今日の一冊
「青猫 幻想童話館 」 司修
「猫」という単語にひかれ、何気なく手に取った本です。
ページの上2/5ほどが挿絵、残る下側が文となっていて、青いインクで印刷されています。
この挿絵がまた、下にあげるウィトウィウス人体図のようで、タイトル以上に幻想的、
かつおどろおどろしい雰囲気を生み出しています。
5~6ページから成る、いくつかの短いお話が一冊に詰まった本。
あっという間に読めてしまうのですが、後からじわじわくるこの恐怖感は何だ。
「老木の幸福」
主人公が樹木に転生するまでと、転生後のお話。
無資格者めと、地獄の鬼からも必要とされない主人公が、ちょっと哀れ。
「青猫」
夢で出会い、恋焦がれたその人は、なんと青い猫になってすぐ傍らにうずくまっていた。
ところが主人公は、知らずして彼を殺してしまう。
この空しさがたまらにゃい。
タイトル忘れ、「サロメ某」
パリで一目ぼれした相手は、なんと現代版サロメだった。
首を落とされてなお、陳列台から賛美する主人公。
「悪魔の絵本」
肉食植物に魅入られた主人公。
女の属性を持つ樹木を生み出してしまうが、病弱であった自らの妻をなんと、接ぎ木
してしまう。さらには、そこへ娘を・・・・・・。
温室が怖くなる。
タイトル忘れ、お地蔵さまの堂に迷い込む青年のお話
死んだ事に気づかないで彷徨う青年。
本来の自分の居場所を見つけたときの安堵感ったらなかったでしょう。
タイトル忘れ、田舎出身の少女と鏡のお話
最後に彼女が見たものは、彼女自身の心の闇か。
タイトル忘れ、蟷螂のお話
あぁそうか。
私達は自然とすべてそうなるように、プログラムされてんだ、遺伝子レベルで。
他にもまだいくつかのお話が詰まっています。
幻想的で奇妙で、少し悲愴。
ところでこの本、絶版なのかしら・・・・・・。