昨夜、NHKスペシャル
「日本海軍 400時間の証言 第一回 開戦 海軍あって国家なし」を見た。
いろいろと思うところがあったので簡単にまとめておきたい。
海軍の作戦立案に携わった軍令部の生き残りが、戦後に集って行なった戦争の分析。
その、いわば“反省会”の模様を録音した、のべ400時間にも上るテープを元に
番組は構成される。
三夜連続の一回目なので、まだ総合的な評価は言えないが、海軍の頭脳たちの言葉は
とても生々しい。
特に印象に残ったのは、軍令部長以下誰一人、確固たる自信の
無いままに、戦争を始めてしまったという点だ。
彼らを駆り立てたものとは、なんだろう。
猪瀬直樹の「空気と戦争」は、別のアングルからそれについて取り上げた著作だ。※
開戦前、官民軍の30代エリート(戦後の日銀総裁もいる)を集めて設立された
総力戦研究所は、いわば来たるべき戦争をシミュレートする和製ランド研究所だった。
彼らの出した結論は、緒戦は勝ったとしても、物量作戦で必ずまけ、最後はソ連が
参戦してくるという(内容的にも正確性も)驚くべきものだった。
ところが、東條英機はこれを「机上の空論」と一蹴してしまうのだ。
「日露戦争も勝てるとは思わなかったが勝てた。戦とは計画通りにはいかないものだ」
ロジックで出した結論に対し、情緒で異を唱えてしまう典型だろう。
「正社員で雇うべきなのに、そうならないのはおかしい!」といって
派遣切りを拡大させてしまった共産党と本質的には同じである。
東條の情緒を生み出した空気こそ、陸軍と海軍を戦争に引っ張り出したものと同じ
だろう。
空気の正体については、やはり山本七平の一連の著作が詳しい。
氏は日本陸軍について、誰も包括的にものを見ることが無く、また見えても言わない。
結局、前例に従って流れるだけの組織だとし、それを“自転”と呼ぶ。
結局、開戦前に見えた人がいたとしてもそこまでで、後は組織として破滅へ自転して
いくしかなかったのだろう。
このあたり、前例主義ときわめて親和性の高い年功序列と、一定の関連性があるように
思われる。※
なお、山本氏の著作としては『空気の研究』が有名だが、個人的には
『一下級将校の見た帝国陸軍』の方が具体的な事例に富んでいておススメだ。
「戦略の無い組織からは精神論しか出てこない」という意見は
世の多くの政治家・経営者が肝に銘じるべきだ。
※元は「日本人はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦」という猪瀬氏の本だが
絶版中らしい。
※山本氏も、陸軍が階級よりも年次が重要な年功序列組織だったと指摘している。
「日本海軍 400時間の証言 第一回 開戦 海軍あって国家なし」を見た。
いろいろと思うところがあったので簡単にまとめておきたい。
海軍の作戦立案に携わった軍令部の生き残りが、戦後に集って行なった戦争の分析。
その、いわば“反省会”の模様を録音した、のべ400時間にも上るテープを元に
番組は構成される。
三夜連続の一回目なので、まだ総合的な評価は言えないが、海軍の頭脳たちの言葉は
とても生々しい。
特に印象に残ったのは、軍令部長以下誰一人、確固たる自信の
無いままに、戦争を始めてしまったという点だ。
彼らを駆り立てたものとは、なんだろう。
猪瀬直樹の「空気と戦争」は、別のアングルからそれについて取り上げた著作だ。※
開戦前、官民軍の30代エリート(戦後の日銀総裁もいる)を集めて設立された
総力戦研究所は、いわば来たるべき戦争をシミュレートする和製ランド研究所だった。
彼らの出した結論は、緒戦は勝ったとしても、物量作戦で必ずまけ、最後はソ連が
参戦してくるという(内容的にも正確性も)驚くべきものだった。
ところが、東條英機はこれを「机上の空論」と一蹴してしまうのだ。
「日露戦争も勝てるとは思わなかったが勝てた。戦とは計画通りにはいかないものだ」
ロジックで出した結論に対し、情緒で異を唱えてしまう典型だろう。
「正社員で雇うべきなのに、そうならないのはおかしい!」といって
派遣切りを拡大させてしまった共産党と本質的には同じである。
東條の情緒を生み出した空気こそ、陸軍と海軍を戦争に引っ張り出したものと同じ
だろう。
空気の正体については、やはり山本七平の一連の著作が詳しい。
氏は日本陸軍について、誰も包括的にものを見ることが無く、また見えても言わない。
結局、前例に従って流れるだけの組織だとし、それを“自転”と呼ぶ。
結局、開戦前に見えた人がいたとしてもそこまでで、後は組織として破滅へ自転して
いくしかなかったのだろう。
このあたり、前例主義ときわめて親和性の高い年功序列と、一定の関連性があるように
思われる。※
なお、山本氏の著作としては『空気の研究』が有名だが、個人的には
『一下級将校の見た帝国陸軍』の方が具体的な事例に富んでいておススメだ。
