川本ちょっとメモ

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安倍首相の政治スタイルから同日選を考えてみる

2016-05-27 14:28:18 | Weblog


第2次安倍内閣が成立してからというもの、安倍首相の政治スタイルをウォッチしてきました。


年金積立金「平成27年度業務概況書」発表日の予測が当たった

さいわいにも、安倍ウォッチの結果として、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の「平成27年度業務概況書」発表日が7月参院選後だろうという予測は当たりました。7月29日です。

第2次安倍内閣成立以後の発表日は、厚生労働省のホームページによれば、平成24年度運用状況が2013年7月2日掲載、平成25年度運用状況が2014年7月4日掲載、平成26年度運用状況が2015年7月10日掲載、となっています。違いは明らかです。

安倍政治には、「選挙時期が想定される段階で、国民世論の不興を買うような情報を徹底的に隠す」という特性があります。これが予測の根拠でした。

2016/02/11 安倍内閣の大罪 国民の年金積立金を「株高」誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(4止) で下のように書きました。

わたしたち国民の老後のための資産は、安倍内閣の厚生労働大臣の監督下で、政策利用されています。安倍内閣の大罪です。平成27年度の赤字がどれほどの巨額になるのか、しっかり見ておきたいものです。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が「平成27年度業務概況書」を発表するのは今年の夏、7月中旬~下旬です。参議院選投票日以前には発表しないかもしれません。〇〇兆円という規模の収益赤字、こんな悪材料を参議院選投票日前に発表したくはないでしょうから。


2016/03/31 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)平成28年度計画5ページ (3) で下のように書いています。

 平成27年度の管理及び運用実績の状況(運用資産全体の状況、運用資産ごとの状況及び各運用受託機関等の状況並びに新たな運用対象を追加する場合を始めとする年金積立金の運用手法、運用管理委託手数料、運用受託機関等の選定過程・結果を含む。)については7月29日に、四半期の運用状況については8月26日、11月25日及び3月3日にホームページ等により情報を公開する。



株高に直結する経済対策を打つ

安倍政治には、「選挙投票日前2ヵ月くらいの段階で、株高に直結する経済対策を打つ」という実績があります。東証株価は、常に政策期待に寄りかかる習性があって、敏感に反応します。株価上下は毎日ニュースで伝えられるうえ、株高=好景気イメージとして国民の胸に、即、響きます。この勢いで投票日に向うのが安倍スタイルです。

円高株安

2015年夏の日経平均株価は、2015年8月17日20,620.26円上値から9月29日16,930.84円下値まで落ち続けています。その理由説明は、中国経済先行き不安と原油価格低迷先行き不安によるものとされています。

この株価大幅下落の影響を受けて、平成27年度第2四半期GPIF運用状況報告書の期間収益は、株式赤字-7兆9,706億円、債券黒字+614億円、と記載されています。安倍内閣の株式偏重運用の弊害がここに顕れています。

東証株価は2015年秋から年末にかけて持ち直すのですが、2016年頭初日からドカンと株価水準を下げました。その後今に至るまで概況は変わりません。しかも円高も同時進行ですから、アベノミクスは完全に失敗しているのです。

GPIFの平成27年度年間運用状況の赤字額も10兆円前後に及ぶと思われます。

それで、春のうちに参院選用経済対策を打ち出したいところですが、安倍首相はアベノミクス失敗のイメージを避けたかった。

「選挙時期が想定される段階で、国民世論の不興を買うような情報を徹底的に隠す」という安倍政治の特性がここにも表われています。

結果は、伊勢志摩サミットの国際的な盟約の一環としての経済対策という大義名分を正義の冠にして、そこから一気に参院選に打って出る作戦を採用しました。「国際金融分析会合」開催の理由がそこにあります。

日銀メッキ剥げる、財政出動へ

2016年前半は円高株安で持続しています。安倍内閣の経済運営は、日銀の金融緩和による円安導入と、年金積立金を象徴とする公的資金の巨額投入による株高操作オンリーです。実体経済を置いて先行する金融操作偏重のメッキ政策が剥げつつあり、日銀マイナス金利実施を見て、国民一般もようやく目覚めつつあります。

2016年4月28日、日銀政策決定会合は、日銀の有効手が狭まり、手詰まりに陥っていることを印象づけました。

事前の金融・証券筋の期待に反して「追加緩和」を見送ったのです。毎日新聞4月28日夕刊はこう伝えています。――追加緩和見送りを受けて、東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=108円台まで円高・ドル安が進み、東京証券取引所では株価が急落。日経平均株価は前日終値比500円超下落し、1万7000円を大幅に割り込んだ。

