最近感じること(ブログ版)

粕井貫次の書き下ろし個人エッセイ

鈴木清一さんの思い出(2)

2011年11月09日 | 感じること
 商業界ゼミナールは毎年2月に箱根で行われました。この受講者から後日、
流通業界において、わが国を代表する人々が輩出しました。ゼミナールの講
師は商業界主幹の倉本長治先生をはじめ、新保民八先生、岡田徹先生、喜多
村実先生、成瀬義一先生らであった。その教えは「正しきによりて滅びる店
あれば、滅びてもよし、断じて滅びず」にあるように、商人としての正しい
生き方を心構えから学び実践する道場のような場です。
 参加者のうちにはニチイ(当時はハトヤ)の西端行雄氏、岡田屋(後のジ
ャスコからイオンに)の岡田卓也氏、長崎屋の岩田孝八氏らがいました。
 鈴木さんは昭和30年から参加されていますが、私はその翌年の昭和31
年から参加し、多大の感銘をうけ、「商人としての誇りと喜び」を自覚した
のでした。
 鈴木さんを知ったのはその後、ゼミナールの参加者の同窓会のような会合
が大阪でありました。その頃、ケントクの新社屋が東淀川の三国に立てられ、
そこが商業界大阪同友会の月例勉強会の会場になっていました。そこの広い
舞台のある部屋で、一燈園のすわらじ劇団のお芝居を見た事がありました。
 劇の始まる前に一燈園の西田天香さんの講話があり、それを今でも覚えて
います。「盥に水を入れ、まな板のようなもので水を手前に引きよせても、
水は向こうへ流れてしまう。逆にまな板で水を向こうへやっても水は手元に
戻ってくる」と、商いもそのようなものとの教えでした。
 鈴木さんの経営理念である「損と得とあれば損の道を選ぶ」がまさにそれ
でした。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鈴木清一さんの思い出(1) | トップ | 鈴木清一さんの思い出(3) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