円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

冒険の話をしよう2・モペットの旅

2015-06-07 19:19:29 | 2015年度雑記
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2015-06-07up
冒険の話をしよう2・モペットの旅
僕の最初のモペットは「ダックス」という。
ギア付きの、白い中古の原付きだ。
中古と言ったって既に7千キロ走っていた。
初心者の僕には原付きで7千キロの意味がわからなかった。

そのダックスで三度、旅に出た。

買って三日後が最初の旅だった。
大学3年の春で、まだ車の免許も持っていなかった。
同級生と三人で、海沿いの国道を七泊まっすぐ走り続けた。
生まれて初めて運転したギア付き原付きで、一千キロ走ったのだ。
生きていたのが不思議だった。
帰りはフェリーに乗った。

同じ年の夏、同じ三人で、車で登れる最高峰と言われる山岳に向かった。
国道の坂が急で、ダックスは歩くよりゆっくり走った。
山岳の頂上には8月の雪が残って、たくさんの人がスキーをしていた。
これまた不思議に、頂上の開けた青空と残雪をはっきり覚えている。

大学4年の夏。
僕は一人で行くことにした。
当時住んでいた太平洋岸の町から、日本海へ向かった。
連れがいるのと、一人とはずいぶん覚悟が違う。
伯父の家からダックスを押して引いて、路地に出る。
「本当に行くの?」
「なぜ行くの?」
理由は何もない。
田舎の路地でためらって、考えた。
わからずにアクセルを蹴る。
ここと思った海岸で、ダックスを停めては泳いだ。
折り返し地点のユースホステルで、一緒になってみたいな、というヘルパーに出会った。
彼女も、そう思ってくれた気がする。
十日間で千二百キロ弱の旅だった。

なぜかわからず、一人でアクセルを蹴るのは登山に似ているような気がする。
わけも分からず、挑戦して、生きて帰るのが冒険だ。

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