My-boomよ、永遠なれ。

熱しやすく、冷めやすいお調子者のマイブーム日記…
いよいよ人生は佳境に“ラスト・クオーター・サバイバル”へ

コンパクトながらハイ・クオリティなリヒテンシュタイン展

2013-05-16 07:36:49 | アート・美術館

先日12日(日)にレンタサイクルで京都(左京区中心に)をぶらり巡って参りました。
その時メインポイントとして京都市美術館を訪れました。


「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展です。※ゴッホ展との併催


約400年間、15代つづくリヒテンシュタイン侯のコレクションは世界最大級と言われていますが、今一つ日本人には馴染みが薄いかもしれません。
私自身も出品されている画家の名前はせいぜいルーベンスやラファエッロをかじった程度です。
ハウスブルク家の家臣として地位をたかめていき、以降収集されたコレクションのカテゴリーは在位した名君たちによって分けられているようです。
初代在位のカール1世から始まりカール・オイゼビウス1世、ヨハン・アダム・アンドレアス1世など傑出したコレクターによって膨大なそしてクオリティの高い美術品が収集された来たわけです。

いつもの通り浅学な私としては正しいコメントを記することは不可能ですので、いくつかの絵画前に立ったときにピーン!とかゾクッとか感じたものに適当にコメントを入れる程度で紹介します。

公式図録

表紙図
ペーテル・ハウス・ルーベンス_クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像
ヨーロッパ美術の歴史において最も感動的な子供の肖像画のひとつと言われています。
大胆なクローズアップ、そして赤みの強調された頬と鼻や額に施されたハイライトによってはちきれんばかりの生命感、そして5歳の愛娘が父親に見せる親密な眼差しをストレートに表現しています。

リヒテンシュタイン物語:著者・池田理代子

「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展コラボ商品。
池田理代子描き下ろしによるコミックと、侯爵家所蔵の美術作品を カラーグラビアであわせて商品化。 波瀾にみちたリヒテンシュタイン侯爵家の歴史を描き下ろした。
第二次世界大戦中、ナチスからコレクションを守った侯爵と美術館長の手に汗握る物語。

ラファエッロ・サンティ_男の肖像

冷静沈着で少々意地悪そうな表情が色気を感じますね。
このポーズどこかで見たことありませんか?そうダ・ヴィンチの「モナ・リザ」のように半身に構えた人物に後ろの風景を描いています。
ルネッサンス期に流行した肖像画の様式で描かれており、まさに肖像画の王道なのです。

ヘルマン・ポステュムス_古代ローマの廃墟のある風景

ローマの古代美術品の発見を描いた本作品は緻密に描かれた手前の遺跡・遺物と彩度を抑えた遠景(北方の理想化された風景)によって、重々しさと広大な空間を凝縮して描かれており好きなタイプの絵画です。

グイド・レーニ_マグダラのマリア

吸い込まれるような潤んだ瞳に恋しそう。
天上を仰ぐ悔悛の女性のポーズが神々しさを醸し出します。

ヤン・ビューゲル_若きトビアスのいる風景

この超精密に描かれた風景画のサイズはわずかに36×55cm(油彩/銅板)と脅威の世界です。
数多くの人物が点在する細かく分断された風景に紛れており、ほとんど判別することは不可能です。
さまざまな人々の享楽的な賑わいが、幻想的な河川の光景と融合されていますが、主題となる若きトビアスは画面の下端に小さく描き込まれているちょっと不思議な絵画です。

アンソニー・ヴァン・ダイク_マリア・デ・タシスの肖像

ほのかな微笑を浮かべて慎重にこちらを見つめ気品に満ちた肖像画です。首まわりのレースやダチョウ毛の扇子、ビロードのドレスに金の縁飾りなど異なる素材の質感を見事に描きわけています。

ジョヴァンニ・パオロ・バニーニ_古代ローマの傑出した遺跡と彫刻のある奇想

実際に存在したかのような風景画ですが、これは古代あるいは近世の建築遺跡と彫刻が寄せ集められた奇想(カプリッチョ)と呼ばれる空想画です。
構成・配置のセンスも素晴らしく透視図法を駆使したダイナミックな風景は気持ちがいいですね。

フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー_磁器の花瓶の花、燭台、銀器

材質のきわめて微妙なニュアンスまで再現する細密静物画です。これぞスーパーリアリズムだと言いたくなります。
しっとりとした蝋のような花びら、銀器や金の腕輪の硬くメタリックような輝き、やわらかい輝きを放つ乳白色と東洋風の絵付けをされた花瓶どれをとっても隙のない表現ですね。

