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コンピレーション「自作自樂」(香港)

2006年03月16日 03時36分21秒 | CD紹介
 発売前に紹介したが、聴いた上での感想を改めて。
 最初は、「まあ、こんなもんかな」と思った。やはり、歌うことを専門にしている歌手のようにはいかない。声量が乏しかったり、音程が不安定だったり。けれども、なんとなくまた聴こうかな、という気分になる暖かさがある。
 ダントツ歌が上手いのは馮翰銘。ソロでもCD出せるんじゃないの?と思うくらい、甘い魅力のある声だ。金培達は先ごろベルリン映画祭で銀熊賞(「イザベラ」で音楽賞)を受賞蘇永康も出演している「星願」でもバックで少し歌っているそうで、味のある低音だ。鼻歌のようにEric Kwokが歌う「夕陽無限好」は、詞がなくてもその楽曲の良さが伝わってくることに驚く。
 出版された歌と、歌い手の男女が逆になっている歌もある。馮穎は麥浚龍(ジュノ・マック)に提供した「雌雄同體」を、徐繼宗は薛凱(フィオーナ・シッ)が歌った「男孩像イ尓」を歌っていて、それぞれ雰囲気悪くない。
 かつて歌っていた張佳添(元・黒盒BlackBox)や徐偉賢は、また自分でもたまには歌ってほしいと思わせる。シンガーとして活躍中の王[艸/宛]之、藍奕邦はさすがの歌唱力。王[艸/宛]之の歌は、気のおけない女友達とお喋りしているようなリラックスした気分にさせてくれる。藍奕邦の「斷尾」は、オーソドックスなバラードの劉浩龍バージョンとはまた違った、ブルースのような感覚だ。
 実は、全ての曲で作曲者本人が歌っているわけではない。Demoテープの歌を録音するという仕事もあるのだ。歌手をめざして修行中の人、趣味でやっている人、さらには歌の授業の一環として録音した人(張繼聰)もいる。プロの歌手ではないが歌の作り手でもない人たちの歌が、案外よかったりする。歌手が歌うときにつける色みたいなものがなくて、素材としての歌が強く感じられるせいだろうか。たまたま好きじゃない“色”の歌手が歌ったせいで食わず嫌いだった曲を見直した。Demoやコーラスの仕事をする一方で、自分のCDもたまに出すなんて活動スタイルもいいんじゃないだろうか。
 ジャケットに、Demoテープがどんな段階を経て実際の歌曲として世に出ていくかが説明されている。レコード会社が歌手の要望にあわせてDemoを選別、テープで使われた歌詞は歌手のイメージに合わせて別の詞が当てられることも多い、など。Demoの詞がそのまま採用になる場合もあるが、出版されたほうの詞と比べるのも面白い。Demoの詞と出版される詞が違う言語(広東語⇔北京語など)になることもあるようだ。
 Yahoo!音樂でこのアルバムのメイキング特番MVが見られる。何人かの作曲者たちが出演して、自分の音楽について語っているので、広東語がわかる方はぜひ見てみてください。
自作自樂 @YesAsia.com

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