円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

あっちゃんとお母さん

2010-10-08 05:00:52 | blog映画Diving
2010/10/8upわかる目次
あっちゃんとお母さん
 
友人のあっちゃん(仮名)から、彼女の母親の話を聞いた。
実話である。
あっちゃんは言った。
「今考えると、うちのお母さん、すごかったわ」

ある女の子がいました。
名前をあっちゃんといいます。
小学校の時、あっちゃんはいじめっ子でした。
気が強くて体も大きかったあっちゃんに誰もかないませんでした。

中学校であっちゃんは、バスケット部に入りました。
あっちゃんはバスケがとても上手でした。
二年生になって、あっちゃんはいじめられるようになりました。
ある日、帰るとき、げた箱の運動ぐつに水が入っていました。
次の日は、ゴミがつめこまれていました。
また次の日は、画びょうが入っていました。
あっちゃんは、学校に行くのがいやになりました。
それで、お母さんに相談しました。
「わたし、もう学校に行くのいやや」
すると、お母さんは静かに言ったそうです。
「あっちゃん。いじめられてよかったねえ」
「明日から学校、行かなくてええよ」
「二階で勉強してなさい」
「大人になるんだからね」
あっちゃんは、なんてひどいことを言うんだろうと思いました。
自分がいじめられてこんなに苦しんでいるのに
「いじめられてよかった」
と言うなんて。

次の日から一ヶ月間、あっちゃんは、学校を休みました。
けれども、また学校に行くようになっても、いじめは続きました。
中学を卒業して高校に入るといろんな人が集まってくるので、いじめはなくなりました。
あっちゃんはそのとき不思議な感覚を持ったそうです。
「わたし、なんだか、いじめられてる人の気持ちが分かるようになったわ」

お母さんは、あっちゃんが小学校の時いじめっ子だったのを知っていました。
あっちゃんがいじめられたとき
「いじめられてよかったな。大人になるんだから」
とお母さんは言いました。
それは、あっちゃんに、ひとの気持ちが分かるようになってほしかったからだったのです。
2008-07-05 20:20
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