池田湖通信

指宿市池田湖から鳥見人の写真エッセイ

第33号「ヨタカ」

2008年06月29日 | Weblog
 昨年(2007年晩秋)通称グリンピア道路を指宿市街から池田湖へ向かって車を走らせていた。この道路はグリンピア指宿への入り口が峠となっていて池田湖側と指宿側では天気が変わることがあります。峠といっても標高は300メートルくらいでしょうか、それでも峠あたりは霧に包まれることが多く、道は樹林の中を走っていて、道路沿いは人工林(杉)が多いのだが池田湖の沿岸や清美岳の麓はこの地方特有の樫、楠などの照葉樹も多くていかにも野生生物が生息していそうな雰囲気が残っている。実際、猛禽類が池田湖周辺ではこのあたりではよく見かける、ミサゴ、絶滅が心配されるサシバ、ノスリ、ハヤブサ、オオタカを確認している。夜中に走るとタヌキ、ノウサギ、アナグマ、テンなどと出会っている。フクロウの声を聞いたこともある。池田湖から指宿市街へ出るには昔からの県道を使った方が近道なのだが、私は動物と出会える機会が多そうなのでいつもこの道を利用している。(昔ながらの県道も山道に変わりはないので動物に出会うのは同じくらいかもしれないけれど、こちらの方が車の通行量が少ないので、車を止めたり徐行させたりして動物を見るのに好都合なのだ。)で、この日も走っていた訳です。時間は日が暮れてライトをつけたばかりの頃でした。空には残照が残りその光が池田湖に映って見慣れている風景ですが、うっとりするくらいの景色となっていました。池田湖の方から何か茶色のものが車左前輪後ろのドアにこつんとぶつかったのです。ノウサギかと瞬間的に思いました。この道でノウサギは前方のライトのあかりに照らされた杉林でちらりと一度見ただけでしたが、よしよししめしめと思い、かねてより車内に用意のデジカメを手に車を降りました。路肩に茶色のものが見えます。しかしそれはウサギではありませんでした、うずくまっているヨタカだったのです。両手で持ち上げてみると大きな目をパチクリさせました。良かった生きていると思い、路肩に置いて写真を写して近くの草むらにおきました。そして車を走らせて50メートルばかり進んだところで、もっとよく見ておこうと思い、引き返しました。もういませんでした。私は初めての動物を見るとあわててしまいます。見るべきところを確認するのを忘れるときが多いのです。しかしこのときはやっぱり軽い脳震盪で飛んでいったのだろうと安心しました、ヨタカは鳴き声は聞いたことがありましたが、見たのは初めてでした。たいがいの野鳥は手づかみすると激しくかみついてきます。小さい鳥でもつつかれるとかなり痛いものです。ヨタカはまったく抵抗しませんでした、よっぽど弱っていたのか、それとも人につかまれたショックが強かったのか、あるいは「ヨダカの星」の主人公のように元々おとなしい性格なのだろうかなどと思いました。ところで昨年からこの道路で動物の轢死体を見なくなりました。車がスピードを出し過ぎるから動物がひかれるのだと腹がたつくらい轢死した動物を見かけたものですが、昨年あたりから轢死体を見なくなったのです。動物が減っているのではないか、減っているとすれば原因は何だろうかと考えてしまいます。

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