安倍首相は、財政出動と、消費税増税延期に傾きました。安倍首相の思いを表したのが、2016年3月16日~5月19日、7回にわたる国際金融経済分析会合です。テレビの報道カメラを入れて大々的に「分析会合」ニュースの便宜をはかったことや、G7参加国を意識した、ノーベル経済学賞学者など著名有識者を招いて聴聞したことから、安倍首相の思惑を推測できます。

日本経済の足踏みはG7諸国と共通するところがある。アベノミクスの失敗ではない。G7諸国に共通の国際的与件によるもので、日本は国際社会の有力な一員としての責務を果たすため、大型財政出動による経済浮揚を図る、という大義名分の下地を整えました。


消費税増税延期の予測が当たった

今朝(2016/05/27)の新聞で、「消費増税延期」のニュースを知りました。昨日の5月26日伊勢志摩サミット首脳会議で、「現在の世界経済の情勢を2008年のリーマンショック直前と似ていると分析」(05/27毎日朝刊)したことが延期確定だとして、一斉に報道されています。

2016/05/18 安倍首相は選挙直近になると「株高」対策を打つ消費税増税は延期か? の項目で下のように書きました。

したがって、私の結論は「消費税増税延期決定」です。予測が当たればいいのですが……。


昨年2015年8月~9月の株価下落を招いた国内外の経済概況は、今も同じ状態で続いています。むしろ現時から立ち返ってみれば、2015年秋の株価回復の動きの方が一時的な振れだったと言えます。

経済状況が足踏み状態から下振れへの恐れがある現在、なんらかの経済対策を打ったところで、消費税10%増税をすれば帳消しになるでしょう。帳消し以上の逆効果さえ見込まれます。

だから、大型財政出動は10%増税延期とワンセットになっています。



衆参同日選は「有り」と思います

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安倍首相の「美しい日本」への使命感、憲法改正への執念

安倍首相は、戦後日本を「美しい日本」へ作り変えることに強い使命感を持っています。尊敬する人に吉田松陰があり、明治維新の原動力になった長州人であることを誇りに思っています。そこには安倍首相自身は東京育ちの東京人なので、東京人が長州人を誇るという滑稽さがあります。

しかし安倍首相の胸には松下村塾が生きているのでしょう。彼の志は松下村塾の塾生として吉田松陰と共に生きていて、彼の気概としては「回天」の意気に燃えているのでしょう。安倍晋三はあり得ないことに、自民党一強国会を基盤にする強力総理大臣として返り咲くことができた。美しい日本へ日本を作り変える! これこそ神国日本の神が、我を日本の指導者に復活させた使命であろう――そういう思いに燃えているのではないでしょうか。

安倍首相の言う「戦後レジームからの脱却」とは、「美しい日本を作る」ことと同じ内容を持つ。そして美しい日本への回天の骨格になるのが自民党憲法草案であり、これを目標に憲法改正をすることに彼は執念を燃やしています。


安倍首相のスケジュール

安倍首相は2012年9月20日、自民党総裁に就任しました。自民党総裁の任期は1期3年、2期までです。総裁任期は2018年9月で終わります。あと2年余り。総裁任期終了まであと2年しかないとなれば、今回の同日選に賭けたいという思いが強いでしょう。

どの道、アベノミクスの今後が抜本的に良くなることは考えられません。だから今が華なのかもしれません。まだ自民党が強い間に衆院選も済ませておけば、2年後に衆院選をやってダメージを受けるよりは比べものにならないほどいい結果を得られる。そう考えるなら、衆院選は一日でも早い方が良い。

今、同日選を済ませておけば衆院任期は4年後の2020年です。安倍首相の自民党総裁任期は2018年。総裁3選を可能にすれば、憲法改正への年月的ゆとりが生まれます。今回衆参同日選で勝利した後、安倍首相は緊急事態法を仕上げようとするでしょう。そして、自民党総裁任期3選をして総理大臣在任を確実にして、憲法改正を確実にする――という安倍政治の絵があるのではないでしょうか。7月の選挙、国民大衆の力で、そうはさせじ。安倍首相退陣に近づけたいと願っています。

衆参同日選をやるだろうと思います

安倍首相のこれまでの政治家にないほどの「美しい日本」への日本改造と憲法改正への、使命感、執念の強さ、そして総裁任期を強く意識しなければいけない時期に入っていることを考慮すれば、首相の同日選への意欲は固い。同日選の結果しだいでは総裁3選への道もなくはない。

そのうえ、G7サミットはオバマ大統領の広島訪問が重なって、日本国内では大きくイメージアップして成功しました。サミット大舞台とリンクさせた大型財政出動と消費税10%増税延期という重大案件を掲げた選挙は、安倍首相にとっては、最良の選挙舞台になりました。

