「カンボジア料理」ってナンだろう??
ひと月のんびり滞在していたこの国。
地元の友達もちらほらできて世話になったり、市場の屋台やお惣菜売り場でごはんにしたり、それなりに滞在はディープだったんだけど、この国を離れて、ふと、上の疑問が浮かんで、そこからもうわからなくなってしまったのだ。
それで日本に帰国する前にもう一度バンコクからいつもの陸路でカンボジアに会いに行った。
ぽくぽくぽくぽく、「ドナドナ」の売られていく小牛のようにトラックの荷台に乗っかって。
首都プノンペンで市場を馬鹿みたいにうろついて、ごはんを食べて、答えを見つけようとしたけれど、結局、もやもやは帰国後も続く。
うーん、「カンボジア料理」ってナンだろう??
結局ベトナムやタイや中華を足して薄めたようなところかな、「これがカンボジア!!」みたいな料理には会えないのかな、そんな寂しさと諦めと、諦めの悪い疑問を感じていた。
先日このもやもやを、かつて大変お世話になっていた平野女史にぶつけたところ、
「その疑問は当然です!私のこの本を読みなさい」
受話器の声が、私にはご神託のように響いた。
そのとき新品はもはやなく、アマゾンでセカンドハンドを見つけて入手して、読みふけったことよ。
なぜこの疑問が当然のことなのか。
平野女史の説明によると、この国の経済を握っているのはほとんどが華僑資本。屋台をはじめ、外食産業も例外ではなくて、自然と、我々の口に入るのが中華のフィルターを通った料理になってくるのだ。(そういう表現ではなかったが、そういうふうに解釈してみた)
料理は国境を越えて浸透する。まさに。
うーん。それじゃあ「真のカンボジア料理」「真のクメール料理」とは?
それはこの本を読みふけることによって、じわじわとわかってくる。
タイ、ヴェトナム、ラオス、カンボジアの食材別使用頻度比較表や、クメール料理の10項目があがっていることを見ても、カンボジアに通いつめた女史も、同じく悩んでおられたのだろうと想像する。
私も記憶のなかから整理して、この国の食の特徴を挙げてみる。
味はタイに比べるとやさしいものが多い。
野菜や肉を一緒に煮てスープいっぱいの庶民的な料理。
ちょっとすっぱい。
草や野菜のつる、若菜を食べる。
ハーブたっぷり。
魚の塩辛「プラホック」の香りが強烈。
生卵(黄身)が好き。
ココナッツの風味が効いている。
やっぱり中華やタイの影響をたっぷり受けている。フランスの名残も。
私のもやもやはまだ完全解消していない。
だから「カンボジアは誘う」。
探しに来い、食べに来い、会いに来い、とこの国は誘う。