カメラ持参の早朝散歩がなかなか終らないのは、サクラの開花時期が長いためのようです。世間では花見気分はすっかり消えたように見えますが、歩いてみれば、ヤマザクラ系の木やヤエザクラがけっこうあちこちで咲いています。
ゆく春や逡巡として遅桜 与謝蕪村 [1]
【A】 (2014/4/23 5:57) 川内大工町から仙台二高前まで坂を上ってくると、仲の瀬橋の西詰めの小さな三角公園に姿の良いヤマザクラが植えられています。ソメイヨシノがすっかり終った頃に咲いているのでよく目立ちます。
【B】 (2014/4/23 6:00) 仙台二高体育館の周囲にもたくさんのソメイヨシノが植えられていますが、それが散った後に一本だけこのヤマザクラが咲いていました。隣のソメイヨシノよりだいぶ背が低いが、一本だけの開花なのでよく目立っています。
【C】 (2014/4/23 6:42) 仙台二高体育館脇の広瀬川沿いの道は桜並木になっていますが、ソメイヨシノが終ってヤエザクラが咲くまでの間、ヤマザクラが咲いています。若葉の色が緑色なので、【A】や【B】とだいぶ印象が異なります。
【D】 (2014/4/25 6:18) 西公園の広瀬川崖沿いに咲いています。ずっとヤマザクラだと思っていましたが、満開になると花つきが豊かで、公園の崖沿いに並んで植えられているヤマザクラ系の一本かもしれません。
【E】 (2014/4/25 6:27) 西公園のまんなかに一本だけ咲いているヤマザクラ。
【F】 (2014/4/25 6:34) 西公園、川沿いの道脇に帯状に植えられたケヤキやイチョウの
なかのヤマザクラ。
【G】 (2014/4/25 6:35) 西公園の北の端、仙台市民会館近くのヤマザクラ。
【H】 (2014/4/25 10:30) ヤマザクラばかりの時期と思っていたら、西公園の花見会場の中にヤエザクラの若木が花をつけていました。花見会場はなんとなく敬遠していたのですが、家犬の狂犬病予防注射のために公園を抜けようとして見つけました。ソメイヨシノはすっかり終って、場所取りもいない公園で幼稚園児が走り回っていました。 ヤエザクラなのに雄蘂がたくさん残っている美しい品種です。
【I】 (2014/4/25 10:41) 同じ花見会場にヤマザクラの若木が咲いていました。花見席の案内看板の陰ですが、これも立派な美しいサクラです。
【J】 (2014/4/25 10:44) 古木のサクラ。葉が出ていて、ヤマザクラに見えますが、遅咲きのエドヒガンとも思われます。私は、このサクラをずっとエドヒガンだと思っていました。
【K】 (2014/4/25 11:34) 家犬の狂犬病予防注射を終えての帰り足、また西公園を通って、別のヤエザクラの若木を見つけました。花見宴席用の赤提灯がふさわしくないほど、清楚な感じのするヤエザクラです。【H】と同じように、八重なのに花弁が少なく、雄蘂が残っているのが見えます。「シロタエ(白妙)」という旧来の品種に似ています。ひたすら花弁数の多い派手な花が目標ではない園芸改良は、個人的にはうれしいと思います。
【L】 (2014/4/25 11:34) 西公園の崖沿いにはヤマザクラ系の品種が植えられていますが、そのほとんど咲き終わっているのに、今を盛りと咲いている木がありました。どう見ても、咲き終わった手前の品種と同じように思えます。種類によって咲く時期が違ううえに、同品種の間でも早咲き、遅咲きの差がだいぶあるようです。これだけ遅い木があるとすれば、【D】のサクラも、やはり同じ種類なのでしょう。
【M】 (2014/4/28 6:05) 仲の瀬橋下流、右岸にある河川敷公園(野球場)にある典型的なヤマザクラ。広い敷地に一本だけ咲いていていて、まだ若木ですがよく目立っています。
【N】 (2014/4/28 6:12) その河川敷公園のがけの上、仙台二高体育館脇から入る桜並木の道で、ヤエザクラが満開になってきました。これは、雄蘂がほとんど花弁化した種類で、「カンザン(関山)」という種類によく似ています。
【O】 (2014/4/28 6:12) 同じ並びにヤマザクラも植えられています。ヤエザクラとヤマザクラ、この場所は西公園の賑わいの後のよい花見場所だと思いますが、人は多くありません。
【P】 (2014/4/28 6:17) 反対方向からの写真。【O】の反対側にもヤマザクラが咲いています。
【Q】 (2014/5/4 6:22) 崖沿いの桜並木の道から旧仙台商業高等学校跡の空き地に入ることが出来ます。旧仙商と二高体育館の境界に植えられているサクラのほとんどはソメイヨシノですが、三本ほど五月に入ってから満開になっているヤエザクラの古木があります。「ショウゲツ(松月)」という品種によく似ています。
桜マップ。【A】~【Q】 は撮影場所。地図のベースは「アトラスSV7」。
今日では、すっかり青葉に染まっていて、季節はずれのサクラ花の写真整理という気分です。さて、サクラを愛でる歌はけっこうありますが、私の個人的な好みから言えば、サクラをただ単に言祝ぐよりも、次のような歌に惹かれます。
さくらさくら桜青葉の降り沈む墓地公苑にしんなりと、あめ
道浦母都子 [2]
さくらさくら我の嫌ひな日本語は「美しい日本語」
大口玲子 [3]
[1] 『日本の古典58 蕪村集・一茶集』(小学館 昭和58年)p.36。
[2] 道浦母都子歌集『花眼の記』(本阿弥書店 2004年)p.107。
[3] 大口玲子歌集『海量(ハイリャン)/東北(とうほく)』(雁書館 2003年)p. 153。