安倍首相は、参院選に向けて経済対策を打ちます。消費税増税なら経済対策を打っても効果がありません。だから消費増税延期はワンセットになります。消費税の再延期は、安倍首相にとって大きな賭けになります。それだけの賭けをするのは安倍内閣延命のためですから、そこまでの賭けをするなら同日選挙もやる、ということになります。アベノミクスは失敗しているという見方が広がっていますから、衆院選が後になればなるほど選挙結果は悪くなるに違いありません。それなら今、衆参同日選をやっていく方がまだ良い。

――こんな流れを想像すると、安倍首相は同日選をやるだろう、というのが私の結論です。勉強のために予測してみました。当たればいいのですが……。

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<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の過剰な国債購入、GPIFの過剰な株式買い入れを伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
これまでの実績を見ていると、アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。
そのうえ、アベノミクスはすでに、行き詰まっています。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。

コメント

安倍首相は選挙直近になると「株高」対策を打つ

2016-05-18 16:30:25 | Weblog

<2016年7月参院選>

アベノミクス手法が「円安株高」の実現にあることは周知のとおりです。円安になると輸出産業が潤います。その可能性を期待できると、日経平均株価も上がります。そうすると大衆投資家の動きが活発になって、世間の雰囲気が明るくなります。

この官製相場、株価に勢いがある間に選挙投票日を迎えるというのが、安倍政権の経済対策の特徴です。


 2015年歳末の株取引概況解説(毎日新聞記事 2015年12月31日)

 今年最後の取引日となる大納会を迎えた30日の東京株式市場は、日経平均株価の終値が1万9033円71銭となり、昨年末終値と比べて1582円94銭(9.1%)上昇して、2012年から4年連続で前年の終値を上回った。4年連続の上昇は2003~2006年以来。また、年末の終値としては1996年以来19年ぶりの高水準となった。

 この日の日経平均株価は、前日の米株高を受けて3日連続で上昇した。終値は前日比51円48銭高となり、約2週間ぶりに1万9000円台を回復した。

 株高の背景には、日銀の大規模な金融緩和が続き、大量の投資資金が株式市場に流入したことがある。金融緩和に伴う円安基調が、自動車など輸出関連企業の業績を押し上げたことも寄与した。日経平均株価は4月(2015年)、約15年ぶりに2万円の大台を回復した。

 だが、8月以降、中国の景気減速で世界的な株安に陥り、9月下旬には1万7000円を割り込んだ。その後は米国経済の回復などを受けて持ち直し、12月に再び2万円台をつける場面もあった。

 市場関係者には「円安などを背景に2016年も上昇が続く」と見込む声が強いが、日本経済の成長が鈍いことに加え、米国の利上げペースや中国経済の動向など懸念材料も多い。

 一方、30日の東京外国為替市場の円相場は午後5時時点で1ドル=120円41~42銭。今年の対ドルでの高値と安値の差は10円01銭で、1973年に変動相場制に移行して以来、最も小さくなっている。


 東証、年頭6営業日続落の衝撃

2015年12月30日大納会の日経平均株価終値は19,033.71円でした。上の新聞記事を見てください。株価を巡る環境はこのようなものでした。ところが年明け早々、日経平均株価終値が6営業日つづけて下落しました。三賀日の前と後の落差に驚きます。

 2016年1月4日 18,450.98 円   1月7日 17,767.34 円
      1月5日 18,374.00 円   1月8日 17,697.96 円
     1月6日 18,191.32 円   1月12日 17,218.96 円               (※9日、10日、11日は土日祝で証取休場)

年頭6営業日続落は、各界に衝撃を与えました。その後も株価は下がりつづけました。各月末の日経平均株価終値は下の通りです。

 2016年1月29日 17,518.30 円   4月28日 16,666.05 円
      2月29日 16,026.76 円   5月17日 16,652.80 円
     3月31日 16,758.67 円


 対ドル円相場の動き 年明けはずっと「円高株安」傾向
  データ出所:FRB(米国連邦準備制度理事会)
  https://research.stlouisfed.org/fred2/series/DEXJPUS

2011年(平成23年)前半 概ね1ドル80~85円 かなりの円高
 この間、3月11日、東日本大震災と東北沿岸大津波発生、福島第1原発がメ
 ルトダウンして、未曽有の大災害が起りました。

