NHK会長の籾井会長が記者会見で、また嫌がらせを受けたようだ。
<NHK会長「公平公正」繰り返す 定例記者会見に出席>
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/520923.html
■NHKの籾井勝人会長は13日、従軍慰安婦などをめぐる発言が問題となった就任会見後初の定例記者会見に出席し「放送法に基づいて不偏不党、公平公正、表現の自由などの原則を守って放送する」などと繰り返し述べた。
籾井会長は質疑応答で、自身の発言に国内外から批判があったことについて「個人的見解を述べたことは誠に申し訳ない。海外の批判は甘んじて受けるしかない」と謝罪した。
一方で「きょうは定例会見だから就任会見のことはあまり聞かないでほしい。済んだことだから」とも述べた。連日、国会に出席している事態について「(通常の仕事に)空白ができているとは思わない」と答えた。■
籾井会長は1月25日の就任会見で、従軍慰安婦問題を「どこの国にもあった」と発言。国際放送については「政府が『右』と言っているものを『左』と言うわけにはいかない」などと述べ、国内外から批判を受けた。籾井会長はこれまでに野党の要求で国会に参考人として出席し、「個人的見解はすべて取り消したい」として、問題視された発言を撤回している。用心深くなるはずだ。
籾井氏が就任記者会見で、記者の汚い手口に引っ掛けられたことは、先日書いたが、現代史家の秦郁彦氏がもっと詳細な経緯を書いていた。
<【正論】一途に思い込んだ正義の厄介さ>
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140212/ent14021203460001-n4.htm
■なぜかNHKも動画サイトも記者会見の全容を報じていないが、私の手許(てもと)には、臨場感あふれる逐語の質疑記録がある。それを見ると、会長はまず不偏不党、視点の多角化を軸とする放送法の趣旨を順守したいと繰り返し強調し、NHKという伝統ある組織への敬意と信頼を語っている。
《記者会見取材の方法に疑義》
次いで首都災害による放送機能の麻痺(まひ)を避けるため、耐震性が足りぬ放送センターの建て替え構想を前倒ししてでも実施したいと述べた。ところが、質疑に移ると、記者団はNHK会長の守備範囲とは言いにくい政治的イシューばかりを選び、集中砲火を浴びせる。
繰り出した論点は、憲法改正、特定秘密保護法、尖閣・竹島の領土問題、靖国参拝と合祀(ごうし)、慰安婦問題と多岐にわたった。会長はしつこく迫られても、「個人的意見は差し控えたい」「ノーコメント」とかわすが、慰安婦問題でついに引っかけられてしまう。
「会長自身はどう考えているか」という毎日の質問に「コメントを控えてはだめですか…今のモラルでは悪いことだが、戦時慰安婦はどこの国にもあった。違います?」と応じるが、「重ねて尋ねたい」と迫られ、「無言」でいると、傍らの広報局長が「ノーコメントということ。じゃ次の質問を」といったんは押さえ込む。
しかし、10分後に同じ記者が「揚げ足を取るようだが」と断りながら蒸し返した。そして、「どこの国にもとは、すべての国か」と追及し、「ドイツ、フランス…」と国名を列挙させた後は、「どこの国にもあった証拠を出せ」「ではなかった証拠はあるのか」と、売られたケンカをうっかり買う形になってしまった。
危ないと気づいてか、会長が個人の見解だと付け加えても、「ここは会長会見の場なので」(読売)と言われ、「それなら全部取り消します」と宣言したが、手遅れだった。「言ったことは取り消せませんよ」と凄(すご)まれ、「乗せられてしまった。今後はノーコメントと言い続ければよいのか」と反問したが、誰も答えない。
最後に朝日の「靖国と慰安婦はどちらも肯定的に見える発言だったが、それを番組に反映させたいのか」「襟を正して政権との距離を取るつもり?」と意地悪な質問で会見は終わった。友人の元記者に聞くと、「失言狙いの若い記者に挑発され、老練な経営者がワナにはまるとは」と辛口評だが、NHKに届いた視聴者の反応は、「批判的意見が7500件、よく言ったという声が3500件」(NHK発表)だという。質疑の全部を読ませたら、この比率は逆転するかもしれない。■
