(1)2月22日、「福島原発告訴団」【注】の700人が東京地検の歩道を埋め尽くし、「東電本店を家宅捜索して証拠を押収」するよう求める上申書と4万筆にのぼる署名を手渡した。告訴・告発状を受理してから半年以上が経過してなお、いまだに強制捜査に踏み出せないでいる検事らを“激励”したのだ。
3月13日、再び東京地検に対し、6万筆の追加署名を提出した。
(2)これらの「連続行動」の一環として、3月19日、告訴団の80人が、福島地検を“激励”訪問した。今年1月に呼びかけた署名は、この日までに実に107,409筆に達していた。
奇しくも前日、福島第一原発で大規模な停電が発生し、使用済み核燃料プールの冷却システムが停止した。停電と冷却不能状態は19日も続いていた。参加者らが口々に語るのは、東電のいわゆる「安全」と「事故収束」への不信だった。
停電で冷却が止まっていて、私たち福島県民は怖くて仕方がない。汚染による被曝も続いている。福島原発事故は今も全然終わっていない。【武藤類子・告訴団長】
福島地検の周辺では、事故から2年経て、ようやく除染作業が始まっていた。敷地内にある駐車場の空間放射線量は、0.6μSv/h前後。昨年6月より下がってはいるものの、「放射線管理区域」の基準0.6μSv/hに相当するレベルだ。福島県内は、事故から2年経った今も高い放射能汚染に晒され続けている。
(3)告訴団が3月19日に検察当局に申し入れた内容は次の3点。
(a)東電本店等への強制捜査や事故現場の実況見分なしに、被告訴人らを起訴すべきか否かの判断はできない。
(b)検察が強制捜査に着手できないでいるのは、人手が足りないからではないか。ならば、検察は刑事訴訟法に基づき、警察を指揮してすみやかに強制捜査を行うべきだ。
(c)スマトラ沖地震(2004年12月)とその津波被害を受け、東電は翌2005年と2006年の株主総会で津波対策への対応を問われて、「対応が適切になされている」【武黒一郎・常務(当時)】、「問題はない」【同】と答弁した。これらの答弁は東電が公式にまとめたものだ。その作成には被告訴人らが関与しているはず。津波対策を何ら講じなかった責任を明らかにすべく、当時の社内の議事録や稟議書をしらみつぶしに調べ上げるべきだ。
告訴団は、真相解明のための捜索押収、証拠隠滅のおそれのある被告訴人らの身柄確保など、必要な強制捜査を実施するよう要請した。
(4)政府事故調、国会事故調における陳述内容からすると、東電関係の被告訴人らは、取締役会などで福島第一原発の「耐津波性」について討議されていないことを理由に、刑事責任を免れようとしているらしい。
また、東電が、国会事故調にウソをつき、国会事故調の調査を妨害していたことが判明している。
加えて、福島県の子どもたちの間では、事故から2年間で3例の甲状腺癌が確認され、原発事故との因果関係が強く疑われている。
このまま、強制捜査もないまま起訴が見送られた場合、さらなる甲状腺癌の多発が確認される事態にでもなれば、検察上層部の責任問題に発展しかねない。
【注】
「【原発】福島原発事故に係る集団訴訟の現在 ~2013年2月~」
「【原発】集団告訴団14,586人の「次の標的」 ~NHK、東大の学者~」
「【原発】集団告訴第二陣、ただ今7,600人 ~受付締切は10月末~」
「【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~」
「【原発】福島県民はなぜ刑事告訴告発をしたか ~告訴団長は語る~」
「【原発】検察、告発20件を棚ざらし ~誰も責任をとらない原発事故~」
「【原発】地検、福島事故に係る刑事告発・告訴を受理」
□明石昇二郎(ルポライター)「東電刑事告訴・10万人の署名を提出 「東電本店の家宅捜索を」」(「週刊金曜日」2013年3月29日号)
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3月13日、再び東京地検に対し、6万筆の追加署名を提出した。
(2)これらの「連続行動」の一環として、3月19日、告訴団の80人が、福島地検を“激励”訪問した。今年1月に呼びかけた署名は、この日までに実に107,409筆に達していた。
奇しくも前日、福島第一原発で大規模な停電が発生し、使用済み核燃料プールの冷却システムが停止した。停電と冷却不能状態は19日も続いていた。参加者らが口々に語るのは、東電のいわゆる「安全」と「事故収束」への不信だった。
停電で冷却が止まっていて、私たち福島県民は怖くて仕方がない。汚染による被曝も続いている。福島原発事故は今も全然終わっていない。【武藤類子・告訴団長】
福島地検の周辺では、事故から2年経て、ようやく除染作業が始まっていた。敷地内にある駐車場の空間放射線量は、0.6μSv/h前後。昨年6月より下がってはいるものの、「放射線管理区域」の基準0.6μSv/hに相当するレベルだ。福島県内は、事故から2年経った今も高い放射能汚染に晒され続けている。
(3)告訴団が3月19日に検察当局に申し入れた内容は次の3点。
(a)東電本店等への強制捜査や事故現場の実況見分なしに、被告訴人らを起訴すべきか否かの判断はできない。
(b)検察が強制捜査に着手できないでいるのは、人手が足りないからではないか。ならば、検察は刑事訴訟法に基づき、警察を指揮してすみやかに強制捜査を行うべきだ。
(c)スマトラ沖地震(2004年12月)とその津波被害を受け、東電は翌2005年と2006年の株主総会で津波対策への対応を問われて、「対応が適切になされている」【武黒一郎・常務(当時)】、「問題はない」【同】と答弁した。これらの答弁は東電が公式にまとめたものだ。その作成には被告訴人らが関与しているはず。津波対策を何ら講じなかった責任を明らかにすべく、当時の社内の議事録や稟議書をしらみつぶしに調べ上げるべきだ。
告訴団は、真相解明のための捜索押収、証拠隠滅のおそれのある被告訴人らの身柄確保など、必要な強制捜査を実施するよう要請した。
(4)政府事故調、国会事故調における陳述内容からすると、東電関係の被告訴人らは、取締役会などで福島第一原発の「耐津波性」について討議されていないことを理由に、刑事責任を免れようとしているらしい。
また、東電が、国会事故調にウソをつき、国会事故調の調査を妨害していたことが判明している。
加えて、福島県の子どもたちの間では、事故から2年間で3例の甲状腺癌が確認され、原発事故との因果関係が強く疑われている。
このまま、強制捜査もないまま起訴が見送られた場合、さらなる甲状腺癌の多発が確認される事態にでもなれば、検察上層部の責任問題に発展しかねない。
【注】
「【原発】福島原発事故に係る集団訴訟の現在 ~2013年2月~」
「【原発】集団告訴団14,586人の「次の標的」 ~NHK、東大の学者~」
「【原発】集団告訴第二陣、ただ今7,600人 ~受付締切は10月末~」
「【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~」
「【原発】福島県民はなぜ刑事告訴告発をしたか ~告訴団長は語る~」
「【原発】検察、告発20件を棚ざらし ~誰も責任をとらない原発事故~」
「【原発】地検、福島事故に係る刑事告発・告訴を受理」
□明石昇二郎(ルポライター)「東電刑事告訴・10万人の署名を提出 「東電本店の家宅捜索を」」(「週刊金曜日」2013年3月29日号)
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