2011年8月~2012年9月まで1年余り 1ドル76円、77円台
 近年では最高値の円高で推移しました。

2012年9月13日、1ドル77.41円 ~ 2013年5月22日、1ドル103.52円
 たった8カ月で円安坂を下りました。この間、2012年9月26日、安倍晋三自
 民党総裁、誕生。同12月16日衆院選、自民党大勝利で政権復帰、民主党大
 敗で政権喪失下野。同12月26日、安倍晋三内閣、成立。2013年4月4日、日
 銀、異次元金融緩和を決定。

2013年6月~11月までの半年間 1ドル95円~100円をもみ合う
 7月21日参院選、自民党大勝利。

2013年12月~2014年7月 1ドル102円、103円辺りで安定

2014年8月1日、1ドル102.45円 ~ 12月5日、121.38円
 4カ月で円安を大幅に更新しました。10月31日、日銀、第2回金融緩和 /
 GPIF、ポートフォリオ変更

2014年12月~2016年1月 1ドル120円ライン付近で安定
 12月14日衆院選

2016年2月1日、1ドル121.06円 ~ 5月13日、1ドル109.14円
 一貫して円高更新傾向。


 参院選向け経済対策=株高対策
  証券市場が待っています、私は株高対策なんか反対ですが

2016年の今、東証株価とドル円レートの現況を政府・日銀が黙って見ているわけがありません。日銀の金融操作に手詰まり感があるとはいえ、何もできないわけではない。6回にわたった国際金融経済分析会合も終わった。

EUも米国も日本の財政出動を待っています。外為対策としての円安対策を望んではいません。国際金融経済分析会合での外国識者も、この点で足並みがそろっています。

5月26日、27日の伊勢志摩サミット首脳会議が終れば、満を持した政府経済対策が出てくるでしょう。それは大型の財政出動を伴うはずです。

サミットが終れば一気に、大型経済対策でもちきりとなり、株価も持ち直すのではないでしょうか。そしてその勢いで参院選投票日を迎えます。安倍流選挙直前対策です。対策を早く出してしまえば、投票日のころには熱がさめてしまいます。


 消費税増税は延期か?

日銀の金融対策の幅が狭くなってきています。過度な円安介入については対策を取ると、米国が日本に警告を発しています。このため円安誘導には制限があります。

財政出動については、国の赤字財政の観点から制限があります。しかしこれはすでに歯止めが緩んでいるうえに、G7サミットの要望に応えるという大義名分があれば問題になりません。だから財政出動に比重がかかるものと思われます。

そうであれば、消費税増税を予定通り行うと公式表明するだけで、消費停滞が始まります。駆け込み需要は一時的なものです。8%上げの消費生活への影響は定着しています。回復するわけではありません。10%への増税は、経済効果を図るうえでマイナスになります。

今年始めからの経済情勢と参院選対策の観点で、政府・自民党は消費税増税を延期したいでしょう。与党の公明党の反対がなければ、増税延期だろうと私は予測します。

しかし、公明党の消費税に対する気持ちが強いうえに、自民党は参院選で公明党の力を当てにしていますから、どうなるかわかりません。

結論としては、サミットが終わって大型経済対策発表に合わせて、消費税増税延期の発表がなかったときには、消費税増税を予定通り実施することは決まりでしょう。しかし参院選が終わるまで、安倍首相の意思表明が無いと思います。そして、参院選終了後の早い機会に、消費税増税予定通り実施の発表をするだろうと思います。キツイことは選挙が終わりしだいに始めるのも、安倍流ですから。

<追加>
この記事をアップロードした5月18日夕暮れ後の夜に、安倍首相と公明党・山口代表が会談したというニュースに接しました。山口代表は「会談で消費税増税の話はなかった」と言っています。山口代表がこの話に触れなかったのであれば、安倍首相が増税延期を決定した場合の軋轢を避けたということになります。そしてこれは、山口代表が増税延期の確率がかなりあると見こんでいることを表しています。となれば、公明党は増税延期を受け入れるということです。したがって、私の結論は「消費税増税延期決定」です。予測が当たればいいのですが……。


 安倍首相は選挙直近になると「株高」対策を打つ

内紛ばかりの民主党政権への失望と、2011年3月11日東日本大震災の大津
 波、福島第一原発爆発・メルトダウンを経て、国民は世の中が変わることを
 切実に求めていました。

2012年12月16日衆院選で自民党圧勝、公明党大勝利、12月26日自公連立政
 権成立を選択しました。

2013年3月20日、黒田東彦氏が日銀総裁に就任しました。日銀の総裁、副総
 裁、審議委員は、衆参両議院の同意を得て内閣が任命します。要は、安倍首
 相による推薦人事で、これ以後の 黒田日銀は「安倍内閣御用達」一本道を
 進みます。

