語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】福島原発告訴団の第2回総会/ふくしま集団疎開裁判の二審判決

2013年05月14日 | 震災・原発事故
 (1)原発事故から2年が過ぎ、被災地・福島に対する世間の関心がいかに風化しようとも、放射能はやすやすと風化しない。郡山市の労働福祉会館周辺では、4月27日、0.8μSv/時を記録した。国が定める「放射線管理区域」の基準値(0.6μSv/時)を上回る値である。

 (2)同日、同会館大ホールで、「福島原発告訴団」【注】の第2回総会が開催され、福島県内をはじめ全国の告訴人201人が参加した。
「なぜ検察はいつまで経っても強制捜査をしないのか」
「事務局の対応は生ぬるいのではないか」
「証拠をもっと積極的に検察に提供していくべきではないか」
 など、告訴団事務局を叱咤激励する意見が続出。予定の終了時刻を1時間も超えた。原発事故で放射能汚染を引き起こした責任者の刑事責任がいまだに問われていない現実に、告訴人の憤りは増すばかりの様子で、会場は汗ばむほどの熱気に包まれた。

 (3)昨年3月の告訴団結成から1年が過ぎ、告訴人の総数は14,716人に達した。検察当局に対して「厳正な捜査と起訴を求める」緊急署名は全国から108,000筆以上を集めている。

 (4)今後、告訴団は、5月31日13時半から、東京・日比谷野外音楽堂で、「福島原発事故の厳正な捜査と起訴を求める大集会」を開催する。
 同日16時から東京地検前で「検事激励」行動、同日17時半から東電前での講義行動も計画している。

 【注】
【原発】福島原発告訴団、地検に東電本店の強制捜査を申し入れ
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□明石昇二郎(ルポライター)「福島原発告訴団が総会 「検察は厳正な捜査と起訴を」」(「週刊金曜日」2013年5月10日号)

   *

 (1)ふくしま集団疎開裁判【注】で、仙台高裁は、4月26日、申立を却下した。
 が、判決文は、子どもたちが「低線量被ばくにより生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される」など原告側主張に沿った画期的な事実認定をしている。国や市の児童・生徒の保護に対する姿勢を厳しく問う内容となった。

 (2)一昨年12月の一審判決では、児童・生徒の健康に関する現状は「危険ではない」と判断した。
 しかし、二審判決では、(a)市内の小・中学校にある152の計測地点中、文部科学省が「安全」とした空間線量0.23μSv/時という基準を下回ったのは9ヵ所だけ、(b)除染も「1回では不十分」なのに、「作業が進まない」・・・・と指摘。
 これを受け、児童・生徒が「低線量の放射線に間断なく晒されているものと認められるから、そうした低線量の放射線に長期間にわたり継続的に晒されるところであり、チェルノブイリ原発事故後に児童に発祥されたとされる被害状況に鑑みれば(中略)がん・白血病の発症で生命・身体・健康を損なわれる具体的危険性があり」と述べている。
 さらに、原告側が求めている集団疎開についても、「国・地方公共団体がその費用により集団疎開措置を施さない限り(中略)【健康被害の】事態を打開できず、ほかに実効的手段はない」と断定している。

 (3)ところが、後半では一転し、「生命・身体・健康に対しては(中略)現在直ちに不可避的な悪影響を及ぼすおそれがあるとまでは証拠上認め難い」という理由で、集団疎開による他地域での教育実施の必要性を否定。
 原告の主張をほぼ全面的に認めながら、申立は却下した。

 (4)判決文を読み、キツネに包まれたような気持ちだ。子どもたちが被曝し、危険な状態にあるという原告側の主張を99%認め、それを回避するために初めて集団疎開を「一つの選択肢」と評価しながら、放射能被害は後になって発生するのに「直ちに影響はない」いう理由で避難させなくともいいと結論づけているのは、支離滅裂だ。【柳原敏夫・弁護士、判決直後に国会内で開かれた弁護団記者会見】

 【注】
【原発】ホットスポットが残る郡山市の学校 ~除染の限界~
【原発】金曜デモの変化・主張の多様化 ~ふくしま集団疎開裁判~
【原発】ふくしま集団疎開裁判 ~ネットの「世界市民法廷」~
【原発】なし崩しの原発再稼働に抗えないメディア ~監視するアーカイブ~
【震災】原発>メディアで異変、脱原発世界会議、ふくしま集団疎開裁判

□成澤宗男(編集部)「ふくしま集団疎開裁判で原告の申立を却下も 高裁は被曝の危険性を指摘」(「週刊金曜日」2013年5月10日号)
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