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編集局からの手紙「韓国の識字法―3月から施行」川瀬俊治

2009年03月02日 21時07分00秒 | Weblog
韓国で識字法(韓国の呼称は文解・成人基礎教育法)よぶべきものが日本でいう生涯教育法の一部に盛り込まれこの3月から実施に移された。法律は2007年11月に国会を通過、1年余の準備期間をへて実施に移された。

法律の名前は平生教育法。日本と違うのは識字教室運営に関する法律(恒常法)が整い、それを国、地方自治体が推進するため財政的支援を明記していることだ。だから日本のように「自治体の緊縮財政でカット」というような行財政の都合で識字教室が縮小・閉鎖されるなどの心配が遠のいたことになる。

日本では識字法を制定しようとする動きがあるが具体化の段階ではない。ところが、韓国は早々と実現してしまった。これは正直脱帽する。その原動力は市民運動のパワーを抜きにしては考えられない。法律制定を打ち出したのが2003年だからわずか4年で制定をかちえたことになる。地方の教育委員会から指定を受けて指定された識字教室では、決められたカリキュラムを修めれば学歴認定される。

しかし問題がないわけではない。学歴認定をめざす生徒と、認定とは関係なく識字教室(韓国の呼称は文解教室)に通う生徒に二分化されることが、韓国文教部がいう「識字の幅をもたせた」ということになるのかということと、もうひとつ、この間、100年余の歴史をもつ韓国の文解教育が遂行できるかという不安である。「一方的に記憶する教育ではなく」、「体験し、理解し、コミュニケーションをはかる教育」と運動体が述べた教育である。

韓国の民衆運動による法律制定実現は目を見張るものがある。2003年に刊行された朴元淳弁護士の本では刊行までの間、市民運動が法律制定を勝ち得たものが実に80あると記述していた。本刊行後6年へた。どれだけの法律が成立したことか。識字法を含んだ平生教育法もその1つだ。運動体では本来独立しなければならない文解・成人基礎教育法が合体しており、今後は独立法制定運動に進むだろう。人権とはもの言わぬまでに追い込まれた人間の権利確立を戦いとる争いとすれば、民衆の法律を勝ち取る歩みは止まってはいけないのは当然ということだろう。

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