先日12日(日)にレンタサイクルで京都(左京区中心に)をぶらり巡って参りました。
その時メインポイントとして京都市美術館を訪れました。
「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展です。※ゴッホ展との併催
約400年間、15代つづくリヒテンシュタイン侯のコレクションは世界最大級と言われていますが、今一つ日本人には馴染みが薄いかもしれません。
私自身も出品されている画家の名前はせいぜいルーベンスやラファエッロをかじった程度です。
ハウスブルク家の家臣として地位をたかめていき、以降収集されたコレクションのカテゴリーは在位した名君たちによって分けられているようです。
初代在位のカール1世から始まりカール・オイゼビウス1世、ヨハン・アダム・アンドレアス1世など傑出したコレクターによって膨大なそしてクオリティの高い美術品が収集された来たわけです。
いつもの通り浅学な私としては正しいコメントを記することは不可能ですので、いくつかの絵画前に立ったときにピーン!とかゾクッとか感じたものに適当にコメントを入れる程度で紹介します。
公式図録
表紙図
ペーテル・ハウス・ルーベンス_クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像
ヨーロッパ美術の歴史において最も感動的な子供の肖像画のひとつと言われています。
大胆なクローズアップ、そして赤みの強調された頬と鼻や額に施されたハイライトによってはちきれんばかりの生命感、そして5歳の愛娘が父親に見せる親密な眼差しをストレートに表現しています。
リヒテンシュタイン物語:著者・池田理代子
「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展コラボ商品。
池田理代子描き下ろしによるコミックと、侯爵家所蔵の美術作品を カラーグラビアであわせて商品化。 波瀾にみちたリヒテンシュタイン侯爵家の歴史を描き下ろした。
第二次世界大戦中、ナチスからコレクションを守った侯爵と美術館長の手に汗握る物語。
ラファエッロ・サンティ_男の肖像
冷静沈着で少々意地悪そうな表情が色気を感じますね。
このポーズどこかで見たことありませんか?そうダ・ヴィンチの「モナ・リザ」のように半身に構えた人物に後ろの風景を描いています。
ルネッサンス期に流行した肖像画の様式で描かれており、まさに肖像画の王道なのです。
ヘルマン・ポステュムス_古代ローマの廃墟のある風景
ローマの古代美術品の発見を描いた本作品は緻密に描かれた手前の遺跡・遺物と彩度を抑えた遠景(北方の理想化された風景)によって、重々しさと広大な空間を凝縮して描かれており好きなタイプの絵画です。
グイド・レーニ_マグダラのマリア
吸い込まれるような潤んだ瞳に恋しそう。
天上を仰ぐ悔悛の女性のポーズが神々しさを醸し出します。
ヤン・ビューゲル_若きトビアスのいる風景
この超精密に描かれた風景画のサイズはわずかに36×55cm(油彩/銅板)と脅威の世界です。
数多くの人物が点在する細かく分断された風景に紛れており、ほとんど判別することは不可能です。
さまざまな人々の享楽的な賑わいが、幻想的な河川の光景と融合されていますが、主題となる若きトビアスは画面の下端に小さく描き込まれているちょっと不思議な絵画です。
アンソニー・ヴァン・ダイク_マリア・デ・タシスの肖像
ほのかな微笑を浮かべて慎重にこちらを見つめ気品に満ちた肖像画です。首まわりのレースやダチョウ毛の扇子、ビロードのドレスに金の縁飾りなど異なる素材の質感を見事に描きわけています。
ジョヴァンニ・パオロ・バニーニ_古代ローマの傑出した遺跡と彫刻のある奇想
実際に存在したかのような風景画ですが、これは古代あるいは近世の建築遺跡と彫刻が寄せ集められた奇想(カプリッチョ)と呼ばれる空想画です。
構成・配置のセンスも素晴らしく透視図法を駆使したダイナミックな風景は気持ちがいいですね。
フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー_磁器の花瓶の花、燭台、銀器
材質のきわめて微妙なニュアンスまで再現する細密静物画です。これぞスーパーリアリズムだと言いたくなります。
しっとりとした蝋のような花びら、銀器や金の腕輪の硬くメタリックような輝き、やわらかい輝きを放つ乳白色と東洋風の絵付けをされた花瓶どれをとっても隙のない表現ですね。
これほどゾクゾク感が続く展示も久しぶりです。最後のルーベンスのコーナーで締めを喰ったような感じですがもっと見てみたい欲望に駆られます。
入館前は併せて「ゴッホ展 空白のパリを追う」も見たかったのですが、もう緊張感は続かず更に人混みに足を踏み入れる気力もなくここで美術館を後にしました。
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