生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

ヘンリク・グレツキ 交響曲第三番「悲歌の交響曲」作品36

2016-11-21 23:27:03 | その他

 Wikipediaの”交響曲第3番(グレツキ)”の記載によれば、20世紀後半において最も成功した交響曲の一つ」とされています。3楽章からなり全ての楽章がLentoのゆっくりというよりも重苦しいと行っても良いような雰囲気です。冒頭から低音弦が波のように途切れること無く押し寄せ綾なす雰囲気が延々と続きます。やがてピアノ(強弱ではなく楽器)の単音が重なって来るのですが、意図的かどうかはわからないのですが微妙に弦パートとピッチが違うような気がします。意図的にそうしているように思えなくもありません。その後にソプラノ独唱が始まります。この歌唱は聞く人の胸を打ちます。心を鷲掴みにされます。

 20世紀後半に作曲された交響曲ですから、当然古典派やロマン派の作曲家が作曲した交響曲に比べれば、いわゆる現代音楽的な手法も取り入れられているとは思います。が、尖った耳に優しくない現代音楽ではなく、その反省を十分に咀嚼した上での、聴衆を拒絶するような響き・表現は微塵もありません。演奏時間1時間弱の作品なので気楽に通して聞けるものでもありませんが、ドンピシャハマる映像があれば非常に高い聴覚効果を与えると思います。グレツキは生誕1933年、没年が2010年のポーランド人ですから当然第二次世界大戦の自身の体験が投影されていない訳はないと思いますが、具体的・直接的な表現はほとんど無く、結晶化させ昇華させた抽象的で音楽的な美しさに覆われた作品になっていると思います。

 こんなに素晴らしい作品が存在していることを知らなかったこれまでが残念で悔しく、また死ぬまでに生演奏を聞いていみたい作品リストの1番にエントリすることにしました。2020年に没後10年のメモリアルイヤーということで日本でも何処かで演奏されないかなと思っています。グレツキの作品の中でも最も有名な作品のようで、インターネットの動画サイトで、日本語で「グレツキ」とだけ入れて検索しても複数ヒットします。是非歌唱部分を聞いて頂きたいと思いますが、1楽章は歌唱が始まるまで10分以上かかります。楽章毎にアップされている音源もあるので、忙しい方は2楽章または3楽章の冒頭からでも是非聞いてみて頂ければと思います。


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