新古今和歌集の部屋

時雨亭方丈記 序1



  鴨長明方丈記
行河のながれはたえずしてしかも本の水に
あらず。よどみにうかぶうたかたはかつきえかつむ
すびて久しくとゞまることなし。世の中にある
人と栖と又かくのごとし。たましきの宮この内
に棟をならべ甍をあらそへるたかき賎き人
まことかとたずぬれば昔ありし家はまれなり。或は
去年やぶれて今年造れり。或は大家ほ
ろびて小家となる。すむ人も是おなじ。所もかはら
ず人もおかれどいにしヘ見し人は三十人が
                 中に

(参考)前田家本
行く川の流れは絶えずして、しかも元の水に
非ず。淀みに浮かぶ泡沫は、かつ消え、かつ結
びて、久しく留まる事無し。世の中にある
人と栖と斯くの如し。玉敷の都の中
に甍を争える、貴き賎しき人
の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、是を
真かと尋ぬれば、昔ありし家は稀なり。或いは
去年焼けて今年造り、或いは大家
滅びて小家となる。 住む人も是に同じ。所も変はら
ず、人も多かれど、いにしへ見し人は二三十人が中に

(参考)大福光寺本
ユク河ノナカレハタエスシテシカモゝトノ水ニ
アラス。ヨトミニウカフウタカタハカツキエカツム
スヒテヒサシクトゝマリタルタメシナシ。世中ニアル
人ト栖ト又カクノコトシ。タマシキノミヤコノウチ
ニ棟ヲナラヘイラカヲアラソヘルタカキヤシキ人
ノスマヒハ世々ヲヘテツキセヌ物ナレト是ヲ
マコトカト尋レハ昔アリシ家ハマレナリ。或ハ
コソヤケテコトシツクレリ。或ハ大家ホ
ロヒテ小家トナル。スム人モ是ニ同シ
。トコロモカハラ
ス人モヲホカレトイニシヘ見シ人ハ二三人カ中ニ
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