これほどゾクゾク感が続く展示も久しぶりです。最後のルーベンスのコーナーで締めを喰ったような感じですがもっと見てみたい欲望に駆られます。
入館前は併せて「ゴッホ展 空白のパリを追う」も見たかったのですが、もう緊張感は続かず更に人混みに足を踏み入れる気力もなくここで美術館を後にしました。




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レーピン&横尾忠則

2013-03-30 20:43:48 | アート・美術館

今年になってから美術館巡りをしていませんでしたが、ようやくチャンス到来です。
幾つか企画展のピックアップはしておりますが、その中でも昨年11月神戸市灘区にオープンした「横尾忠則現代美術館」には是非足を運びたかったのです。
そしてテレビで姫路市立美術館「レーピン展」の紹介をしていたので、こちらもたいへん興味が沸き急きょ二館巡りを敢行いたしました。

姫路市立美術館
明治時代の建物(明治末~大正2年建築・旧陸軍第10師団の兵器庫、被服庫)を保存活用。世界文化遺産・姫路城の東隣にあり、緑の芝生に囲まれた赤レンガの建物はとってもおしゃれです。




隣接する姫路城は大天守保存修理期間中です。


国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展
イリヤ・レーピン(1844-1930)は19世紀後半のロシア美術を代表する画家であり、数多くの歴史画、風俗画、肖像画を手掛け、ロシアリズムの旗手として活躍しました。
本展は世界最大のレーピンコレクションを所有する、モスクワのトレチャコフ美術館の所蔵品から、レーピンの初期から晩年に至る作品約80点を展示しています。


レーピン展図録


この企画展はすでに渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムや浜松市美術館での開催を経て本展にきております。
従って詳しくはメディア等で広く紹介されていますので、私の主観を少し散文で記述したいと思います。

本展エントランスをくぐって最初に感じたのは「暗い」「重い」「色彩が乏しい」などマイナーなイメーージでした。
これはこの時期のレーピンの作風がロシア激動の時代背景(革命前後)と複雑に絡み合っているせいなのかな?

<ヴォルガの船曳き:習作>

絵画作品の場合本作と習作を見比べその構図作りや主眼の変遷などを考察するのは楽しいものです。
身勝手な希望を言えば「ヴォルガの船曳き」のための幾つかの習作は興味を大いにそそりますが、やはり本作を直に鑑賞してナンボのものでしょう。
こればかりは他の美術館所蔵(例えば国立ロシア美術館とか)との関係もあり、もっと大きな企画枠でなければ実現しないでしょうね。
この作品に限らず他の名作でも参考図版として写真パネルが本作との比較を解説しているのは助かりますが、逆に言えば本作の無い習作展示って学芸員泣かせだろう。

個人的にはレーピンが30歳の頃にパリ留学時にコロー、マネとモネなど印象派(サロン・ド・パリ)に多大な影響を受け傾倒してからの作風が好み。
<あぜ道にて―畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち>


やはりモネに傾倒した感がありますね。
もう少し強引に言えば同時代イタリアの画家セガンティーニなどにも通じるものがあります。

さてレーピンの真骨頂である肖像画について。
彼の描く肖像画は実に表情が豊かである。それも微妙なディテールからその人物の強い精神力を見出し品格と端正さを与えています。
表情作りの大部分を瞳が司る場合がありますが、顔の中央にある「鼻」の存在も大きいと思うのは私だけか?
※おでこと鼻の先端にあたるハイライトは光源方向を想起させると同時に劇的な表情を与えるのに一役買っていると思います。

特に凄まじい存在感と人間性を表現している傑作。
<文豪レフ・トルストイの肖像>

レーピン曰く
垂れ眉の尊敬される人物で、あらゆるものを自らに集中させ、汚れの無い太陽のような目ですべてに答えるのです。
この偉大な人物が、いかに自らを卑下しようとも、どんなに酷いぼろでその力強い肉体を覆い隠そうとも、彼の中には、眉をひそめるだけでオリュンポス山全体を震撼させるゼウスが常に認められます。

当時のロシア芸術の重鎮や政治家、軍人、学者、事業家(自身のパトロンでもあるトレチャコフ含む)など幅広く一流の人物と交流があったと思われます。
それは人間性に富んだ人々を洞察する上で最高のオケージョンでもあったはずです。

レーピンに洞察された向こうの人物像を理解できたなら更に奥深い鑑賞になったはずですが、私にはそこまで知識も見解もありません。



横尾忠則
京都のデザイン専門学校でグラフィック・デザイナーを目指していた頃、激しく傾倒したデザイナー&イラストレーターとして氏を上げることが出来る。
今でこそ画家宣言をして美術家としてお高く留まっているようですが、当時では『平凡パンチ』や『話の特集』を飾った健さん(高倉健)や浅丘ルリ子、藤純子など数々のイラストを俗っぽく奇抜にそしてクールに描きしばしば物議を醸すことも。
 

