今日の一貫

米価を維持しろと言うが、穀物価格は相対的に低下するのが普通

穀物価格は相対的に下落する。
半世紀で10分の1(世界)から20分の1(日本)になる。
こうした現実を直視した農業構想の構築が大切だと私は思うのだが、、

経済成長に伴って、GDPに占める農業産出額の比率は低下し、就業人口比率も低下するのが経験則としては常識。ペティクラークの法則などとも言われるが、農業の相対的比率は低下する(だから農業はだめになる、ということでもないので、この点は要注意)。

これと同じように、世界穀物価格は、相対的に下落する。
世界のGDPは60年代と比較するとおよそ40倍弱に拡大。
日本のGDPは80倍程度に拡大。
これに比べ、世界の穀物価格はほぼ横ばい。横ばいと言っても、2-4倍にはなっている。

2006年秋口の国際価格は、米$462、大豆$386、小麦$258,トウモロコシ$162。70年頃は、200,100,50,50ぐらいの水準だから、2-3倍。人為的に高く維持している日本の米を60年頃と比較すると今は当時の4倍程度。
つまり、最大でもこの50年間で国際価格は、4倍以内に納まっている。

これに対し、GDPは40倍から80倍なのだから、農産物価格は10分の1から20分の1程度に相対的には下がっていることになる。

農産物価格が高騰するとすれば、農地価格が転用で高騰したように、、そこに農業以外の何らかの意図が働き、農業以外の用途が開けたケースに限られる。2008年からの穀物価格の高騰は、バイオエタノール用途や、国際投機マネーの影響が大きいとされている。

農業の世界に限ってみれば、どんなに恣意性を発揮して穀物価格を維持しようとしても、それは無駄な努力と言うこと。
むしろ、経済の発展とともに、農業人口比率や、農産物産出額比率、相対的穀物価格は低下するという経験則を前提とした経済行動を取るのが正しいやり方。

農産物価格に政府介入が容認されるのは、50年かけて、3-4倍程度に上昇した農産物価格の上昇(あるいは下落)が1-2年でおきるようなケース。

米価に関してみれば、そんなケースは想定されない(2003年の冷害時も後になってみれば、実はたいしたことはなかったが、要は高騰時には、政府介入が必要となることがあると言うこと)。

この夏、米価が下落するので、政府が介入せよと政局化させようとする動きがある。
問題の本質は、誰にも自明な経済トレンド、相対的に低下する米価、それに謙虚に対応した農業構造を作れば良いだけなのだが、それを怠ってきた、、あるいはそのチャンスがありながら、、自らチャンスを潰してきたこの半世紀にわたる農水省・農協運動のつけが回ってきただけだということである。









 
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