毎日の記者のワナにはまってしまったのだ。大会社の副社長も社長も務めた69歳になる老練な社会人なのに、記者会見は不慣れとはいえ、若い記者の術中にハマったのは残念なことだ。
秦氏はNHKに届いた視聴者の反応を紹介しているが、きょうの北海道新聞にも<NHKに意見1万6000件、批判6割>と出ていたので、私は早速「籾井会長、百田、長谷川経営委員擁護」の意見をメールでNHKへ送った。みんなの運動で賛否が逆転したら面白かろう。
「NHKおよび放送番組についてのご意見・お問い合わせ」http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
●きょうの気になる言葉
▽<【主張】村山氏訪韓 「反日宣伝」利するだけだ>
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140214/kor14021403380000-n1.htm
■もっと重大なのは、元慰安婦への補償について「国家として責任をもって補償すべきだという主張も否定しない」と言った点だ。
補償問題は、昭和40年の日韓請求権協定で完全に解決ずみだ。それを蒸し返しかねない口実を韓国側に与える発言であり、政府間の国際協定を事実上、否定するものだ。決して容認できない。
自身の首相時代に出した平成7年の村山談話については、安倍首相も「最終的には継承すると言っている」と述べた。
「植民地支配と侵略」への「お詫(わ)びの気持ち」を強調したこの談話は、しかし、度重なる謝罪や非常識な賠償要求の要因となってきた。謝罪外交を断ち切り、真に未来志向の日韓関係を築くには、村山談話の見直しも必要だ。
談話継承発言には日韓関係修復という氏の意図もにじむ。だが、米国各地に慰安婦像を設置し、国際漫画祭に慰安婦虐待を描いた作品を出展するなど、韓国側の反日宣伝は激しさを増している。
案の定、韓国メディアは、「不規則な発言」を意図的に「妄言」と訳すなど、村山発言につけ込んだ日本批判を繰り広げている。
残念ながら、村山氏が「反日韓国」に物申した形跡はない。■
▽<【産経抄】飛んで火にいる>
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140214/plc14021403360001-n1.htm
「日本海」の名付け親は、実は日本人ではない。18世紀の後半、フランスの軍人、ラペルーズが日本付近を探検し、作製した海図にすでに表記はあった。
▼以後、西欧社会では、日本海の呼称が定着していく。日本が韓国を併合した1910年より、はるか昔の出来事である。「日本海の名称は、日本の拡張主義や植民地支配の結果広められてきた」。この韓国政府の主張が、的外れであることは明らかだ。
▼にもかかわらず、米国の韓国系住民が多く住む州の議会で、韓国の主張する呼称「東海」の使用を求める法案が提出され、一部の州では可決されてしまった。米国内では新たな慰安婦像の設置計画もある。フランスでは、慰安婦をテーマに何の根拠もない日本軍の蛮行を描く、漫画の企画展が開かれたばかりだ。
▼何でも過去の植民地支配に結びつけ、日本を貶(おとし)める韓国の宣伝作戦が、着々と成果を挙げている。そんなさなか、村山富市元首相が韓国に招かれた。まさに、飛んで火に入るなんとやら、である。
▼元首相は、戦後50周年に当たる平成7年には、関係国に「謝罪」を乱発している。なかでも「植民地支配への心からのおわび」を表明した村山談話は、その後の日本外交の足かせになり続けた。今回の韓国での言動も、今後の反日キャンペーンに利用されるのは目に見えている。
▼国会で講演した元首相は、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話について、こう述べた。「最近、不規則な発言をする者もいる。恥ずかしい限りだ」。河野談話がどれほどずさんな調査に基づいたものか、くわしく報じた小紙も含まれているらしい。韓国メディアは「不規則な発言」を「妄言」と訳しているという。元首相の発言こそ、ふさわしいのでは。
困った爺さんだ(日本には言論の自由も移動の自由もあるが)。老害である、しかも国益を損なっている。そのことに本人の自覚が全くないのが、戦後日本の「精神の病」の深刻さを表している。