いちばん気に入った作品・『SANTANA / LOTUS』1973年

その精神性、宇宙観、神々しさ…。コスト無視したサンタナ絶頂期に相応しい多色印刷・特大22面レコジャケです。

横尾忠則現代美術館(HPより)
兵庫県西脇市出身の美術家、横尾忠則からの寄贈・寄託作品を適切な環境で保管し、多くの人に鑑賞していただくため、兵庫県立美術館王子分館(旧兵庫県立近代美術館、村野藤吾設計)の西館をリニューアルし、2012年11月に開館しました。




開館記念展II 横尾忠則展「ワード・イン・アート~字は絵のごとく 絵は字のごとく」
詳細はこちらへ




今回の図録

この『Wonderland』当時シビレマシタ。

前回の図録


個々の作品はどれを見ても斬新さと懐かしさで楽しい気分になれます。
そしてこの「オッサンいつまで元気やね~」と言いたくなるタフさに脱帽です。


写実絵画専門・ホキ美術館へ。

2012-10-11 14:35:38 | アート・美術館

みちのく旅の帰りにある千葉県の美術館によってみました。



同館の詳細はHPを参照してください。←ホキ美術館

写実(リアリズム絵画)と言う観点に一番最初に衝撃を受けたのは、デザイン学生時代にブームとなったスーパー-リアリズム(超写実主義)です。
1960年代から70年代にかけて欧米、特にアメリカを中心に現われた動向で、写真を利用して人物や日常的光景などを克明に極度に写実的に描くものです。
巨大なキャンパスにプロジェクターで投影しエアブラシで描かれた技法が有名です。

さらに西洋絵画史に輝くレオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールそして新古典主義の巨匠アングルなどが素晴らしい。

最近では2007年7月に北海道立近代美術館で野田弘志展を鑑賞しました。
おそらく、この時に日本人の写実絵画の凄さを感じておりましたが、その後ある雑誌でホキ美術館の紹介された時いずれ訪れたかったのです。

本館の建築も非常にユニーク。
5つの回廊型ギャラリーを三層(地上1階、地下2階)に組み合わせ、一部が宙に浮いています。




今回は個々の作品や収蔵作家についてコメントはしません。
写実絵画のために設計された、ピクチャーレールのない展示室、天井に埋め込まれたLEDとハロゲンの照明など環境は素晴らしい。
惜しむべきは一部を除いて絵画がガラスで保護されており、照明や外光の反射が映り込んでしまうことです。
また、図録や画集も購入しませんでした。これはやはり実物を間近で見て技法や筆使い、光の捉え方を感じるしかありません。

写実絵画、西洋絵画・巨匠、新古典主義、写真撮像、スーパー-リアリズム…。
これらはどう位置付けられるのでしょうか?

ある意味、写実度や徹底度ではスーパー-リアリズムですかね。時間経過による残像すら表現します。
新古典主義ではそのテーマ性と観点こそが絶対的であり、写実性は付加的なものです。

難しいのは写実絵画と写真となにが違うのかという問いですね。
野田弘志は以下のように述べています。
写実絵画とは物がそこに在る(存在する)ということを描くことを通してしっかり確かめようとすること。物が存在するということのすべてを二次元の世界に描き切ろうとする。
写実絵画は写真のようだとよくいわれます。しかし、写真は一点から見た画面、いわゆる単眼ですが、人間の眼は両眼なので、視差によって遠近を知覚します。
人間が見ている空間と写真が表現する空間とはおのずと違ってきます。人間の目で見たままを描いているのが写実絵画といえます。

もう一度ここに訪れた時に、今回と同じような感動を味わうことが出来るでしょうか?
その時に自分自身で写実絵画の位置付けが明確になると良いのですが…。


30年ぶりにM.C.エッシャーを観る

2012-08-09 11:56:44 | アート・美術館

現在、佐川美術館にてエッシャーを観ることが出来ます。

ここは結構渋い企画展を開催しており、前回はセガンティーニを堪能しました。
常設で人気の平山郁夫をはじめ佐藤忠良や樂吉左衞門で平日でも結構入館者が多い。

エッシャーは日本でも人気のある画家。
今回の企画名は「ハウステンボス美術館所蔵 M.C.エッシャー展 変容・無限・迷宮」。


グラフィックデザイナーを目指していた学生時代で少なからず影響を受けた画家(多くはシュルレアリスム)としてルネ・マグリット、サルバドール・ダリ、デ・キリコ、横尾忠則そしてM.C.エッシャーなのであります。
社会人になった頃に新宿・伊勢丹美術館(1981)で開催されたエッシャー展には感激したものです。

