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統計(学)のすすめ1

2010年06月01日 | Weblog
新学習指導要領

 私など全く知らなかったことで、先月29日の社団法人日本品質管理学会第92回研究発表会の特別講演*1)からの受け売りなのだけれど、日本では平成10年の学習指導要領の改訂で、統計分野が削減され、この10年子どもたちは高校までを含め学校ではほとんど統計を勉強していなかったそうである。

 一方海外では、1982年英国、1990年米国で、「『統計と確率』は、従来に比べ相当重要な位置を与えられるべきである。」との関係機関からの勧告に従い、学校で小学校低学年から、自身で問題を見つけて関連データを集め、整理し表現すること。高学年では体系的に収集したデータをコンピュータで処理し、解釈するなど、問題設定からその解決に統計手法を活用する訓練がされているそうである。

 その特別講演では、ニュージーランドの統計教育を代表例として取り上げていたが、小学校から高校までの統計的問題解決、統計リテラシー(基本能力)、および確率の内容が対象データのレベルと使用する統計スキルを上げながら、毎学年で繰り返され*2)、それは数学の時間の3分の1を占めるとのことであった。そしてこれら海外での統計教育改革のルーツは日本の企業で行われて来た品質管理教育におけるQCストーリー*3)であり、そこから生まれたシックスシグマのDMAICに沿うものであることは興味深い。

 すなわち、1980年代の日本が家電製品や乗用車等に代表される工業製品の品質で世界を凌駕したインパクトから、欧米が必死に日本の質文化を学んだ証左であり、それを企業活動に取りこむだけでなく、子供たちへの教育へさえ取りこんでいたことは徹底している。この頃日本の教育はどうなっていたのか。「ゆとり教育」である。「21世紀は日本の世紀」などと褒め殺しされ始めた時期から、海外は必死に巻き返しを図り、日本はうさぎ小屋での昼寝に入ったとさえいえる。

 ここに来て、というより2005年日本統計学会などを中心に、21世紀の知識創造社会に向けた統計教育推進への要望書が、中央教育審議会に提出されたそうで、2009年にようやく新学習要領に統計が盛り込まれることになった。その内容をあげると、例えば小学3年生では、資料(データ)の分類と整理、表やグラフでの表現、表やグラフの読み取り、棒グラフの読み方や書き方。中学1年では、ヒストグラムや代表値の必要性と意味、ヒストグラムや代表値を用いて資料の傾向をとらえ説明する。さらに平均値、中央値、最頻値、範囲、階級の意味など、統計的品質管理の初期に出てくる学習内容を学ぶことになったのである。


*1)東洋大学経済学部渡辺美智子先生
*2)PROBLEM:対策をとるべき課題の発見 ⇒PLAN:現状を測るためのデータ収集と分析計画 ⇒DATA:資料やデータの収集・記録・整理 ⇒ANALYSIS:データの分析 ⇒CONCLUSION& IMPROVE:結論のとりまとめと施策の提言 ⇒CONTROL&CHECK:施策の実施管理と効果の 評価
*3)1.テーマと目標 2.現状把握 3.解析(現象→原因) 4.対策 5.効果の確認 6.歯止め、標準化 7.残された問題、今後の取り組み
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