池田湖通信

指宿市池田湖から鳥見人の写真エッセイ

41号「あんたはだれだ」

2009年08月30日 | Weblog
習志野市の谷津干潟に、一時期冬鳥ユリカモメが集結していた。付近の住民がこの鳥達に餌をあげる。谷津干潟は50ヘクタールくらいあって周回の歩道が整備されている。干潟のあちこちで人々が餌をあげるようになった。野鳥は楽に餌がもらえるのでたちまち集まってくる。「野生動物には餌をあがない方がいいんだけど」と私はその婦人に言ってみた。すると、「かわいがっているのに」と不満そうにその人は答えた。世界有数の大都会そのど真ん中、上野公園不忍池、ここには冬、数千羽のカモが集まってくる。中に希少種や日本が渡りのコースに入っていない鳥が紛れ込んでやってくる。私がカモを覚えたのはここであるけれども、ここには毎日餌を持ってくる人が数人いた。餌をピンポン玉くらいに丸めてお目当ての鳥に、正確には鳥のそばに投げるのだ。これがなかなかのコントロールをしていて、ピーと口笛を吹いてから投げるのである。ねらい違わずお目当ての鳥のそばに落ちるのだからびっくりした。「しののめ芸者の黒羽織」とオオバンを呼んでいたけど、今、思うと懐かしくなる。野鳥に人間が餌を与えることは良くない。と言ってもなかなかやめようとはしないのである。谷津干潟の人も不忍池の人も、わるげがあってやっているわけでは無く、むしろ良いことをしている。と思っているのであるから。しかし、谷津干潟では観察センターの人が張り紙をして見事に餌やりの人はいなくなった。
池田湖の外来生物についてこの通信で何回か書いてきた。「広い水の中で大きく育てよ」という気持ちで放流しているのかもしれない。ブラックバスはバス釣り人達が意図的に放流している場合もある。これはけしからんことである。自分の趣味で勝手なことをするな、と私はいいたい。現代は地球環境を全世界で考える時代だ。釣りをするために生態系のバランスを壊して良いということは絶対にあってはならないことである。池田湖でも、現在は湖の中でもっとも数が多いのはテラピアである。アメリカやアフリカの魚が、生き物がどうして南九州にいるんだ。人間ももちろん生態系の一員なのだけれど、いつの間にか、特別の存在と思っているのでは無いだろうか?「人間と動物の違いは」なんて言葉を目にすることがあるから。
この魚、15センチメートルくらいで背びれが少し長く、スズキのような体型でした。もちろんこの魚に罪は無い、魚も迷惑だろう。人間達よもっと謙虚になろうよ。

第40号「狢」むじな

2009年08月21日 | Weblog
金大中の死亡が報道された。不屈の人であったと思う。日本にもこのような人が出てくれないかと何度思ったかしれない。来年は日本が朝鮮を併合して100年になるという。この全容を見てきた人でもある。来年この人のコメントを新聞で読むのを楽しみにしていたのであるが、不屈の人も寿命には逆らえなかった。
池田湖のほとりで100才の樫に見守られて暮らしている我が家では現在スズムシがきれいな声を聞かせてくれている。本日昼間は寒暖計は30℃を指しているが、陽がくれると涼しくなってきて昨夜は冬の布団を掛けようかと思うくらいに涼しくなった。テレビで映し出される天気図を見ても秋雨前線が南下していて、東北,北海道はおそらく冷害に見舞われているのではと心配される。カムイ伝の時代ならば飢饉に該当する年ではなかろうかと思われる。
先頃、鹿児島県ではマングース(ジャワマングース)と思われる動物が捕獲されて話題になった。
夜ごと、スズムシやクツワムシ、ウマオイ、マツムシなどの声を楽しんでいたのだが、数日前からかすかにカサコソと歩く音が虫の声に混ざるようになった。マングースかなと思い懐中電灯で照らしてみると、額に白筋が見える猫くらいの動物がじっと私を見上げているのが目に入った。ハクビシンか?と思った。ハクビシンならしかる場所(どこだ?)に連絡しなければいけないかなと思いつつその日は寝てしまった。顔の真ん中を通る白が際だっていた。これが夜中の3時頃。翌日、なんと真っ昼間出てきた。そこで、かねて用意の猫の餌を投げると、一瞬床下に逃げ込んだ、そのときハクビシンではないと思った。驚いてしばらく出てこないだろうと思ったが、空腹だったのか、すぐに出てきて、ぽりぽりと猫の餌を食べ始めた。カメラを出して写したのがこの写真であります。「ニホンアナグマ」でした。幼獣かもしれません。(♀のようです。妊娠しているかも?)
池田湖周辺では2年くらい前まではタヌキやアナグマなどの轢死体を見かけたが最近見ないので生態系が異変をきたしているのではと心配していたのだが、2ヶ月ほど前には樫の根方でタヌキも見たし少し安心した、それから2日間姿を見せない。猫の餌をひとつかみ食べたので少し食べ過ぎたのではと思っている。秋が早そうな池田湖の一日でした。