当時の図録は今でも所有しておりますが倉庫の奥に埋没していますので今回は画像拝借で。

これは今回の図録。


エッシャーと聞いてまず思い浮かぶのは、「トロンプ・ルイユ(だまし絵)」でしょう。
学生時代に初めて画集で彼を知った時は大変な衝撃を受けたものです。
オランダ出身の版画家で現実ではありえない世界を描き、風景や動植物、建築デザインや幾何学的な図形まで、綿密に計算し、卓越した版画技法を築き上げています。
その不思議空間は、CG(コンピューター・グラフィックス)が氾濫する今日でも決して色あせることはありません。
きっとエッシャーが半世紀あとに生まれCGを手に入れたらどんなインスピレーションを更に起こしたことか…

本展では20~30歳代の木版画も多く展示されており、その卓越した技術とユニークな発想・想像力、そして確かなデッサン力を堪能出来ます。
以下、気に入ったものをピックアップします。※以下掲載するものは全て拝借画像

フンコロガシ

のっけからフンコロガシとは恐縮でありますが…。
これが木版画と目を疑うほど凄い画力であります。いくら想像を働かしても私のオツムではその技法を解明出来ません。
幸いな事に実際の版木も幾つか展示されており、穴があくほど観察しました。恐らくこれをリトグラフと言われても疑いませんよ。

爬虫類

何匹かのトカゲが、平面上に描かれていた群れから抜け出て、別次元の世界へ入り込んでいく。
これぞエッシャーだと言える40歳代半ばの作品。

もう一つの世界

三種類の想像上の世界、つまり地平、天底、天頂の全てに共通した消点が“もう一つの世界”の中心に存在している。
凡人にはまず発想出来ません。

三つの世界

この構図は森の中の小さな池をカメラで撮ると映し込む事が出来る世界です。
こんな感じかな?

平面の正則分割

モチーフの犬はすべり鏡映であるが、その彩色は異なり、明暗どちらの犬も同じ方向を向いています。
ム~。これを瞬時に理解できます?



超有名ですな…。三次元上の三角形が基本となり結びつける不思議な建築物。
人間の目の錯覚を巧みに利用しており心理学の世界とも言えます。

まさに…
人間の「想像力=創造力」がいかに無限で、可能性に満ち溢れたものかを再認識させてくれる視覚の魔術師・エッシャーの世界。
である。※本展ブローシャより抜粋


ホントに「蕭白ショック!!…」なのだ!

2012-06-17 21:13:09 | アート・美術館

先日は隣県三重のラーメン・レポを行いましたが、実は同日の主目的は美術館へ久々に足を運ぶことでした。
目的は三重県立美術館で開催されている「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」2012年6月2日(土)―7月8日(日)です。


実のところ私自信は蘇我蕭白(そがしょうはく1730~1781)については全く予備知識などはなく、同美術館HPなどで同年代の円山応挙(1733~1795)、伊藤若冲(1716~1800)、長沢芦雪(1754~1799)と並び評されている「奇想の画家」であることを知り興味津津で訪れたのであります。

この美術館には十数年前にバイク・ツーリングで訪れた記憶があります。


今回は蕭白と同時期に京で活躍した応挙や若冲などの作品もあわせて展観でき、鮮烈に輝く蕭白の個性に迫っています。


各々の作品を評する知識も眼力もありませんが、とにかく面白い。
蕭白の多彩な技法、大胆・ダイナミックな表現と精緻で鋭い描写・筆運びのコントラストに見入ってしまいます。
また多くの題材を中国古典をモチーフにしていますが、その解釈や構図にユニークさが感じられます。

おまけのように応挙や若冲も展示されていますが、こちらも中々のものです。
出来れば芦雪なんかと比較展示され、その表現力の違いなどがが見比べられると最高なんですけど…。


アルプスに魅せられた孤高の画家・セガンティーニとは

2011-07-27 13:36:15 | アート・美術館

さる23日(土)は京都にて星のソムリエ・第4回講座が行われました。
前回同様に受講の前に美術館に行くことにしました。
京都市美術館の「フェルメールからのラブレター」も触手が動きましたが、好天・週末の観光地で混雑は必然です。
ここはそれを避け県内は守山市・琵琶湖畔にある佐川美術館に決定しました。