<NHK会長「公平公正」繰り返す 定例記者会見に出席>
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/520923.html
■NHKの籾井勝人会長は13日、従軍慰安婦などをめぐる発言が問題となった就任会見後初の定例記者会見に出席し「放送法に基づいて不偏不党、公平公正、表現の自由などの原則を守って放送する」などと繰り返し述べた。
籾井会長は質疑応答で、自身の発言に国内外から批判があったことについて「個人的見解を述べたことは誠に申し訳ない。海外の批判は甘んじて受けるしかない」と謝罪した。
一方で「きょうは定例会見だから就任会見のことはあまり聞かないでほしい。済んだことだから」とも述べた。連日、国会に出席している事態について「(通常の仕事に)空白ができているとは思わない」と答えた。■
籾井会長は1月25日の就任会見で、従軍慰安婦問題を「どこの国にもあった」と発言。国際放送については「政府が『右』と言っているものを『左』と言うわけにはいかない」などと述べ、国内外から批判を受けた。籾井会長はこれまでに野党の要求で国会に参考人として出席し、「個人的見解はすべて取り消したい」として、問題視された発言を撤回している。用心深くなるはずだ。
籾井氏が就任記者会見で、記者の汚い手口に引っ掛けられたことは、先日書いたが、現代史家の秦郁彦氏がもっと詳細な経緯を書いていた。
<【正論】一途に思い込んだ正義の厄介さ>
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140212/ent14021203460001-n4.htm
■なぜかNHKも動画サイトも記者会見の全容を報じていないが、私の手許(てもと)には、臨場感あふれる逐語の質疑記録がある。それを見ると、会長はまず不偏不党、視点の多角化を軸とする放送法の趣旨を順守したいと繰り返し強調し、NHKという伝統ある組織への敬意と信頼を語っている。
《記者会見取材の方法に疑義》
次いで首都災害による放送機能の麻痺(まひ)を避けるため、耐震性が足りぬ放送センターの建て替え構想を前倒ししてでも実施したいと述べた。ところが、質疑に移ると、記者団はNHK会長の守備範囲とは言いにくい政治的イシューばかりを選び、集中砲火を浴びせる。
繰り出した論点は、憲法改正、特定秘密保護法、尖閣・竹島の領土問題、靖国参拝と合祀(ごうし)、慰安婦問題と多岐にわたった。会長はしつこく迫られても、「個人的意見は差し控えたい」「ノーコメント」とかわすが、慰安婦問題でついに引っかけられてしまう。
「会長自身はどう考えているか」という毎日の質問に「コメントを控えてはだめですか…今のモラルでは悪いことだが、戦時慰安婦はどこの国にもあった。違います?」と応じるが、「重ねて尋ねたい」と迫られ、「無言」でいると、傍らの広報局長が「ノーコメントということ。じゃ次の質問を」といったんは押さえ込む。
しかし、10分後に同じ記者が「揚げ足を取るようだが」と断りながら蒸し返した。そして、「どこの国にもとは、すべての国か」と追及し、「ドイツ、フランス…」と国名を列挙させた後は、「どこの国にもあった証拠を出せ」「ではなかった証拠はあるのか」と、売られたケンカをうっかり買う形になってしまった。
危ないと気づいてか、会長が個人の見解だと付け加えても、「ここは会長会見の場なので」(読売)と言われ、「それなら全部取り消します」と宣言したが、手遅れだった。「言ったことは取り消せませんよ」と凄(すご)まれ、「乗せられてしまった。今後はノーコメントと言い続ければよいのか」と反問したが、誰も答えない。
最後に朝日の「靖国と慰安婦はどちらも肯定的に見える発言だったが、それを番組に反映させたいのか」「襟を正して政権との距離を取るつもり?」と意地悪な質問で会見は終わった。友人の元記者に聞くと、「失言狙いの若い記者に挑発され、老練な経営者がワナにはまるとは」と辛口評だが、NHKに届いた視聴者の反応は、「批判的意見が7500件、よく言ったという声が3500件」(NHK発表)だという。質疑の全部を読ませたら、この比率は逆転するかもしれない。■
