それはまた別のお話

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「人間風車」 10/5 マチネ

2017-10-06 | 舞台


「人間風車」
10/5(木)マチネ 東京芸術劇場プレイハウス 1階L列下手

【 作 】後藤ひろひと
【演出】河原雅彦

【出演】成河 / ミムラ / 加藤 諒 / 矢崎 広 / 松田 凌 / 今野浩喜 / 堀部圭亮 / 良知真次 ほか


笑いの扉を開けると、底なしの恐怖が待っていた…
愉快で楽しみいっぱいの童話の世界は、恐怖に満ちた悪夢へ直角に加速する!


パルコさんの↑のような煽り文句、既に観劇した方からの「前半オモシロ・後半ホラー」という感想に戦々恐々。
何よりもスプラッターが大の苦手なワタシなのに、成河さんご出演となれば必須科目になってしまいます。
しかも「休憩なしで2時間30分」…大丈夫なんだろか。

そして観終わってよく分かったのは、どうして「休憩なし」だったのか、ということです。
確かに前半はとっても面白かった。
童話の世界とリアル世界が交互に繰り返され、今野浩喜さんが繰り出すトレンドな笑いネタがヒットしまくり。
ぴろしくんと良知くんが繰り広げる会話や「なんちゃって殺陣」が緩くて笑えて。

しかし物語が進んでいき、成河さん演じる童話作家が恋焦がれるアキラを家に招いたときに、
スイッチがパタンと切り替わる。
ま、普通だったらこの辺で休憩を挟むだろうに、そこからジェットコースターのように急転直下…

要するに「もう降りられない」。
お化け屋敷が途中で抜け出せないように、そこからは逃げ出したくても最後までたどり着かないと終わらない。
そして最後まで本気で向き合わないとこのお芝居は何の意味もない。

相当なグロな表現が続いて「怖かった」としか言いようがないのですが、
何が怖いって、「これから起こることが全部想像できてその通りになる」のが怖い。

加藤諒くん演じるサムとアキラの関係も予感していた通り。
また「これから起こること」を語る成河さんの表現力が素晴らしくて、
頭の中にリアルにその場面が予想できてしまうのがもう辛くて辛くて。
でも凝視しないわけにはいかない。見届けないと終わらない。
そして開けられるパンドラの箱。

アフトクで成河さんが話してくれましたが、
今回のラストは2003年版と変えてあるそうです。
そのために「最後に語られる童話」のモチベーションが弱くなってしまうけれど
演出の河原さんは「だたのバケモノ退治の話にしたくない」と考え細かく煮詰めていったとか。

私が強く感じたのは「物語の力、想像力の強さ」。
プロレス用語も全く知らないので理解が足りないところもあったけど、
(「人間風車」というのは往年の名レスラー、ビル・ロビンソンのことだと後で知った。パンフ買えばよかった…)
楽しめて心に残る作品でした。

成河さんが言うように、少し大きすぎるコヤだった気もするけれど
大きなセットがぐるぐる回転する舞台機構、大音量の音響、そのためのサムの衣装、そのための平川の部屋の小道具、
立体的で奇想天外でポップな見栄えなところも楽しめました。



この日はアフタートークがあり、成河さんミムラさん加藤諒さん3名の登壇でした。
以下雑多に。(メモ取らなかったので記憶違いあったらご容赦ください)

加藤くんが話始めたとき、なんとなく舞台中央を向いてしまい(客席からは横向きになってしまう)
それを見て成河さんが立ち上がって椅子の向きを直し前を向くようにジェスチャーで指示。お兄さんみたい(笑)

成河さんは加藤くんを評して
「不器用だけど、その個性をコントロールできるようになれば10年20年に一人の逸材になる」と持ち上げ。加藤くんテレまくり。

実際に加藤くんは、高いところから落ちたり段取りに苦労していたそうです。

成河さんが苦労したところ
「長台詞が大変で喋っていると腹筋が割れるぐらい。「長台詞トレーニング」という本を出版したい(!)」

東京14公演でもう折り返しを過ぎていると聞いて成河さん
「ワタクシ事ですが、春先に85公演もやっていたので…あっという間でした」

ミムラさん
「筋肉痛にはクルミがいいと成河さんに教わり、加藤くんと分け合って食べている。兄弟みたい」
ミムラさんは会見のときもずっと喋っていて、演出河原さんも若干引いたとのこと。
でもあの雰囲気があってこそのアキラ役でした。

この後は地方公演を回るんですね。
怪我や事故なく無事に公演できますように。

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