おそらく京都に較べれば人混みは和らいでいそうですが、当館には平山郁夫や佐藤忠良それに樂吉左衞門(結構これは面白い)が常設されていて人気があります。

今回のお目当ては「アルプスの画家 セガンティーニ -光と山-」


セガンティーニや当展示についてはHPを参照。

建屋入口では演奏会が開かれています。中々盛況です。


エントランスホールから


セガンティーニは41歳という短い人生の間で画風・主題に三つの変遷があります。

まず初期の頃のミラノとプリアンツァ時代です。素朴な農民たちの生活やまつわる静物を描いています。
この辺りが度々フランスの画家ミレー譲りの画風スタイルと言われる所以です。

中でも傑作と言われるのが…
<白いガチョウ>画像拝借

羽毛の材質感を巧みに描き出す一方、白い背景の前に対象を置いた。
さまざまなニュアンスの白の色調です。質感が画家としての力量を物語っています。
原画を見るべし!

分割主義(ディヴィジョニスム)という技法(HPより)
セガンティーニの作品では絵筆のタッチが分割され、細い線を平行に並べたような形で現れる。その積み重ねで画面が形成され、至近距離からは縞や筋のように見える線も、距離をとって見ると、混り合い、溶け合ったように見える。使用する絵具は基本的に3原色とその補色から成る「純色」で、混ぜずにそのままの色を使用して描かれた。
<アルプスの真昼>画像拝借

風景を単純化して描く印象派風の技法では、高山の風景を描写することが困難であった。そのため、セガンティーニ以前に高山を描いて成功したものはありませんでした。セガンティーニは印象派の技法を取り入れつつ、澄んだ空気によって明瞭に見える細部を省略せずに描いた。そのため、山岳の構成などは極めて精緻に描かれている一方、絵全体の眺めには統一性があります。

<水を飲む茶色い雌牛>画像拝借

混じりあうことのない色彩は、平坦に塗られることはなく、点描のような筆づかいによって、あるいは互いに繁密に並びあう帯状の色面によって塗られています。

晩年の象徴主義(HPより)
1970年頃にフランスやベルギーを中心に起きた芸術運動で文学や音楽にもあてはまる。絵画では神秘的、宗教的、詩的な表現で描かれた作品のことを指す。観たものを忠実に描くのではなく魂の感じるままに作品を仕上げていく。

特別室に渡る廊下でビデオによる鑑賞会も…


はっきり言って今の佐川美術館は見所満載であります。入館料1000円(青手帳提示は無料)

是非、琵琶湖ツーリングの際には立ち寄ってください。

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SP
テーマ:第4回「宇宙はどんな世界」

星の誕生・核融合から星のサイクル、そして銀河や太陽系・惑星の出で立ちの講義です。
小難しい所もありましたが、何とかついて行く事が出来ました。

受講後は実技試験として「星座を見つけよう」
・実際の空をみて、課題の天体を指し示す
・星座早見盤の操作
が行われました。

夏の大三角や春の大曲線にまつわる天体などを指し示します。
そもそも京都のど真ん中ではせいぜい二等星位までしか観望出来ないので出題される天体なんか限られるのです。
それでもって最後にヘルクレス座はどれ?と言われても殺生だよな~。
多分、満天の星空の中で行ったらもっと難しかったでしょうね。


なぜ天才は早世するのか?没後100年、青木繁展に行く。

2011-06-12 10:46:51 | アート・美術館

一年ぶりに京都国立近代美術館(昨年の稲垣仲静・稲垣稔次郎兄弟展に)に行くことに。


お目当ては青木繁展です。

梅雨の合間の好天と週末、尚且つ高速道路1000円などで京都は混んでおります。

センスの無い会場サインです。


会場もまずます混んでいますが… 
画像拝借
いきなり重要文化財から始まります。
個人的には展示ストーリーとしては第3章での思想背景、習作などと絡めて展示してもらうと良かったです。
観覧料 一般1200円 ※青手帳は無料

HPより…
わが国近代絵画史上「天才」と呼ばれ、わずか28年の生涯に幾多の名作を残した青木繁。関西ではいまだ開催されたことのない回顧展が、没後100年を経て実現します。代表作はいうまでもなく、現存する油彩画70点を軸に、水彩画・素描160点を加えた空前の規模で構成するとともに、没後その伝説の形成から今日にいたるまでの貴重資料も加えます。その生涯と芸術の全貌に迫る待望の展覧会です。

展示構成は…
 第1章 画壇の登場-丹青によって男子たらん 1903年まで
 第2章 豊饒の海-《海の幸》を中心に 1904年
 第3章 描かれた神話-《わだつみのいろこの宮》まで 1904-07年
 第4章 九州放浪、そして死 1907-11年
 第5章 没後、伝説の形成から今日まで