 籾井勝人NHK会長を通してNHK操縦をするのと同じやり方です。最近知
 ったところでは、骨董品的保守論者の桜井よしこ氏が、中央教育審議会委員
 になっています。こんな例は枚挙にいとまない状況であろうと推測します。

2013年4月4日、日銀が異次元金融緩和政策を決定しました。

ここで、日経平均株価の趨勢を見てみましょう。

2011年1月4日10398.10円~12月30日8455.35円。2011年の年間趨勢は下降線です。

2012年は、1月の概数8400円から3月概数10200円まで駆け上がり、5月末にまた概数8500円まで駈け下り、その後は8800円を中心に400円ほどの上下幅をくり返して、11月13日安値8661.05円をつけます。

2,012年11月13日安値8661.05円~2013年5月22日15627.26円。株価は一直線に上がりつづけて1.8倍になりました。この間、関係するできごとは――

 2012年09月26日 安倍晋三、自民党総裁に就任
     09月27日 日経平均8949.87円
     11月13日 日経平均安値8661.09円
     12月16日 衆院選で自民党圧勝、公明党大勝利
     12月17日 日経平均9828.88円
     12月26日 自公連立政権・安倍内閣成立
     12月27日 日経平均10322.98円
 2013年03月20日 黒田東彦、日銀総裁に就任                   03月21日 日経平均12635.69円
     04月04日 黒田日銀、第1回異次元金融緩和                    2年ていどで物価上昇2%達成を目標にする           04月05日 日経平均12833.64円

この後2013年は、5月22日日経平均15627.26円で高値を打ち、6月13日12445.38円下値まで下がり続け、また7月23日14778.51円上値まで再上昇します。

参院選投票日は2013年7月21日

日経平均は、4月5日、12833.64円。以後5月22日、15627.26円上値へ続伸。以後、6月26日、12834.01円下値へ続落。4月4日日銀異次元金融緩和で急上昇した株価が、元にもどってしまいました。

政府・与党は気をもんだでしょう。しかし幸いにも株価は、6月27日から再上昇過程に入りました。投票日前7月19日、日経平均14589.91円。そして7月21日参院選投票日を迎えます。

それから2013年の秋まで14000円台を中心に上下をくり返して、11月8日14086.80円を下値にして反転、上昇を続けます。12月30日、日経平均16291.31円。

2014年10月31日 日銀第2回金融緩和
          年金積立金投資先50%株式投入へ 
 2014年12月14日 衆院選投票日

前年師走の日経平均株価好調を受けて、2014年1月6日東証大発会終値、15908.88円。

しかし2月4日14008.47円下値まで、年初から一貫して下落が続きました。その後持ち直しますが、15000円を超えることはほとんどないまま14000円台で上下をくり返し、再び5月19日14006.44円下値をつけます。

2014年5月19日下値から上下をくり返しながら株価上昇。日経平均は9月19日16321.17円高値をつけます。そこからまた転落して10月17日14532.51円まで、下落続きです。

後になってみると、そこで下落は止まったのですが、渦中にあれば不安です。少々持ち直しても不安です。そこで12月衆院選対策の出番になりました。

2014年
 10月17日、日経平均14532.51円
 10月24日、日経平均15291.64円
 10月31日、日銀第2回金融緩和決定、年金積立金投資先50%株式投入へ
 11月04日、日経平均16862.47円
 12月12日、日経平均17371.58円
 12月14日、衆院選投票日
 12月30日、日経平均17450.77円

2014年12月14日衆院選。自民党は当選291議席(2012.12.16.当選294)で現状維持と言える結果。公明党は当選35議席(2012.12.16.当選31)で、勝利と言える結果でした。過半数を制する大与党成立です。

(参考)
安倍内閣の大罪 国民の年金積立金を「株高」誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(1)
安倍内閣の大罪 国民の年金積立金を「株高」誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(2)
安倍内閣の大罪 国民の年金積立金を「株高」誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(3)
安倍内閣の大罪 国民の年金積立金を「株高」誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(4止)

2015年の趨勢

 1月 5日大発会、日経平均17408.71円。
 以後、8月17日20620.26円上値まで、ほぼ順調に続伸。
 以後、9月29日16930.84円下値まで、一気に下落。
 以後、12月1日20012.40円上値まで、再上昇。
 大納会12月30日19033.71円。

年金積立金の平成27年度第3四半期運用赤字4兆7302億円の原因として、この8月後半~9月いっぱいまでの株価急落が大きく響いているでしょう。


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<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の巨額な国債購入、年金資金による巨額株式投資を伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
これまでの実績を見ていると、アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。



