
また、わざとらしいような店や
外部資本のところにばかり
依存するのではなくて、
ちゃんと地域住民に金銭が
回るようなところを利用したり
はたまた交流を
作られた施設とかではなくて
もっと地域に密着したところに
求めたりすることが
大事なのではないかと思う。
とはいうものの、
マスツーリズムの中で
これらを実行する余裕は
一般旅行者には
無いかもしれないけれども。
旅慣れないと、なかなか難しいか。
けれども、これからの旅行者には
弁(わきま)えてもらう点は弁えて、
勉強して、出かけてもらう
ようなことをしないと
駄目なのかもしれない。
丁度、NHKの「びっくり法律旅行社」に出てくる
「児玉トラベル」旅行社みたいに、
旅行社を教育するシステムが
求められている、のかもしれない。
冗談抜きで。
観光問題について、
深く考えさせられた番組だった。
一人、考えすぎなのかも
知れないけれども。
少なくとも今のチベットは、
懸念していた以上の現状に
驚きそして哀しかった。
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