下の写真は、八月末くらいに撮ったもの。
手前のオレンジがかった黄色い花は、キバナコスモス。
コスモスと名のつくからには、秋の花? と、
思われがちですが開花期は、七月~十月。
うちのあたりでは、八月に花期を迎えます。
このキバナコスモスは・・・亡くなった父のお気に入りの花でした。
教員として定年まで勤めた中学校の校庭に、
父はせっせと、この花を植え続けていたようです。
夏に咲く花は、ほかにもたくさんあるのに、
なぜ、父がこのメキシコ原産のキバナコスモスをそれほどまでに愛したのか、
その理由はわかりません。
定年退職を迎える間際の頃だったでしょうか。
父は最後の夏に咲き終えた花からとった種を入れた
お菓子の缶を家に持ち帰ってきました。
そして、ちょっと照れくさそうに、私たち家族にこう言ったのです。
「このキバナコスモスの種を生徒たちに配りたいんだが・・・」
それ以上、父はなにも語らず、新聞紙の上に種を広げ、
黙々と、混じっていた枯れ葉などを取り除きはじめました。
生真面目でいつも無口だった父。
教職に就いて、四十数年。
その去り際に、自分がそこで過ごした足跡を、なんらかの形で
残したかったのかもしれません。
そして。
母と妹、私、家族総動員で、作業を手伝うことに・・・
コピー用紙に定規で線を引き、ハサミを入れる。
糊づけして袋をつくり、そこに種を入れる・・・
種と一緒に入れるメッセージは、父が書いた硬い文章を
中学生向けに、やわらかくすべく、私が手を入れ・・・
あれから、長い年月が流れましたが。
この花を目にするたびに、父を思い出します。
キバナコスモスは、一年草。
つまり、翌年に同じ株が芽吹くことはありません。
しかし、やせた土壌にも強い品種なので、
こぼれ落ちた種から、新しい芽が出ることは少なくないみたい
あのとき父が全校生徒に配ったキバナコスモスは、
どこかでまた生命をつないでいるのかな。
そうであってほしい、と思う井上なのでした
夕方、ベランダにて。
花の手入れをしていると。
どこからか、チリリ・・・と虫の鳴き声のようなものが
しかし。
「えっ?」と手をとめると、音も静まり・・・。
作業も終わり、最後にお水をあげようと、ふと
ミニバラの鉢をみたとき・・・
さて。上の写真のどこにいるか、わかりますか?
右の下・・・全身が写っていませんが。。
きれいな黄緑色で、見事にバラの新芽に同化していました。
それにしても。
いったいどうやってここまで上がってきたのでしょう。
いえ・・・そんなことより、問題は、このままにしておいていいのかとゆーこと。
ちいさい頃は、蝶もセミも、もちろんバッタも
平気で捕まえることができたのに。
現在の私は、セミに怯えるほどの虫ぎらい。
夜のうちにどこかへ行ってくれたらいいのですが・・・