コメント

改憲賛成署名700万筆、 神社本庁が協力 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」 

2016-05-04 22:39:48 | Weblog


2016年5月4日「毎日新聞」の記事を転載します。
ブログタイトルは川本がつけました。
左下の「ブックマーク」欄から『安倍政治』をクリックして記事をご覧くださればありがたいです。

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   ◇   ◇   ◇

 憲法記念日の3日、改憲を訴える団体や護憲を掲げる団体が全国各地でイベントや集会を開いた。夏の参院選の結果次第では憲法改正が政治日程に上る可能性もあり、公布70年の節目で憲法を巡る論議が熱を帯びている。

 憲法改正を目指す団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は東京都内でイベントを開き、全国で同日までに700万2501筆の改憲賛同署名を集めたと発表した。署名活動の現場を取材すると、地域に根づく神社と氏子組織が活発に動いていた。

 地元で「弁天さん」と呼ばれ親しまれている福島県二本松市の隠津島(おきつしま)神社は毎年正月、各地区の氏子総代を集めてお札を配る。だが2015年正月は様子が違った。神事の後、安部匡俊(まさとし)宮司(62)がおもむろに憲法の話題を持ち出した。「占領軍に押しつけられた憲法を変えなくてはいけない」。宮司は総代約30人に国民の会の署名用紙を配り、「各戸を回って集めてほしい」と頭を下げたという。

 総代の一人としてこの場にいた男性は「違和感があった」と振り返る。それでも地区約30戸を1軒ずつ回って「よく分からない人は署名しないで」と前置きして説明。5人が署名した。「前置きがなければ10人はいったと思う」と話す。

 安部宮司は今年3月、取材に「福島県神社庁からのお願いで県下の神社がそれぞれ署名を集めている。総代が熱心に回ってくれた集落は集まりが良かった。反対や批判はない」と話した。隠津島神社の氏子は約550戸2000人で世帯主を中心に350筆を集めたという。

 氏子たちの反応はさまざまだ。「現憲法では国防が不十分なので応じた」(40代男性)という一方で、「憲法はこのままでいいと思うので署名をしなかった」(70代男性)。

 ネット上にも全国各地から「神社から署名が回ってきた」などの声がアップされ、今年正月には東京都内の神社が境内に署名用紙を置いて話題になった。全国で氏子組織が動いているのかなどについて、全国の神社を統括する宗教法人「神社本庁」(東京都)は取材に「国民の会に協力しているが、詳細は分からない」と説明。国民の会は「各団体、各地域で一番やりやすい方法で集めてもらっている」としている。

 福島・隠津島神社の別の氏子総代は言う。「地元の人が選挙に出ると地縁血縁で後援会に入らざるを得なくなる。署名集めもそれと似ている。ましてや神様からお願いされているようで、断りづらい面があったと思う」


 ■「日本会議」、国民投票時の名簿に利用

 署名活動で神社関係者の動きが目立つが、「国民の会」を主導するのは保守系の任意団体「日本会議」だ。宗教団体などが集う「日本を守る会」と政財界や文化人の「日本を守る国民会議」が1997年に合流し設立。会員約3万8000人で政界とのつながりが深く、同会の国会議員懇談会には党派を超え300人が所属する。

 「これは請願署名ではない。国民投票という大空中戦で投票を呼びかける名簿になる」。長野市内で昨年9月に開かれた日本会議の支部総会。東京から来た事務局員は、1000万人を目標とする改憲賛同署名の狙いを説明した。会場には、長野県内の神社関係者が目立った。

 憲法改正は衆参両院3分の2以上の賛成で発議され、国民投票で決まる。国民の会は国民投票の有効投票数を6000万人と想定。署名した1000万人に2人ずつ声かけをさせれば、改正に必要な過半数の3000万票に届くと計算する。

 賛同署名は、改憲の具体的な内容をこれまで明確にしてこなかった。だが、3日の国民の会のイベントでは、大災害や有事で人権保障や三権分立などの憲法秩序を一時停止できる緊急事態条項の新設を主要テーマとすることを決めた。安倍晋三首相も自民党総裁としてビデオメッセージで「憲法改正に向けてともにがんばろう」と呼びかけた。

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改憲急ぐ安倍首相を応援する人々 神職動く 「美しい日本の憲法をつくる会」とは?