「戦略の無い組織からは精神論しか出てこない」という意見は
世の多くの政治家・経営者が肝に銘じるべきだ。
※元は「日本人はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦」という猪瀬氏の本だが
絶版中らしい。
※山本氏も、陸軍が階級よりも年次が重要な年功序列組織だったと指摘している。
仲間内の評判ばかり気にして、正しいことを言えない、行えない。
東条以下、当時の政治家、軍人には織田信長や井伊直弼のような「命を懸けてでも」という気概がなかったのでしょう。
それは今も同じですけど・・・
この空気が組織を変な方向へ誘導してしまってるように感じるのです。
論理が全て。政治経済の場面では。
>つまるところ、「リーダーの勇気」ということに尽きるんじゃないですか。
リーダーの論理的決断が正しいのかかが問題で、彼に勇気があるかどうかは関係がない。東条は勇気があったが、情緒的決断により間違った国家操縦をした。
>仲間内の評判ばかり気にして、正しいことを言えない、行えない。
これはその通り。
>東条以下、当時の政治家、軍人には織田信長や井伊直弼のような「命を懸けてでも」という気概がなかったのでしょう。
命を懸けるか否かと、ロジカルに正しい行動を取ることとは別物です。
大事なのは、どの方向へ向かって、リーダーシップを発揮するのか?ですよ。
個人の自由のために国家があるのか、国家のために個人があるのか。これが肝。
結局、そういうフィルターで選抜されていないということに尽きるのかもしれない。エリートだから試験は出来るんだろうけど。
勝てば、「俺たち最強」って威張れるのですから。
父親に言わせれば、東條なら統制派で、戦争反対派だから、それを抑える積りで引っ張り出したが、逆にいってしまったから、みなが非難すると話した。
海軍は戦争に石油が必要になった時、頭がいいからもうアメリカとは戦争はデキナいと分かったが、そこは頭がいいから何とかしようとした。
その結果である。それが分かるからなおさら国防国防といって軍事費を取っていたが、実際にはアメリカとは戦争のセの字もおもっていなかった。
ところが情勢は対米戦争へと進んだので非常に困ったのが真相で、それほど大げさなことがあったわけではない。
<何時もの言動はどうした。どれだけ軍事予算を取ってきた。軍縮予算も統帥権干犯といって、いいがかりをつけ、廃止して国防国防といって予算を使って、イザという時できない?いい加減にしておけよ>といわれると立つ手が無かった。海軍は。
できませんといえばいいものを訳のわからない、それらしき理窟を言ったに過ぎない。つまり、海軍の日ごろの怠惰と無気力が引き起こした戦争に過ぎない。
深く考える必要は無い。
国民や陸軍の若手の開戦論の主張が強く、それに逆らえなかっただけだと。
論理的に正しい判断を出来る人間ならいる。しかし、その判断を自分の意見としてしっかり主張し実行に移せる勇気を持った人間が必要なのではないでしょうか。
論理的判断ではなく、論理的”決断”というものが求められているのではないでしょうか。
しかしワークシェアリングなどを非正規にも拡大し、同一労働・同一賃金を法律で徹底した結果、非正規(パートタイム)は手段の一つとなり、みんなが自分の人生を中心に考えるようになったそうです。現在のオランダでは自己紹介をする時に、職業ではなく、週に何日休みでその間何をしているか、とういうことを相手に話すのが普通だそうです。(会社名を言っていたのはいつの話なんだろう)
話が長くなりましたが、上記のワークシェアリングや同一労働・同一賃金を推し進めたのは、元労働組合のトップだったということです。(ワッセナー合意時は労働組合連合議長)つまりこのトップはその時、正規従業員が痛みを伴うことで、多くの人が職に得ることができ、結果消費も拡大し、みんなが満足できるようになる、ということを考えていたようです。そして企業側や政府も、痛みを伴ってでも将来の発展のことを考えており、みんなが長期の視点で物事を見ていた、ということが言えると思います。
私は今の日本に足りないのは、このような長期の視点を持っている人が少ない、ということが一番の問題なんだと強く感じました。そしてこの問題を解消することが、日本において雇用問題を解決するための、一番の道なのではないかと考えています。
今のこの段階で、上記の問題を解消していくにはどうしたら良いのでしょうか。今、個人的にできることは、このブログを友達や知り合いに広めていくことかな、と考えています。
読みにくい文章を失礼しました。
流通してますよん。
ttp://www.amazon.co.jp/dp/4093942382
開戦60周期年かなんかでこれを元に中村雅俊主演でドラマ化してますね。