毎日の記者のワナにはまってしまったのだ。大会社の副社長も社長も務めた69歳になる老練な社会人なのに、記者会見は不慣れとはいえ、若い記者の術中にハマったのは残念なことだ。
秦氏はNHKに届いた視聴者の反応を紹介しているが、きょうの北海道新聞にも<NHKに意見1万6000件、批判6割>と出ていたので、私は早速「籾井会長、百田、長谷川経営委員擁護」の意見をメールでNHKへ送った。みんなの運動で賛否が逆転したら面白かろう。
「NHKおよび放送番組についてのご意見・お問い合わせ」http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
●きょうの気になる言葉
▽<【主張】村山氏訪韓 「反日宣伝」利するだけだ>
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140214/kor14021403380000-n1.htm
■もっと重大なのは、元慰安婦への補償について「国家として責任をもって補償すべきだという主張も否定しない」と言った点だ。
補償問題は、昭和40年の日韓請求権協定で完全に解決ずみだ。それを蒸し返しかねない口実を韓国側に与える発言であり、政府間の国際協定を事実上、否定するものだ。決して容認できない。
自身の首相時代に出した平成7年の村山談話については、安倍首相も「最終的には継承すると言っている」と述べた。
「植民地支配と侵略」への「お詫(わ)びの気持ち」を強調したこの談話は、しかし、度重なる謝罪や非常識な賠償要求の要因となってきた。謝罪外交を断ち切り、真に未来志向の日韓関係を築くには、村山談話の見直しも必要だ。
談話継承発言には日韓関係修復という氏の意図もにじむ。だが、米国各地に慰安婦像を設置し、国際漫画祭に慰安婦虐待を描いた作品を出展するなど、韓国側の反日宣伝は激しさを増している。
案の定、韓国メディアは、「不規則な発言」を意図的に「妄言」と訳すなど、村山発言につけ込んだ日本批判を繰り広げている。
残念ながら、村山氏が「反日韓国」に物申した形跡はない。■
▽<【産経抄】飛んで火にいる>
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140214/plc14021403360001-n1.htm
「日本海」の名付け親は、実は日本人ではない。18世紀の後半、フランスの軍人、ラペルーズが日本付近を探検し、作製した海図にすでに表記はあった。
▼以後、西欧社会では、日本海の呼称が定着していく。日本が韓国を併合した1910年より、はるか昔の出来事である。「日本海の名称は、日本の拡張主義や植民地支配の結果広められてきた」。この韓国政府の主張が、的外れであることは明らかだ。
▼にもかかわらず、米国の韓国系住民が多く住む州の議会で、韓国の主張する呼称「東海」の使用を求める法案が提出され、一部の州では可決されてしまった。米国内では新たな慰安婦像の設置計画もある。フランスでは、慰安婦をテーマに何の根拠もない日本軍の蛮行を描く、漫画の企画展が開かれたばかりだ。
▼何でも過去の植民地支配に結びつけ、日本を貶(おとし)める韓国の宣伝作戦が、着々と成果を挙げている。そんなさなか、村山富市元首相が韓国に招かれた。まさに、飛んで火に入るなんとやら、である。
▼元首相は、戦後50周年に当たる平成7年には、関係国に「謝罪」を乱発している。なかでも「植民地支配への心からのおわび」を表明した村山談話は、その後の日本外交の足かせになり続けた。今回の韓国での言動も、今後の反日キャンペーンに利用されるのは目に見えている。
▼国会で講演した元首相は、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話について、こう述べた。「最近、不規則な発言をする者もいる。恥ずかしい限りだ」。河野談話がどれほどずさんな調査に基づいたものか、くわしく報じた小紙も含まれているらしい。韓国メディアは「不規則な発言」を「妄言」と訳しているという。元首相の発言こそ、ふさわしいのでは。
困った爺さんだ(日本には言論の自由も移動の自由もあるが)。老害である、しかも国益を損なっている。そのことに本人の自覚が全くないのが、戦後日本の「精神の病」の深刻さを表している。