2016-05-03 11:37:51 | Weblog


2016年5月4日「毎日新聞」の記事を転載します。
ブログタイトルは川本がつけました。
左下の「ブックマーク」欄から『安倍政治』をクリックしてご覧くださればありがたいです。

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2015-06-23
安倍研究(13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



   ◇   ◇   ◇

 安倍晋三首相が憲法改正を「参院選で訴える」と前のめりだ。この姿に喝采を送るのが、改憲を支持する「安倍応援団」とも呼べる人たちだ。首相に近いとされる彼らがどんな憲法観を持っているのか、有権者は知っておくべきだろう。一般には知られていない発言などを掘り起こしてみた。


神社本庁参加、初詣で賛成署名活動

 氷雨そぼ降る京都にいる。JR京都駅にほど近い新熊野神社(京都市東山区)は、後白河法皇が1160年に創建した由緒あるお社である。

 「とんでもない話です。神社や神職が改憲の署名集めだなんて」。強い口調で言うのは尾竹慶久宮司(65)その人。古い時代の神道に詳しく、2008年、神道と仏教の境がなかった明治期より前の「神仏習合」の古式にのっとった例大祭を140年ぶりに復活させたことでも著名だ。

 その矛先は、改憲推進団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(国民の会)に全国8万社を傘下に置く宗教法人・神社本庁が参加し、各神社で改憲賛成の署名運動が行われていることに向けられている。初詣の際、署名を求められた人もいるだろう。

 「我々の職務は、参拝者に気持ちよくお参りをしていただく環境を整えることに尽きます。不快感を抱く人もいる改憲運動を持ち込むのは、神職の職務放棄、神社の私物化です」。新熊野神社は神社本庁傘下ではない独立神社だ。


そもそも「美しい日本の憲法をつくる国民の会」とは何か

 設立は14年10月。共同代表はジャーナリストの桜井よしこ氏▽神社本庁も参加する保守系団体・日本会議の名誉会長で元最高裁長官の三好達氏▽日本会議会長で杏林大名誉教授の田久保忠衛氏の3人が務める。さらに代表発起人として長谷川三千子・埼玉大名誉教授▽作家の百田尚樹氏▽作曲家のすぎやまこういち氏ら安倍首相と親しい保守系文化人、その3氏も参加した「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の裏方として奔走した文芸評論家の小川榮太郎氏▽神社本庁の田中恒清総長らが名を連ねる。昨年11月には日本武道館に約1万人を集め、早期の改憲を訴えるイベントを開いた。


なぜ憲法を変えたいのか

 まず神社本庁。明治期から敗戦まで、全国の神社を管轄した国家機関(最後は神祇院 じんぎいん )が敗戦後に解体され、事実上の後継として設立された。

 その主張は「大日本帝国憲法は、民主主義的で誇り得る、堂々たる立派な近代的憲法」「帝国憲法の原点に立ち戻り、現憲法と比べ、わが国の国体にふさわしくない条文や文言は改め、現憲法の良いものは残し置き……全文見直しを行うのが本筋の改憲のあり方」(神社本庁の政治団体・神道政治連盟発行誌「意」、14年5月15日号)として、憲法1条を改めて天皇を元首とするほか、戦力不保持を定めた9条2項、国の宗教的活動・教育を禁じた20条3項の削除・改正に主眼を置く。

 「明治政府は明治維新とともに、神仏分離令を出して仏教と切り分け、神道を作り変えた。学校教育の道徳・倫理や御真影(天皇、皇后の写真)を拝むことを通じて国教化を進めた。つまり国家神道で、国ぐるみの『教化』です」と尾竹さん。だが今は、国による教化がなく、氏子も減り神社の基盤が揺らいでいる。「神社本庁の一部には、神社存続のために、国家神道の仕組みに戻りたいという心情があるのでは」と見るのだ。

 ただ、15年11月23日付の専門紙「神社新報」の論説に「いまだ神社界にはなぜ神職が憲法改正の署名活動までやらねばならないのか、といった疑問を抱く人もいると聞く」とあるように、署名運動から距離を置く傘下神社も多いことは強調しておきたい。

 神社本庁の担当者は「他団体との関係もあり、神社本庁としての見解を述べるのは控えたい」と話している。


「現憲法が日本をダメに」は本当か

 「国民の会」の人々の言葉からは「今の憲法が日本をダメにした」との認識が色濃くうかがえる。

 例えば桜井氏。13年9月の講演をまとめた日本会議の機関誌「日本の息吹」(13年11月号)の記事「日本人をダメにする憲法」では、現憲法は権利と自由だけが強調され「日本人らしくない方向に人々を連れて行こうとする精神が憲法にある」と批判する。

 一方で「民主主義も男女平等も、一人一人を大事にするという福祉の思想も先進列強に教えられるまでもなく、わが国は太古の昔からこうした価値観を実践してきた国柄なのです。(中略)明治憲法も今読むと少しばかり古いところはあるが、根本の価値観は実に見事」(「日本の息吹」08年6月号、講演要旨)と明治憲法を高く評価している。