もちろんメインスポットは華々しい第2章~3章ではあるが、不遇の第4章での生活苦の為に肖像画を多く描いているのもその天才の心中を察するも面白いか。

さて、青木繁と言えばこれだろう。たしか小学校か中学校の教科書で初めて触れたような気がします。
<海の幸>画像拝借

未完成の様に見えますがプリミティブな迫力を見る者に与えます。もちろん完成出品されています。しかし構図線や下書き、マトリックス線も残り誰が見ても未完成品にしか見えませんね。
ほぼ中央、右側から4人目の訴えかける様な見つめる瞳に何かを感じます。もしかしてこれは青木本人かも?

どうもミュシャ的な構図を感じるのは私だけでしょうか?
実際にはエドワード・バーン=ジョーンズ(イギリスの美術家、ラファエル前派と密接な関係を持つ。)に影響を受けたとされています。
<わだつみのいろこの宮>画像拝借

古事記にある話を題材としたもので、兄から借りた釣針をなくした山幸彦が海底にある宮殿へとくだり、海神の娘、トヨタマヒメとその侍女に出会った場面を描いています。

運命の女性を描く、自分に画才があれば描いてみたいのだ。
<女の顔>画像拝借

青木の恋人でありインスパイアの源である女性を力強く描いていますね。

青木の風景画もなかなか感動ものであります。
岩礁、波をクロード・モネに学んだような点描、筆触分割であらわしています。
<海景(布良の海)>画像拝借

当時の印刷レベルの印刷物だけから学んだとものとは考えにくく、青木がモネの海景画を実見していたことを想像させます。

神話や旧約聖書物語など、青木は時空を超えた主題にも没頭し、当時としてはきわめて稀なスケールの大きな画家でありますね。


大胆な構図と多彩な表現力・長沢芦雪を観る

2011-03-20 23:05:32 | アート・美術館

久々に美術館を巡る事にしました。
その美術館はたぬきの焼き物などで知られる琵琶湖の南の信楽で湖南アルプスの山中にあるMIHO MUSEUMです。
そうです、あの熱海のMOA美術館と同系列にある新興宗教団体が運営する美術館です。
したがってメチャクチャ豪華な施設で20世紀のアメリカを代表する中国系アメリカ人建築家I・M・ペイ氏の設計で250億円以上かかっているとか。
またMIHOって言うのも教団創始者から来てます。

無宗教派(あえて言えば鰯の頭教か?)の私にとって一番敬遠すべき施設ではありますが、芦雪の企画展とあって車で一時間弱R307~県12を飛ばすことにしました。
ちなみに前述のMOA美術館もキンキラで結構好きです。これって予備軍?

イベント告知用のぼりも豪華です。


美術館本館には直接行くことは出来ません。
まずレセプション棟でチケットを購入します。大人1,000円で青手帳使えず。

案内の人は皆さん恐ろしく丁寧です。これもMコントロールの成果?

電動シャトルで本館へ。






いよいよトンネルの向こうは設計のテーマ「桃源郷」らしい。


美術館本館入口。

休日で県外からの人出もありますが、中国人の団体さんも結構います。

エントランスも広々として大理石をふんだんに使っています。


ちょっと意味不明のサブタイトル「奇は新なり」。


芦雪の面白さは偉大な師、円山応挙のもとで習得した技法を自在に駆使して、穏健な師のスタイルとは対照的な、奇抜で機知に富んだ表現を展開しているところでしょう。
<牡丹孔雀図>画像拝借

精緻な描写と絶妙なバランスで構築されています。

<群猿図屏風>画像拝借


独特の空気感と共に猿の表情、特に目線の表現にはハッとさせられます。
是非、原画を近くでマジマジと鑑賞してください。

<白象黒牛図屏風>画像拝借

絵心が多少あるもの者には絶対にマネできない大胆すぎる構図とモチーフです。
おまけにそのデカイさは圧倒されます。

46歳の若さで亡くなっていますが生涯を通じて他の絵師とは異なった奇抜で新しい表現を模索し続けた軌跡が垣間見れる企画展でありました。




昼食はお蕎麦をいただきに「生粉打 作美」に寄ってみました。

連休で丁度お昼時でしたが、待たずに入店出来ました。


迷わず盛り(ざる)の大盛り(900円+400円)を注文。

この界隈では粗挽きで突出した太さがウリです。歯応えの割りに十割の宿命か切れ易いです。
つゆはカツオ風味が香ばしく、少し甘めのアッサリ系です。

このドロっとした蕎麦湯もユニークです。

最初に付いてくる分だけでは少し少ないかな?追加でお願いすれば良かったです。

大盛りで1300円は微妙にお高くないでしょうかね…。
評価は分かれる所でしょうが友人の「藤村」さんの蕎麦とは対極的な味わい方が楽しめます。



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パリの魅惑、印象派満載のコレクション展へ。

2011-01-29 09:54:45 | アート・美術館
昨年は幾つかの美術館を訪れる(出来ればバイクで)ことを目指していましたが、残念ながら行くことの出来なかった美術館が箱根にあります。
<ポーラ美術館>画像拝借

