新古今和歌集の部屋

源氏物語と新古今和歌集 山鳥の心地 夕霧


夕霧

かく心ごはけれど、いませかれ給べきならねば、やがてこの人をひきたてて、おしはかりにいり給ふ。宮はいと心うく、なさけなくあはつけき人の心なりけり、とねたくつらければ、わか/\しきやうにはいひさはぐとも、とおぼして、ぬりごめにおましひとつしかせたまて、うちよりさして、おほとのごもりにけり。これもいつまでにかは、かばかりにみだれたちにたる人の心どもはいとかなしう、くちおしうおぼす。おとこぎみは、めざましうつらしと思ひきこえ給へど、かばかりにてはなにのもてはなるゝことかはと、のどかにおぼして、よろづにおもひあかし給ふ。山どりの心ちぞし給うける。からうしてあけがたになりぬ。かくてのみ、ことといへばひたおもてなべければ、いで給ふとてたゞいさゝかのひまをだに。
といみじうきこえ給へど、いとつれなし。

第十五  戀歌五 題しらず よみ人知らず
晝は來て夜はわかるる山鳥のかげ見るときぞ音は泣かれける
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