語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】集団告訴団14,586人の「次の標的」 ~NHK、東大の学者~

2012年11月24日 | 震災・原発事故
 (1)福島第一原発事故の刑事責任を東京電力に問う集団告訴の動きは、今年2月、福島県いわき市で始まった。翌3月、「福島原発告訴団」が結成された。
 6月11日、福島県民のみによる第一次集団告訴団が、刑事告訴状を福島地方検察庁に提出し、8月1日、受理された。
 そして、11月15日、福島県民に限定されない第二次集団告訴団が、刑事告訴・告発状を福島地方検察庁に提出した。
 第一次集団告訴団に名を連ねるのは1,324人。第二次集団告訴団には、北海道、東北、関東、中部、甲信越、北陸、関西、西日本、九州など、全国津々浦々から参集した13,262人だ。合わせて14,586人に達する。
 これだけの規模の告訴・告発人が現れるのは、日本の刑事事件史上、例がない。国民運動にまで発展した、といって過言ではない。

 (2)こうした動きの間、東電は10月に、同社の第三者委員会「原子力改革監視委員会」において、従来の「津波は想定できなかった」とする主張を撤回した。
 「事前の備えができていなかったことが問題で、対処は可能だった」
という見解を明らかにし、津波対策の不備を認めた。
 これは、「対処は可能」としない限り、同社の柏崎刈羽原発の再稼働に目処が立たないためだ。

 (3)(2)の方針転換は、両刃の剣でもある。事故の刑事責任を自ら認めることを意味するからだ。
 柏崎刈羽原発を再稼働したければ、津波対策の不備を認めるしかない。
 津波対策の不備を認めれば、東電は事故の刑事責任を負わなければならない。
 しかし、経営陣らが訴えられた株主代表訴訟では、「津波は予見できなかった」という主張を続けている。
 隠蔽と情報操作を重ねてきた東電が、裸の姿を見せなければならなくなったとき、そこに露わになったのは支離滅裂な言動だ。

 (4)いま、東京、福島の両知見には、全国から多数の応援検事が集まり、捜査を進めている。
 10月、東電が設置した社内事故調査委員会の調査や報告書に関与した社員の事情聴取に着手した。地震・津波対策に関する東電側の認識や、報告書の作成過程などについて説明を求めている。
 その事情聴取は、容疑者を取り調べるような厳しさだった。【関係者】
 検察当局は、今後、政府関係者からも事情聴取する方針だ、とされる。

 (5)福島第一原発事故のため、入院中だった病院から避難を強いられ、避難中ないし避難後に死亡した普通の市民が多数存在する。これ一つとっても、福島第一原発事故は刑事事件以外の何ものでもない。この被害者たちの遺族が、今後告訴団に加われば、刑事事件として立件されるのは確かだ。
 福島県内では、事故後、甲状腺癌を発症した子どもが確認されている。
 
 (6)11月15日の告訴・告発状提出後に開催された告訴団の会議で、保田行雄・弁護士から、「次の標的」が提案された。
  (a)原発事故発生直後に事故を過小評価する報道を繰り返したNHK。
  (b)事故を過小評価し続けた東京大学の原発推進派学者ら。
 彼らに公開討論を申し入れ、福島県民に無用の被曝を招いた責任を告訴団として追及していいこう、というものだ。

 以上、明石昇二郎「検察は政府関係者も聴取へ」(「週刊金曜日」2012年11月23日号)に拠る。

 【参考】
【原発】集団告訴第二陣、ただ今7,600人 ~受付締切は10月末~
【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~
【原発】福島県民はなぜ刑事告訴告発をしたか ~告訴団長は語る~
【原発】検察、告発20件を棚ざらし ~誰も責任をとらない原発事故~
【原発】地検、福島事故に係る刑事告発・告訴を受理
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