「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに周囲との調和を図って建物の大部分が地下に埋め込まれています。
印象派の名品が豊富にコレクションされミーハーならずとも足を運びたい美術館であります。

このコレクション展は昨年夏から横浜美術館、静岡市美術館を経て名古屋市美術館にて開催されています。(2011年2月6日まで)
<名古屋市美術館>

黒川紀章の設計による斬新な建物です。

HPの紹介より
本展は、これらの西洋近代絵画から印象派とエコール・ド・パリの作品を厳選して紹介します。モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、スーラなど印象派15作家の作品36点とピカソ、モディリアーニ、シャガール、スーティン、フジタなどエコール・ド・パリ10作家の作品38点の合計25作家74点の名品をお楽しみいただきます。


平日ながら多くの観客が訪れていました。


このコレクションは印象派の巨匠・重鎮の名作ばかりなのでいまさら説明の不要なことは重々承知しておりますので好き勝手な印象を。

まずはいきなりルノワールから始まります。
色気ムンムンの裸婦イメージとは裏腹に牧歌的な田園風景やロココ調の画風が目新しく映ります。

今回の展示物で一番感慨深かったのがモネの…
<エトルタの夕焼け>画像拝借

有名な「睡蓮」に隣接して展示してあるこの作品に接した時、脳裏に熱いモノが込み上げて来ました。
あの加計呂麻島の徳浜海岸の朝焼けを想起させたのです。夕焼けではありませんがあの浜辺を二ヶ月間毎朝みた風景そのものであります。
この作品が彼の画業のターニングポイントであったとも言われています。

シスレーの風景画を原画で目のあたりにすると、ほんと乙女チックになります。パステル調の淡い色調や安定した構図、透き通るような広がる空間が心地良いです。
<ロワン河畔、朝>画像拝借


展示のカテゴリーとして印象派とは別にエコール・ド・パリの作品を厳選して紹介しています。
1910年代から1930年代にかけてパリで活躍した外国人作家と彼らと親しかったフランス人作家を一般的に「エコール・ド・パリ」(パリ派)と呼ばれています。

ピカソの青の時代を目にすることが稀なので見た瞬間背筋に電流が走ります。
<海辺の母子像>画像拝借

母子の祈る姿や幼児の仕草、赤い花一輪、見る者に多様な解釈をもたらす強烈な作品です。

本当に不思議な画風です。
<ルニア・チェホフスカの肖像>画像拝借

結核性髄膜炎により35歳で没したモディリアーニはそれ程の数の作品を残していないと思いますが、嬉しいことに人気のせいか国内では多くの展示を見ることが出来ますね。

その画風はまるで絵本の挿絵にしても良いくらいのレオナール・フジタ(藤田嗣治)作品にはその精緻な画風や人物の表情にグッと来るものがありますね。
<オランダの少女たち>画像拝借


正直前半で印象派作品でうんざり気味でありましたが、後半口直しとしてエコール・ド・パリでバランスが取れたかも知れませんね。
こんな寒い時期には美術館巡りは良いですね。

冬の信州・安曇野で現代アート&蕎麦を食す。

2011-01-10 17:57:49 | アート・美術館
昨年の夏前からどうしても行きたかった美術館が有りました。
それは信州は小淵沢、八ヶ岳の麓にある中村キース・ヘリング美術館であります。

まあ春先にでもバイク・ツーリングを兼ねてと思っていたら、寒冷地美術館の特有?である冬期休館が有ることが判明しました。
この連休明けの11日から3月18日(金)まで休館日となります。

日曜は連休中でも天気が良い方と予報が出ていたので急遽日帰りの計画を練る事に。

折角の信州でキース・ヘリング以外に何と接するか?
ご存知この地域は中小の美術館が密集しております。今回は日・欧米を代表する現代アートの傑作に会うことにしました。
また外せないのが蕎麦であります。これも膨大な店舗があり余裕が有れば友人の藤村氏にレクチャーを受ける所ですがその余裕なく久しぶりに安曇野翁に向うことに決定します。

