古今 ひえの山なる音羽の瀧を見てよめる
落たぎつ滝の水上年つもり老にけらしな黒き筋なし 忠岑
拾遺 権中納言敦忠が西坂本の山庄の瀧の岩にかきつけらる
音羽河せき入ておとす瀧津瀬に人の心の見へもする哉 伊勢
古今 ひえにのぼりて帰りまうできて詠る
山高み見つゝ我こし桜花風はこゝろにまかすべらなり 貫之
玉葉
世を祈るわが立杣の峯晴て心よりすむ秋の夜の月 前大僧正源惠
ひえの山に二月五番とて花など作る事侍ける。その花づくし
せんとて人の山によびのぼし侍ければむかし此山にて物など
拾遺 ならひける事を思ひ出て
いつとなく鷲の髙ねに澄月の光ややどすしがのから崎 法橋性憲
新勅
大嶽のすゝね吹風に霧晴てかゞみの山に月もくもらぬ 慈圓
風雅
三の岑二つの道をならべ置て我立杣に名こそ高けれ 慈順