 三好氏も昨年3月の「国民の会」総会後の懇親会で「かの大戦で亡くなられた方々は俺たちは『こんな国』を続けさせるために死んだわけじゃないと嘆き悲しみ、怒りを持っておられると思う(中略)改憲は『こんな国』から脱却するための運動の一環だ」と訴えた。

 民族派団体「一水会」創設者で作家の鈴木邦男さん(72)は「保守の人たちは昔からの知り合い。批判はしたくないんだが」と苦笑しながらも「僕らも昔は『現憲法は諸悪の根源』と思っていた。僕はかつては明治憲法復元の立場でね。憲法を変えればすべてが良くなる、と。でもそれは違う。現実離れした観念に過ぎません」と距離を置く。「頭から『現憲法や護憲は悪』を前提にすると冷静かつ現実的な議論はできない。本当にそう言い切れるのか。右翼運動を続けてきたからこそ分かったんです」

 かつて改憲を叫ぶタカ派憲法学者として名をはせた慶応大名誉教授、小林節さん(66)も「現憲法で社会が悪くなったという客観的なデータはあるのか。明治憲法は天皇主権で、人権や自由は法で認める範囲しか与えられなかった。男女平等条項も女性参政権も戦後までなかったんだ。どう見ても現憲法下のほうが良い社会。そんな憲法観で改憲しちゃいかん」と手厳しい。

 「押し付け」と言われるが、国会論議で多数の追加・修正が加えられた。採決したのも戦後初の自由選挙で国民が選んだ議員たちだ(1946年8月24日)。

 もう一つ「国民の会」が挙げるのは「現在の憲法は占領期にGHQ(連合国軍総司令部)に押し付けられた『占領憲法』」(同会作製のリーフレット)だからという点で、安倍首相も繰り返し強調するのだが、小林さんは首を振る。「日本側が明治憲法の焼き直ししか作れなかったから占領軍が起草したんです。形式的には『押し付け』だが、それは旧体制の支配層に対してであって、国民とは別だ。主権者たる国民はこの憲法を受け入れたんですから」

 戦後、日本は海外で戦争をせず、豊かになり、東日本大震災や阪神大震災では被災者が助け合い、さらに日本中から老若男女がボランティアとして駆けつける社会を作った。それでも「日本人をダメにした」「こんな国」なのか。保守派が好む「自虐」という言葉が思い浮かぶ。


溝口敦さん「不注意で視聴者の会賛同」

 最後に意外な人物に登場してもらおう。暴力団問題に詳しいジャーナリスト、溝口敦さん(73)である。

 「国民の会」代表発起人でもある小川氏やすぎやま氏らが呼びかけ人となり、「公平公正な報道を放送局に対して求め、国民の『知る権利』を守る活動を行う任意団体」として昨年設立した「放送法遵守(じゅんしゅ)を求める視聴者の会」の賛同者に名前を連ね、多くの人を驚かせた。呼びかけ人の7人全員が、安倍氏と近かったり、改憲を支持したりしている人たちだったからだ。

 すぎやま氏は毎年、100万〜150万円を安倍首相の政治資金団体に寄付。小川氏は12年に安倍首相再登板を求める著書を出版し、同年10月には自身主宰の私塾と、当時自民党総裁だった安倍首相の事務所とで懇親会を開いた仲だ。ちなみに首相側はこの時「会合費」として約22万6000円を支出している。

 「視聴者の会」のホームページを見ると「特定の政治的主張は持っていません」と記しながらも、「問題報道」としているのは安倍首相の政策を批判的に報じた番組や、キャスターのコメントがほとんどだ。一部全国紙に「私達は、違法な報道を見逃しません」などとする意見広告も出している。

 溝口さんに真意を尋ねると「不注意でした」と意外な答えが返ってきた。「『放送法遵守』というから、どういう人たちが作った団体か確認せずに『賛同する』としてしまったんです」。昨秋、前触れなく届いた封書に記入し、返送しただけだという。

 改めて自身の意見を聞くと、こう語るのだ。「問題報道どころか、最近は安倍首相を立てるような報道やニュースばかりですよ。もっと批判しなきゃ。キャスターが特定の立場で批判的発言をしたっていいじゃないですか。放送法1条は放送の自律の保障をうたっている。これが前提です。高市早苗総務相の『停波』発言はそれこそナンセンス。真実と自律を保障する放送法を盾に、政治権力と戦わなきゃ」

 溝口さんは同会に寄せたメッセージで「民主主義を守り、戦前への回帰を阻止せねば、と思います」と記していた。改憲論議についても同じことが言えるだろう。

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<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

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国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
これまでの実績を見ていると、アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。

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政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
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テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
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