1月9日(日)…時々

事前にコース・シュミレーションして見ると約700kmを走る事になります。おそらく1000円高速の影響で渋滞の予想もして早めの出発です。
午前5時すぎに朝マックで朝食を済ませ、名神~東名・中央道を北上します。
<駒ケ岳SAより>

ちらほら雪が降っています。駒ケ岳も薄っすら雪化粧。
流石にバイク専用の駐車場ではバイクは一台も有りませんでした。

余裕が有り過ぎて中村キース・ヘリング美術館には開館(午前10時)前に到着。


開館直後にも関わらず既に6~7人の参観者が受付を受けています。

入館料は大人1000円(青手帳提示で800円)
もちろんこれ以降撮影禁止です。

館全体がユニークなデザインとフロア作りをしていますので是非HPを参照して下さい。

10時丁度から女性ガイドさんによる館内説明ツアーに参加します。

キース・ヘリングについては膨大な文献がネット上にも有りますのでここでは私的感想を。
POPアートの双璧アンディ・ウォーホルや横尾忠則がよく使った表現手段としてシルクスクリーンの作品がやはり魅力的です。
出て来るキャラクターや構成、ドット(これはエイズを象徴する病状を示すとされる)に単純な意味合いながら強烈に訴えかけてきます。
<無題>画像拝借


僭越ながら…
どれも強烈なインパクトを発していますが、どうも彼の作品は「平面的なインパクト」としか感じないのです。
若くして亡くなった事も起因するのでしょうが、画家としての見聞経験やインスパイアとの遭遇が乏しいのではないのでしょうか?
これは後ほど観覧する重鎮たちが高齢になっても現役で多彩で過激な経験や修行を積むことによる「重み」とか「奥行き」を感じるからです。

もし彼があと30年生きたら。家族を持ったら。東洋思想と融合したら。兵役に就いていたら。云々
やはり天分のある人ほど長生きする事が重要であると思います。短命という宿命はどうしようも無いのですが…。



次に向う美術館は車で10分もかからない所にある平山郁夫シルクロード美術館です。

平山郁夫画伯と言えば滋賀の佐川美術館で馴染みが有りますので、どんな展示があるか楽しみです。

企画展は栄光のペルシャ展

入館料は大人1200円(青手帳提示で何と無料!)

一階エントランスから最初の展示室に入るとコレクションの精緻で気品溢れるガンダーラ像などの展示で圧倒される。
<菩薩交脚像>画像拝借

この美術館の館長は平山夫人で、美術館の収集品は約9000点と言われています。

やはり大シルクロード・シリーズは圧巻です。
<展示室6>画像拝借

ここには印刷物では絶対伝わらない原画の発色や筆使いが見る者を圧倒します。
やはり美術館に足を運びましょうね。

展示規模的には佐川美術館の方が大きいが、画伯のバックボーンを知る上ではこちらの方が面白いだろう。
中でも一番驚いたのは未完の遺作でもある世界の都市シリーズの展示である。ここには画伯の表現方法が垣間見れます。



昼食は長野道・豊科ICから車で約15分の所にある安曇野翁で頂く事に。

午後1時すぎに入るも待つことなく入店出来ました。

シンプルなメニューです。


普段は余り注文しないおろしそばを頂きます。

まずはおろしを入れないつゆだけで3~4口頂きます。
麺の腰と冷たさ、鰹節やだしがほどよい風味のつゆとレベル高いス。
おろしを入れるとさらに麺のキレの良さが増幅するのが不思議。

安曇野の山々を見ながらの蕎麦もおつなものです。


蕎麦湯は少し濁りがありますがあっさり系。

蕎麦が出て来た時は少し量が足らないかと思えたが不思議と完食すると満足感が出ます。



最後に向うのは翁から10km位の所にある安曇野ジャンセン美術館です。


企画展は2009年の9月に旅立ったジャンセン夫人に捧げ、マダムが特に愛した作品やゆかりのある作品を紹介しています。

入館料は大人850円(青手帳提示で100円引き)

独特の画風が見る者を引き付けますね。
シンプルな構成と枯れた感じの風景画も印象深いですが、やはりバレリーナのコレクションでしょう。
<白のバレリーナ>画像拝借

画伯の描く女性は華奢です。フランス印象派のそれとはまったく正反対です。またモデルの顔を消してしまったり背中から描くことが極めて多いです。
きわどい描写でありながら猥雑感が感じられないのも特徴でしょう。

惜しむらくは展示がコンパクトと言うか満たされないものが残ります。
入館料が半分でも良いのでは。

復路は豊科ICから一路家路に就きます。
全走行距離:約706km、往路(自宅→安曇野ジャンセン美術館):約397km。


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